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ツール・ド・熊野レースレポート

■ツール・ド・熊野 第1ステージ
熊野山岳コース 距離: 63.7km(104.5km から短縮)


6月2日~4日、和歌山県を舞台にしたUCI3連戦。6月2日に行われる予定だったJCL Kozagawa-City International Road Race 2023は、台風の影響で中止。サンブレイブは、6月3日と4日のツール・ド・熊野のみに参戦した。

 

©YUKIO MAEDA/M-WAVE

出走メンバーは、𠮷岡直哉選手、佐藤大志選手、佐藤光選手、白尾雄大選手、湯浅博貴選手、鈴木道也選手。サンブレイブにとっての同レースの目標は「総合トップ10、もしくはステージトップ3に入り、UCIポイント獲得をすること」だ。

鈴木真理監督は、第1ステージの前に「チームの勝負は第2ステージ。明日に繋げるために完走してほしい」とした上で、「湯浅選手と佐藤選手が逃げに乗り、逃げが捕まったときは後ろで控える𠮷岡選手をアシストする、前待ち作戦を実行できるように」などと指示を送った。

チームのキャプテンを務める吉岡
©YUKIO MAEDA/M-WAVE

 

第1ステージは、台風の影響で63.7kmにコースを短縮。1級山岳の札立峠をカットし、2級山岳の千枚田を2回通過する道のりに変更されたが、サンブレイブのプランに影響はなし。前日のプランのまま走り出した。

 

レースは序盤、ジャンバルジャムツ・セインベヤール (トレンガヌ・ポリゴン・サイクリング チーム))選手が先行したものの、1回目の千枚田の上りでJCLチーム右京勢がペースアップ。頂上前でセインベヤールを吸収し、山本大喜選手と岡篤志選手による逃げが形成される。2人はその後も先行し続け、ワンツーフィニッシュを飾った。

 

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一方後方では、JCLチーム右京勢のペースアップに苦しむ選手が続出。サンブレイブ勢もついていけず、トップから1分51秒遅れの28位でフィニッシュした𠮷岡直哉がチーム最高位のリザルトとなった。

 

𠮷岡選手は、「前方の集団でゴールできていない時点で、勝負が出来ていないと一緒。TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)で結果が出せなかったので、熊野はなんとしてもという気持ちで挑んでいたが、力を発揮できなかった。久しぶりに悔しい気持ちになった」とコメント。

 

鈴木監督は「本来ならば𠮷岡選手、湯浅選手、佐藤光選手は、第2集団(トップから約40秒遅れの集団)には残りフィニッシュするつもりだった。力不足と危機感を感じる。なぜその集団に残れなかったのかを理解しなくてはならないし、今回残れなかったのであれば全日本だったらどうするか。反省する点は多い」と振り返った。

 

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■ツール・ド・熊野2日目
太地半島周回コース 距離: 104.3km

 

第2ステージは、104.3kmの太地半島周回コース。サンブレイブの作戦はステージ狙いだ。

「逃げが決まりそうなアタックをかぎ分けて、まずは逃げに乗ることが大事。逃げ切りもあるコースなので、逃げ切ってステージ3位以内に入りUCIポイントを獲得したい。前半から攻めてチームとして存在感を示していきたい」(鈴木監督)

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レースは、スタート直後からアタック合戦の応酬で、逃げては吸収が繰り返される。6周目、山本元喜(キナンレーシング)選手の単独の逃げを集団が容認。そこにチームメイトのトマ・ルバ選手がジョインし、逃げ切り体制を築く。メイン集団は2人の吸収を試みペースアップするが、キナンコンビの脚が勝り山本選手が逃げ切り勝利を飾った。

 

海沿いの丘を駆け上がる集団
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サンブレイブの最高位は、トップから26秒遅れの湯浅選手で18位。UCIポイント獲得はならなかった。しかし序盤のアタック合戦、レース後半のメイン集団のペースアップで脱落する選手が続出したにも関わらず、湯浅選手はこの集団に残ることに成功。価値あるリザルトを残した。

 

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レース後、湯浅選手は、「逃げに乗ろうと思いスタートしたが、前半、スピードが速く自分の脚では(逃げに乗るのは)厳しいと思った。そのまま集団で粘ってゴールスプリント争いをしたかったけれども、自分がいたコースが埋まってしまってスプリントができなかった」と振り返る。

しかし、集団に残れたことについては、「昨日はかなり厳しい結果に終わった。今日のコースであれば集団に残れるかもしれないと思いモチベーションは高かった。(去年も同じコースで)前方で走っていないとちぎれてしまうことがわかっていたので、出来るだけ前でレースをこなすようにした。中盤、JCLチーム右京のコントロールでペースが落ち着いたので、集団に残ることができた。久しぶりにしっかり走れた感触があったので、この感覚を忘れず今後のレースに臨みたい。全日本はコース的に厳しいが、出来るだけ残りたい」と語った。


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𠮷岡選手は、「TOJと熊野は、個人としてもチームとしてもUCIポイントを獲得することを目標に、重要なレースという認識で春の段階からスタートした。結果として総合に絡めず、ステージでもUCIポイントを獲れず非常に厳しい結果になった」と連戦を総括する。

ただ、熊野の第2ステージについては、「4周終了時点で20~30人に絞られだが、僕と湯浅が残れたことは収穫。湯浅はアンダーだが、あの展開で残れたことは自信になると思う。僕自身もTOJ・昨日(熊野の第1ステージ)と調子は良くなかったが、セレクションされた展開に絡めたのはよかった」と振り返った。

 

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また鈴木監督は、「(湯浅選手が)30人以下に絞られた第2集団に残れたのは大きい。サバイバルな展開で残れるのは力がある証。そこに残れたアンダーの選手は少ないと思う。今日のレースが彼にとってターニングポイントになるかもしれない」と振り返った。また、今月の全日本選手権に向けて「今日のコースに出てきた上りは約1分半で、全日本のコースに似ていると思う。今日集団に残れたことが自信になって、全日本の上りが楽に感じられるかもしれない。チームとしてもアンダーの若い選手が育つことは大きい」と明るい声で語った。

 

若手中心に構成されるサンブレイブは、数値や経験の面で他チームに劣っていることは否めない。一方で鈴木監督は「若い選手が多いからこそ一つのレースをきっかけに大化けする可能性はある。集団で走るレースは、自分が出来る範囲以上の走りを求められるが、そこに踏み入れた時に大きく成長できる可能性がある」と期待感をにじませている。

 

ツアー・オブ・ジャパンの東京ステージで逃げた佐藤光選手、今回の熊野で集団に残れた湯浅博貴選手。1戦1戦がサンブレイブの未来に繋がるのだ。

 

■ツール・ド・熊野 第1ステージ リザルト

1位 山本大喜(JCLチーム右京) 1時間28分58秒

28位 𠮷岡直哉 +1分51秒

44位 佐藤大志 5分26秒

69位 佐藤光 7分14秒

72位 白尾雄大 7分14秒

81位 湯浅博貴 7分14秒

90位 鈴木道也 11分19秒

 

■ツール・ド・熊野 第2ステージ リザルト

1位 山本大喜 1時間28分58秒

18位 湯浅博貴 +26秒

DNF 𠮷岡直哉

DNF 佐藤大志

DNF 佐藤光

DNF 白尾雄大

DNF 鈴木道也

 

■ツール・ド・熊野 総合 リザルト

1位 岡篤志(JCLチーム右京) 4時間00分51秒

32位 湯浅博貴 +7分14秒

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