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第1話 「上手いけど弱い」
向いていると思える事は、何ひとつ無い。
ピアノは、兄弟で僕だけ軍を抜いて下手だったし、ラグビースクールでは気が強い人がやるポジションをずっとやってた。
結局、そのポジションは高校の最後まで続いたけど、花形のポジションでは無い。
ひたすらにタックルをするだけのポジション。
絵を描いたら、小学校の担任の先生にコンクールにエントリーしたいと言われて出したけど見事に佳作だった。
唯一、少し兆しがあったのは書道で、7歳の頃に大東市長賞を取って銀のバッジをもらった事だけだ。
ソフトボールチームでは、色んな相手チームから安打製造機と言われていて、絶対ホームランは打てないけど、渋いヒットは毎回打つ奴とイジられていた。
結局、4年間を通してホームランを打ったのは6年生の時の最後の試合の1本だけだった。
ただ、いつの日も、喧嘩は負けなかった。
でも、それは状況を把握する事が多少上手かっただけだ。
そして、誰にも誇れないし、最も向いてて欲しくない事だ。
リングに上がる直前に僕は、そんな事をぼーっと考えていた。
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