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建築積算入門 破風・鼻隠し



破風・鼻隠しとは


軒先の先端(鼻先)、垂木の小口に取り付ける板状の部材。
洋風の建物は、硬質セメント系の既製品の破風・幕板が多用されています。
また、けらば側に設ける場合は、「破風」といいます。


破風・鼻隠し


材質
木製・金属(ガルバリウム)・窯業系
【窯業(ようぎょう)とは】
粘土、ケイ砂、石灰岩などから陶磁器、瓦、セラミックス、セメントなど、非金属原料を高熱処理して作るものを製造する工業のこと。
窯(かま)を使用するため、窯業と呼ばれている。

鼻隠しの役目

ここでは、軒先の先端で鼻隠しが果たしている主な役目を紹介します。

1.雨水浸入防止
鼻隠しがないと、屋根内部に雨水が浸み込んでしまう。
具体的には、垂木や野地板の切り口や垂木間の空間から雨水が浸入し、雨漏りや腐食の原因になる。

2.耐風性を高める
鼻隠しがないと、屋根内部の垂木間の空間に風が吹き込み、屋根に浮力を持たせることになる。
屋根自体は、浮力の対して弱い構造になっている。だから台風時などに大きな被害を受ける可能性が高くなる。

3.化粧性の向上
化粧とは、建築用語で見た目を整えて仕上げるという意味になる。
屋根内部の垂木や野地板の切り口は、決して見た目がいいものではない。そのため、鼻隠しを取り付けてその部分を隠している。

4.雨樋取り付けのため
鼻隠しは、雨樋の支持金具を取り付けるところでもある。
もしも鼻隠しが無かったら、垂木の切り口部分でしか、支持金具が付けられず、キチンと雨樋を取り付けることは出来ない。

有名なメーカー

ニチハ・東レ・クラボウ・神島・フクビ
厚12~18mm
巾150~240mm
長3030mm~


カタログ抜粋

積算方法

モデル図面

3階(最上階)平面図
立面図

下の立面図で青が鼻隠し、オレンジは破風となります。

長さの算出方法


南側(鼻隠し)
①3階平面図より、端(柱芯)から端(柱芯)までの寸法を確認。
10237.5mm


② ①の寸法(10237.5mm)に軒の出(250mmx2か所)を足す
③10237.5mm+250mm+250mm=10737.5mm
※軒の出とは
軒の出とは外壁から伸びている屋根の部分である「軒」の長さを指します。
屋根を支える外壁の柱の中心から、軒の先端である軒先(のきさき)までの距離を指します。
※立面図上では下記の部分が軒の出となります

北側(鼻隠し)
南側と同様
10237.5mm+250mm+250mm=10737.5mm

東側(破風)
①3階平面図より、端(柱芯)から端(柱芯)までの寸法を確認
3185mm

② ①の寸法(3185mm)に軒の出(250mmx2か所)を足す
③3185mm+250mm+250mm=3685mm
④勾配部になる為、③の寸法に勾配伸び率を掛けます。
※勾配伸び率は下記早見表を参照
3685mmx1.005=3703.425mm


西側(破風)
東側と同様
3185mm+250mm+250mm=3685mm
3685mmx1.005=3703.425mm

東西南北の長さを全て足すと破風・鼻隠しの総長が求められ、
使用する破風・鼻隠しの1本の長さで割ると必要な本数が出ます。

10737.5mm(南)+10737.5mm(北)+3703.425mm(東)+3703.425mm(西)
=28881.85mm
28881.85mm÷3030mm=9.53…切り上げ10本
答え:10本


建築積算に興味をお持ちの方へ役立つ記事を掲載していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

お読みいただきありがとうございました。

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