“ワンチーム”でプロジェクトに取り組む重要性。メンバーが5倍に増加しても、コミュニケーションコストが変わらなかったーー株式会社Finatext
さまざまな業界・業種でDXが進むなかで、ユーザーフレンドリーなUI/UXがより一層求められています。
しかし、自社のエンジニアリソースや技術的ノウハウなどの兼ね合いで、ユーザーフレンドリーなプロダクト開発ができない課題に悩む企業も多くなっています。
そんななか、フィンテック企業のFinatextが手がけるSaaS型デジタル保険基幹システム「Inspire」のパートナー向け導入プロジェクトをSun*が支援しました。
同サービスを担当する株式会社Finatext BizDev 鈴木優斗さんと、プロジェクトのPMを担当する株式会社Sun Asterisk 松本陶矢に、「ワンチームでプロジェクトを進める重要性」について話を聞きました。
重厚長大な金融システムからの脱却を図るためにInspireを開発
── はじめに、Finatextグループの概要やSaaS型デジタル保険システム「Inspire」のサービス内容について教えてください。
鈴木:Finatextグループは、「金融×テクノロジー」を軸にしたビジネスを手がけるフィンテック企業です。
主に3つの事業を行っており、1つ目は金融業界向けのアプリケーション開発や、技術支援といった「フィンテックソリューション」を展開しています。2つ目は、クレジットカードの決済データやスーパーのPOSデータ、スマホの位置情報データなどさまざまなビックデータの解析を行い、その利活用を支援する事業です。そして3つ目が、資産運用や保険、貸金といった金融インフラをSaaS型のシステムとして事業会社に提供する金融インフラストラクチャ事業です。
今回、Sun*とご一緒させていただいたのは、金融インフラ事業の中の、「Inspire」という保険業界向けのBtoBソリューションビジネスでした。
従来の保険会社のシステムは重厚長大に作られているので、商品開発や新たなマーケット開拓等の新しいチャレンジがなかなかがしづらいというのが業界全体の課題だと言えるでしょう。
我々は、保険事業者がお客様の細かなニーズに合わせ、より良い体験づくりにチャレンジできるようなSaaS型の保険基幹システムを提供しています。
Inspireは2020年にサービスを開始しましたが、初期の頃から純粋なSaaSプロダクトとして提供しており、さらには日本の金融機関に根差した形でのデリバリー品質にこだわったこともあり、導入企業様からは一定のご評価をいただいております。
── Inspireのサービスを立ち上げたのは、どのような背景があったのでしょうか?
鈴木:もともと弊社では、自社でも明日の株価を予測するサービス「あすかぶ!」(※現在はクローズ)など金融系のアプリ開発を行っていました。
しかし、フロントエンドのアプリをうまくつくっても、裏側の金融機関の業務やシステムが重たくて顧客に寄り添った金融サービスがつくれないということに気づき、、金融インフラ事業を新たに立ち上げたのです。
まずは資産運用のインフラ提供から事業を始め、ある程度の実績が積み上がってきた段階で、保険領域にも拡大していこうと考え、リリースしたのがInspireとなっています。
ユーザーフレンドリーなプロダクト開発とサービスの急成長に対応するために外部パートナーを検討
── 2022年10月からSun*とのトライアルを実施し、2023年2月から正式にプロジェクトをスタートしました。その当時はどのような課題を抱えていたのでしょうか?
鈴木:InspireはSaaSのビジネスモデルなので、プロダクトのアップデートにも投資をしていく必要があります。
ユーザーニーズに沿った形でプロダクトのブラッシュアップを行い、サービスの向上を図っていく必要性を感じていたのに加え、2022年は導入パートナー数が急激に増えたタイミングでもありました。
プロダクト自体のアップデートを進めながら、同時に急激な需要にも応えられるようなスケーラブルな開発体制を構築できないかと考えていました。
サービスの成長に合わせ、開発体制のスケールを考えたときに、自社だけでなく外部パートナーの力も借りることも視野に入れ始めました。
そして弊社のCTOがSun*のメンバーと繋がっていたことがきっかけで、プロジェクトをご一緒する具体的な検討を進めていったのです。
Sun*とのトライアル期間でも、Inspireを用いた開発の進め方を早期にキャッチアップいただき、とても感触が良かったので、そのまま継続してプロジェクトを推進していきました。
── 最終的にSun*をパートナーに選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?
