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「クオリティ真紀子とかたいパン」

たくさん手当てしてあげたわ。

ワンダーピープルの人達も。 

そして、気絶しているマルコの怪我も。


ワンダーピープル達の中には、何人か女の子もいて、多分同世代くらいだった。

黒いスーツを着て、だいたい、みんな髪をひとつに束ねてた。


その中のひとりの女の子が、手当てをしてくれた代わりに教えてあげるって言ったの。


でね、たくさん話してくれたの。

ワンダーピープルの人達って、けっこう色々話してくれるの。なんか不安なんだろうなぁって思った。


人がたくさん喋る時って、不安なんだよね。


で、彼女は言ったの。


その先にある大きなエレベーターは、最上階まで上がると、楽園と呼ばれる場所に行ける。

そこは、子供達がみんな幸せに暮らしてる。

私もそこで育ったし、ここに倒れているみんなも、そうやって一緒に大人になった。

いずれ私達は、この宮殿から世の中に出て、世界の矛盾を解決する為に生きて行く。

自分の名前を自分で決めて。

でも、本当は何が正しいのかは分からない。

だから、その楽園に行って、あなたの目で確かめて欲しい。

私達は、この世界しか知らない。

私達は、幸せだけど、この世界しか知らない。

あなたの目で見て欲しい。

あなたの心にも聞いてみたい。

ワンダーピープルが正しいのか、どうか。


彼女は、そう言った。泣きながら。


だから、言ったの。


正しい事なんて、どこにもないよ。

って。


あるとすれば、生きとし生けるもの全てにあるから、数え切れない。

何億光年かかっても、数え切れない。


ただ、私もあなた達も、広い世界のたくさんの真実を知る必要があるだけだ。


って。


そしたら、彼女は私を抱きしめた。

とても、力強く。


そして、私はエレベーターに向かったの。


とても長く感じた。

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