「さきどり佐知子に新しい台本」
私の…
私の平凡な人生が、あのラバリッツホテルの銃撃戦の日から一変したの。本当なら今頃、自分のアパートメントに戻って、またお金を貯める為だけに一生懸命働いていたのに。
だんだん女優らしくになってきましたね…
なんてチャイニーに言われてから、少し休暇をもらったけど、私は、また新しい台本を手にしてたわ。
その時に、ふと思ったのよ。
本当なら、私は、ずっと平凡な人生のままだった。夢を見る事から逃げて、誰かのゴシップニュースで1日を満足させて、また次の朝、働きに出て。その繰り返し。ずっと、その繰り返しを続けるはずだったの。
それだけで充分だったから。
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