鈴木:今までプロパーのエンジニアで作ってきたプロダクトを、「外部のエンジニアでも同じクオリティのものを作ってもらえるのか」というのが唯一の懸念点でした。
ですが、トライアルを実施したことで不安を払拭できたのが大きかったですね。
保険はニッチかつ専門性が高い領域なので、そこを噛み砕きながら実装に落とし込むのはハードルが高いわけですが、Sun*は全然問題なく対応いただいていたので、とても安心しました。
松本:プロジェクトの体制構築としては、日本側のPMとベトナム側のブリッジSEを配置し、エンジニアはフロントエンド、バックエンド、QAを置いたシンプルなチーム組成を心がけました。
当初は5名のチーム体制で動いていましたが、現状は複数のプロジェクトが走っているので、ベトナム側は20名くらいが稼働しており、日本側は3名のPMを据えています。
プロジェクトの稼働状況によって、細かな体制や人数を調整しながら取り組んでいる状況です。
“ワンチーム”を意識したからこそ、円滑なコミュニケーションが可能に
── プロジェクトを通しての社内外の反響があれば教えてください。
鈴木:社内では、Sun*がプロジェクトに参画したことで「非常に助かっている」というポジティブな反応を多くもらっています。
また、私個人としてもSun*の対応の早さには驚いていますし、「こうした方がもっとプロダクトが良くなる」というご提案をいただくことも多く、“ワンチーム”で プロジェクトを推進していただいているのが、社内の高評価につながっていると思っています。
再委託するという形ではなく、弊社のメンバーとしてプロジェクトに入っていただいている感覚で依頼できるくらい、良好な信頼関係を構築できていると実感しています。
松本:鈴木さんが仰っていただいた通りで、契約形態としては再委託ですが、本当にワンチームを意識していることもあって、お互いコミュニケーションもしやすいですし、各Slackのチャンネルで技術的な課題の相談も気兼ねなくできるくらいフラットな雰囲気を作れていると感じています。
伝言ゲームではなく、本音も言い合えるような関係性を作ることで、しっかりとした意思疎通ができていると思っていますね。
また、スピード感を保てているのも、両社でコミュニケーションの円滑が図れていることが大きいのではないでしょうか。
鈴木:こういった関係性を作れていることもあり、ベトナム側のプロジェクトメンバーとのコミュニケーションも最初からスムーズで、メンバーが増えてきたときにも「どういう風にコミュニケーションを変えていくか」というのを試行錯誤しながら、アップデートし続けています。
その施策がうまくいっていて、チーム全体の連携が強化され、プロジェクトの進行も円滑に進むようになりました。現在は以前と比べて5倍のメンバーがいるなかでも、コミュニケーションコストは変わらずにプロジェクトを回すことができています。
インシュアテックの市場拡大に貢献するプロダクトへ成長させたい
── 最後に、今後取り組んでいきたい目標や展望があればお聞かせください。
鈴木:Inspireを提供し始めてから4年目になり、現在は10社に導入いただいていますが、インシュアテックの領域はまだまだポテンシャルがあるので、今後はその市場拡大に貢献していきたいと考えています。
SaaS型のソリューション提供で得た知見やノウハウをもとに、保険会社のより中核のビジネスに関わっていけるようなプロダクトへと成長させることで、市場拡大につなげていく。
そこを目指していくためには、今よりもリソースを投入しなくてはならないプロジェクトも増えてくるので、これからもSun*のメンバーにお力添えいただきながら取り組んでいきたいですね。
松本:ベトナム側は「Inspireの成長を支えるのはとても楽しい」と言ってくれているので、その状況を維持しつつ、Inspireのさらなる成長を継続的に支援できればと思っています。