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「クオリティ真紀子も手紙」

病院に現れたのは、赤い綺麗なワンピースを着た女性だった。髪は窓から入る西陽に照らされて、優しい栗色で。

綺麗だった。

オジさんは、私に病室から出て行くように言った。

誰なんだろ。

オジさんは、過去の話をあまりしなかった。

私もサマーも、あまり聞かなかったし。

私は、少しモヤモヤしながら病院を出たの。

病院の近くで買い物をすまして、暇つぶしに、海沿いの海岸通りを歩いていると、急に聞いた事のない異様な音がしたの。


バリバリバリバリ〜! って。

びっくりして、辺りを見回すと空に赤いヘリが飛んでた。

その赤いヘリは、とても大きくて空に浮かぶクジラのようだった。


青い空に浮かぶ真っ赤なクジラ。


呆気にとられて、しばらく空を見てるとその赤いヘリは病院の方へ飛んで行ってた様に見えたの。何か嫌な予感をしながら、海岸通りを早足で歩きだしたら、不意に後ろから、クラクションが鳴ったの。

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