情熱と覚悟がそろそろうるさい
どこからか祭囃子が聞こえる。
なんだか胸がザワザワしてきた。
ドンドン、シャンシャン......
ハッと意識が戻り、手元のスマホを見ると午前1時をまわっていた。
このまま寝落ちしてしまいそうだ....
明日こそは!
手汗を強く握り、期待羨み、恋焦がれた憧れの門を叩くのだ.....
そう強く決心したのは、もうすでに夢の中だったかもしれない。
いつもと変わらぬ朝の支度を進め、歯を磨く自分を見つめていると、何も考えなくて楽だな〜なんてお気楽な声を出してしまった。
やっぱり、やめとこうか。って、できない理由ばかり探してして、楽な道を選んでしまう。
慣れた環境では、「どんな人たちがいるのか」や「どんなことをするのか」は、ある程度予測できるので、とても安心。
だから居心地のいい環境から離れるなんて、とっても恐ろしくて仕方ない。
わざわざそんな挑戦しなくたって、今のままでいいじゃない。
優しくて居心地のいい声が耳元で囁くようだ。
鏡に映る自分と目があい、それで良いのかって問いかけられてるような気がする。
まだ夢の中なのだろうか。
勢いよく出る水で顔を洗い目を覚まして、もう一度鏡を見ると、そこにいる自分と焦点があった。
そうだ。昨夜、決めたんだ。
「自分の欲を、あたため続けた夢を
そろそろ叶えてあげようじゃないか。」
本心が底から沸き起こってくる。
燃えたぎる情熱が小太鼓をドンドコ叩き、揺るぎない覚悟が鐘をかき鳴らす。
情熱と覚悟がそろそろうるさくてなってきた。
好奇心がスタートダッシュしてしまいそうだ。