偽善者
喜び 微笑み 満足し
他者への愛を垂れ流す
だが、どれだけ他人を救おうと
己が救われることはない
むしろ、疎まれた
むしろ、邪魔だと言われた
助けたあとには唾を吐かれた
苦しみ 悲しみ 号泣し
負の感情を打ち消そうとした
だが、どれだけ己を責めようと
偽善者は救われない
そう
これは救われない物語だった
それでも良いと偽善を貫き
他者の為に心が傷つき
魂は苦しいと泣き叫ぶ
それでも良いと偽善を貫き
他者の為に心が傷つき
魂は悲しいと泣き叫ぶ
繰り返し 繰り返し……
繰り返し 繰り返し……
慈善は偽善と言われ、
慈善は自己満足だと貶される
どこまでも、慈善は偽善とは呼ばれなかった
こうして、偽善者と呼ばれた者は砕けちった
善の心を奪われ
翼をもがれ地に落ちた
憎しみと恨みを背負って
地べたを這いずり逃げ回る
救った者達に踏みつけられ
偽善者の心はどこまでも砕けていく
誰かに手を差し伸べることがこれほど難しいのかと
悔しさに歯を嚙みしめた……
そうして、偽善者は壊れた
心を砕かれ
手足はもがれ
救った者達に体は破壊され
偽善者の体が自然に散っていく
朦朧とする意識の中 偽善者は想う
誰が為に願った心が消えていく……
誰が為に動かした体が消えていく……
誰が為に生きていた魂が泣いている……
偽善者の抉られた瞳の奥には
地獄の炎が燃え盛る
生きとし生ける者を恨み
全ての生を恨み
燃やし尽くさんと業火を放つ
魂の嘆き 炎となり轟くがいい
生命に滅びを 生者に死を……
怒りの炎が世界を包んでいく
炎は踏みつけた者達を飲み込み
翼をもいだ者達を喰らい
五感を奪った者達を焼き去った
魂の嘆き 業炎となり轟くがいい
生命に滅びを 生者に死を……
怨恨の業火が町全体を包み込む
人々の叫び声がこだまする
助けてくれと泣き叫ぶ
私は違うと泣き叫ぶ
俺は違うと反論する
だが、人類皆平等と
業火の炎は全てを包み込んでいく
数万の命と引き換えに
偽善者の魂は静まった
跡形もない灰の町で
燃え尽きた偽善者の魂が
静かに町に立ち尽くす
魂を悪魔に売った偽善者は
静かに魂を手渡す
心も体も失った偽善者の
くり抜かれた目元からは
ただ涙が零れ落ちていた――――――
人を変えることはできないけれど、誰かの心に刺さるように、私はこれからも続けていきます。いつかこの道で前に進めるように。(_ _)