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全日本自転車競技選手権大会 ロードレースレポート U23&女子エリート+U23

6月22日~25日に行われた全日本自転車競技選手権大会。24日には、男子U23と女子エリート+U23のロードレースが行われた。
 

■全日本自転車競技選手権大会 ロードレース 男子 U23

会場:日本サイクルスポーツセンター
距離:8.0km×14 周=112.0km
出走者:篠原輝利、湯浅博貴、千原一馬、佐藤光

スタート前の篠原選手

男子U23は一周8.0kmを14 周、合計112.0kmで争われた。アップダウンが繰り返されるコースを前に、序盤から脱落者が続出。

千原選手と篠原選手も遅れてしまう。 その中で存在感を発揮したのが佐藤光選手だった。7周目で逃げに乗ることに成功。

終盤アタック合戦での佐藤光選手

佐藤光選手はこの時のことを「少し踏んだら集団が離れたので、そのままブリッジした。ただ僕自身はアタック合戦が苦手。アタック合戦をするぐらいならば、前にいた方がいいと思い逃げた。展開はよかった」と振り返る。 また、同時に集団に残っていた湯浅選手について「チームメイトが一人いただけでも心強かったし、(後で聞いたら)湯浅選手自身は覚えていなかったけれど、レース中、湯浅選手が『逃げに乗れ』と言ってくれた。だからこそ逃げられたし湯浅選手の存在は大きかった」と語った。 

湯浅選手

レースはその後、メイン集団が逃げを吸収。アタック合戦が繰り返されサバイバルな展開となる。佐藤選手も途中までは残れたものの、最終的に力尽き優勝争いには絡めず。トップから3分47秒遅れの7位でフィニッシュした。  

「完敗。すがすがしいぐらいの負け。最後の勝負には絡めなかったし、逃きれなかったのも実力不足。ただ、大舞台で少しでも逃げられたのはスポンサーさんのアピールにもつながったと思う(佐藤)」 彼はまだまだ上を目指す。 


鈴木真理監督も「優勝争いの集団に残った上、アタックに対して全て自分で動いて対処した。ただついていくのではなく、展開を作る走りをしたことに対して佐藤選手の未来を感じる。そもそも強い選手ではないとできない走り。今後、走り方を煮詰めていけばチャンスもある。学校にも通い忙しい面もあるが、練習量が増えればさらに化ける可能性がある」と期待を込める。 

沖縄県で生まれ育った佐藤光選手が自転車に出会ったのは中学2年生の頃。自転車競技に打ち込むため、高校進学のタイミングで父親がいる東京へ。
自転車部がある学校に進学し、予選落ちとはなったがインターハイに出場した経験も持つ。

現在は大学に在籍しながらサンブレイブで活動。
「ツアー・オブ・ジャパンなどのレースで走りたい」という思いから、部活ではなくサンブレイブ所属を選んだという。 今後について「ツール・ド・北海道で、総合でもUCIポイント圏内に入りたい。それまでにダッシュ力の強化に努めたい」と語る佐藤光選手。

さらにレベルアップした走りをみせてくれそうだ。 

ちなみに憧れの選手について聞くと「自分が頑張って上に行きたいので、憧れの人は作っていない。自分のことだけを考えている」とのこと。

なぜか目が離せなくなるそのキャラクターにも注目だ。


■全日本自転車競技選手権大会 ロードレース U23 リザルト
1 鎌田晃輝(VC FUKUOKA)3時間22分12秒
7 佐藤光 +3分47秒
30 湯浅博貴 15分01秒
DNF 篠原輝利
DNF 千原一馬


■全日本自転車競技選手権大会 ロードレース 女子エリート+U23

会場:日本サイクルスポーツセンター
距離:88.0km(8.0km×11 周)
出走者:滝川陽希
 
1周8.0kmのコースを11周、合計88.0kmで争われた女子のレースは、Human Powered Healthの與那嶺恵理選手が独走勝利。6度目の全日本チャンピオンに輝いた。


さいたま那須サンブレイブ ウィメンズから出走した滝川選手はDNF。完走者は25人中8人だった。
 
レース前、滝川選手は、與那嶺選手や牧瀬翼(WINGS PLUS)、金子広美選手(イナーメ信濃山形)といった実力が頭一つ抜けた選手たちと真っ向勝負をするのは難しいと判断。序盤に逃げて前待ちをする、もしくはスローペースで進めばそこについていき、得意の独走でゴールを目指す作戦を立てていた。

 しかし、與那嶺選手は逃げを許さず。滝川選手は1周目後半で「耐えるしかない」と判断し、ちぎれるまでついていくと気持ちを切り替えたが、5周目でDNFとなった。 

実はこのレースに向けて、滝川選手は上りを強化してきた。

 「上りを強化し、予想以上に手ごたえがあった。あわよくばトップ選手と戦えるのではないかと期待もあったが甘くはなかった。3周目でちぎれてしまいハンガーノックに。いつもならばちぎれてもテンポでついてけるところも、4周目終盤から体に力が入らなくなった」と振り返る。 

また、ハンガーノックになった要因として、1・2周目で補給をとれなかったこと。前日までにカーボローディングができなかったことを挙げた。 
「上りを強化するための一つとして、元々体重を落とすのが苦手だが、1か月で2キロ少し落とした。しかし、レース前もその意識が働いてしまい食べることに罪悪感があった。レース前は本来、食べてエネルギーを溜めなければいけないがそれができなかった」と振り返る。

また、直前の調子の良さが慢心に繋がったこと、食事面で追い込み過ぎたことも反省点として口にした。 

しかし、4月に23分かかった峠のタイムトライアルが、全日本直前に18分49秒までに短縮。確実に上りのレベルは強化されている。

 鈴木監督も「リタイアとなってしまったが、序盤に余裕を持って上れたことはここ数年なかったこと。その感覚があったのは、今後につながるいい結果だと思う」と手ごたえを口にする。 

滝川選手自身は今後について、「まず国体優勝を目指したい。また、厳しい上りがあり回避してきたジャパンカップやツール・ド・おきなわに出場したい。おきなわは全日本に出場した選手も多く出ると思うので、自分の力がどこまで通用するのか試したい」と意気込む。 


ところで、今回、滝川選手はサンブレイブの選手として初めてレースに出場した。「旗を持つなど、今まで以上に応援してくださる方がいるのが心強い。メカニックも夜遅くまで作業してくださった。また、これまでは一人での遠征が多く緊張してしまうこともあったが、(同じ日にレースがあった)アンダーの選手と時間をともにすることで緊張しなかった。若い選手の話を聞いて自分も頑張ろうと思えたのはすごく大きかった(滝川)」 

持ち前の向上心で、上りでも躍動する姿をみせてくれるはずだ。

■全日本自転車競技選手権大会 ロードレース 女子エリート リザルト
1 與那嶺恵理(Human Powered Health)3時間02分03秒
DNF 滝川陽希


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