「コンテンツ・ファースト」―顧客を集めてから商品を作る逆転の発想とは―
コンテンツマーケティング
2016.02.02
こんにちは、イノーバ代表の宗像です。
英語で出た新しい本に『Content Inc.』というものがあります。著者はJoePulizzi(ジョー・プリッツィ)というContent Marketing Institute(英文サイト)の人で、コンテンツ・マーケティング系では最も名が知られています。
内容としては、コンテンツ・ファーストにおける、ビジネスの立ち上げ事例や、そのメリットを紹介しています。従来のビジネスとは考え方が逆転していて、「つくってからお客さんを集める」のではなく、「お客さんを集めてからつくりましょう」という発想です。非常におもしろいので、こちらで詳しくご紹介しましょう。
「コンテンツからはじめる」という発想
製品開発や起業においては、ふつう、先に商品やサービスを考えてからはじめます。たとえば、「こんなアプリはおもしろいんじゃないか」と思ってアプリをつくってみるとか、「こんなお店ならニーズがあるんじゃないか」と思ってお店を開いてみる。
しかしそれは、けっこうリスクが高い。そもそも、「本当にニーズがあるのかどうか」というところに落とし穴があります。そこで、発想を転換し、「ニーズの検証をコンテンツで実践しませんか?」というのが本書の要点です。
ファンを増やして商品を売る
たとえば、この本に事例として掲載されている「SEOmoz」。いまは「Moz」という名前になりましたが、ここのビジネスは何かというと、SEOを分析するソフトウェアの開発・販売です。
もともとは、Webの制作やコンサルティングをしていた会社です。ただ、制作やコンサルティングというのは受託的だし、見積りに失敗すると赤字が出ることもあった。
どうしようかと考えていたときに、SEOの知識があったこと、そして広報や発信に熱心だったことに気がつきました。そこで、ブログでの情報発信や、ソーシャル・メディア・掲示板サイトへの書き込みなどを通して、ファンを増やしていったのです。
そのファンに対してソフトウェアを売る「SEOmoz」というツールを出してからは、ものすごく順調に伸びています。2013年だと29億円の売上があります。これを少人数で実践されている。今では、コンサルティング業務等をやらなくても、経営が安定しているそうです。
情熱と経験があれば情報発信はできる
本書から得られる教訓は、モノをつくって売る前に、その分野に関連する情報発信をしよう、ということ。そうすることで、ニーズがあるかどうかを確認できます
イノーバも最初は、コンテンツをつくりつつ、アクセス数を稼いだり、メール・アドレスを集めたりしていました。コンテンツ制作のいいところは、その過程で、浮かび上がってくる課題を解決したいという情熱や想いが強まることです。
また、情報発信は、知識がないとできません。きちんと調べて書いていくうちに、どんどん詳しくなれるわけです。こうして知識と情熱が深まっていくことで、ビジネスを立ち上げる際の原動力となります。
製品やサービスを出す前に、ブログを書いて、いろいろな読者にサービスすることからはじめる。まずは書くことから。本当に「この課題を解決したい!」という情熱や経験があるのであれば、書けるはずです。
もし書けないのであれば、まだ情熱が足りないか、あるいは知識・経験不足かもしれませんね。
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