キャンドルを焚く
その人との時間がとても楽しくて、
永遠に続けばいいのにと願った。
ああ、なんて楽しい時間。
少しよそ見をして、その人の後ろを見ると
足跡がなかった。
これから進む先の明かりも見せてくれない。
その人は現在でしか会えない人だった。
どうにかこの時間が続いて欲しい。
最初は純粋な願いだったのに
不安が大きくなるにつれ
その人がいる場所を探し回った。
現在の時間を共有し続けたい。
繋ぎ止めたい。私だけのものにしたい。
モヤモヤした感情が体を突き動かす。
最初は、幸せな暖かい感情だったのに
いつしか底深く重い
苦しい感情に変わっていた。
その人はすでに先を歩いていた。
私には見えない明かりの中を進むので、
探しても見つけることができない。
手がかりの足跡もない。
「もう、束縛なんてしないから」
そう願っても、次の機会は与えられない
その人は静かに、微笑んでさっていく。
《夢の中でしか会えない人》