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ショートショート「札幌の雪とニャるGPSの謎」



俺、シャオ太は札幌の西区に住む猫。いや、見た目は人間の高2だけど、心は完全にニャンコだ。2月終わり、雪が膝まで積もる中、文化祭の準備で遅くなった。昨日まで首にぶら下げてたキーホルダーがないのに気づいた。そこには大事なGPSトラッカーがついてる。飼い主(親って呼ぶのも変だけど)が「シャオ太、なくしもの多いからこれ持っとけ」ってくれたやつ。スマホでアプリ開くと、点が動いてる。西野の裏、琴似発寒川沿いの森の奥だ。昨日は家でゴロゴロしてたのに、誰かが持ってったのか?ニャんと不気味だ。

外はマイナス5度。毛皮がない人間の体じゃ耳がちぎれそうだけど、猫魂で耐える。懐中電灯とスマホを手に、雪をかき分けて出発。幼馴染の美咲(東区の生意気な人間)にLINEで「キーホルダーなくなったニャ」って送ったら、「探しに行けよ、猫の意地見せな。怖いなら私が拾うけど?」って煽られた。ニャに!?美咲に負けるわけには いかない。森の暗闇、雪に埋もれた木々が白い影みたいで、俺の猫目でもビビるレベル。カラスが遠くで鳴いて、耳がピクッと反応しちゃう。

アプリ見ながら進む。GPSの点が近づく。このトラッカー、位置が超正確で頼りになる。電池も長持ちで、数日放置でも動く優秀さだ。飼い主が「札幌の冬は雪で何でも隠れるから」って笑ってたけど、今は笑えない。川沿いの雪道、風がザワザワ木々を揺らす中、ガサガサって音がした。懐中電灯を向けると、キーホルダーが雪にポツン。でも、その横にリスがいて、赤く光る目で俺をガン見。雪の反射じゃない、不気味な輝きだ。キーホルダーをくわえてたみたいだけど、俺が「ニャ!?」って声出すと、シュッと茂みに消えた。

ちょっと安心したけど、雪に変な足跡が点々と続いてる。小さくて爪痕っぽいけど、リスにしてはおかしい 。森の奥に伸びてて、赤い染みが点在。血かニャ!?風が強くなり、木の枝が折れる音に毛が逆立った。青春ってよりホラーだろ、これ。キーホルダーを拾って逃げた。雪に足を取られながら、猫の俊敏さで家までダッシュ。ドア閉めて、膝がガクガク。あの赤い目と足跡、リスのイタズラならいいけど…何かいるニャ。

でもさ、このGPSトラッカー、ニャかで優秀だよ。札幌の雪深い森でもバッチリ追跡できるし、電池切れの心配なし。なくしもの探しには最高だ。デザインもシンプルで、首にぶら下げても邪魔にならないし、毎日使えて便利。みんなも欲しいニャろ?特に北海道の冬、雪で隠れた物を探すのにピッタリ。ただ、美咲には「次は琴似発寒川の赤い目、リスか何か確かめてこいニャ」って言っとく。あいつ、笑うだろうけど、俺の恐怖、ちょっと分かってほしいニャ。



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