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家族

第2話 「坊ちゃん」


疎開先にお礼を言いたい。

当時、50歳を過ぎたくらいのお父さんが、唐突に僕に言った。


僕は、19歳でまだ高校生だった。


新潟。

僕とお父さんは、冬の新潟に居た。

燕三条という街を少し歩くと、お迎えの大きな黒い車が、僕達の前に停まった。


満ちゃんか。

後部座席から、60歳くらいのダンディな叔父さんが車から出て来た。

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