第2話 「ベランダ」
金で何とかならんのか。
23歳にして、トイレの機能を失ってしまった僕を見て、君は真顔で言ったけど、あれは嬉しかった。
お金で治るなら、俺がいくらでも出してやると言える、財力を持った事に。
嬉しかった。
小学生の頃の僕達の夢は、君が住んでた団地を一棟買う事だった。
君は、覚えてないと17歳の頃に言ってたけど、その夢をいつも語っていたのは、君の方だ。
みんなで住もう。
家のない奴も、家がある奴も。
団地を買い占めて、みんなで住もう。
君は、小さい頃、僕の自転車の後ろに乗って、そう言っていた。
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