的外れなリプライをもらって考えたこと
「国道沿いで、だいじょうぶ100回」という本を読み、短い感想をXに投稿しました。続けて作中に出てきて印象に残った文章を引用として紹介したところ、多くの方の目に留まったようで…ほとんどの方はただ静かにいいねやRPのボタンを押すだけで、おそらく著者の言いたいことを受け取ってのことだと思うのですが、中にはやはりいわゆるクソリプというものもあり、私も少し考えたことを書こうと思いました。
作者の岸田奈美さんは著書ならびにXやnoteでも人気の作家さんなのでご存じの方も多いと思います。車椅子利用者の母とダウン症の弟、幼い頃に急逝した父とのエピソードなどを綴った自伝的エッセイ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」はドラマ化もされました。
今回私が読んだ「国道沿いで、だいじょうぶ100回」も、弟や母、家族のことを中心に、運転免許取得に奮闘した話など日常のエッセイが綴られています。笑いあり、あたたかな涙もあり、読んでよかったなと思う一冊でした。
さて、今回あった的外れなリプライですが(クソという言葉が嫌なので置き換えます)、眼鏡が普及したのは何年ごろだからどうとか・読書が普及したのはいつとか・視力0.3だったら読めるとかそういう話の腰を折るタイプのリプライの多いこと!
本を読めばわかるのですが、この文章がどんな背景から生まれた言葉なのか書いてなかった私の落ち度かもしれません、そこはごめんなさい。著者の岸田さんはあるXでの投稿に「障がい者は死ね!」といった内容のリプライを受け取ります。「何を言っているかより、何故言ったのかが大事」と岸田さんは投稿者にどうしてそんなことを言ったのか質問します。その後投稿者の母親から手紙が来るなどやりとりがあり、投稿者自身が障がい者であり、いじめを受けており「死ね」と言われたこともあったと。引用元はその投稿者に向けて手紙のような形で綴られた一章だったのです。
エッセイ本の中に、手紙のような形で書かれた一章。言葉はとてもやさしく、相手のことを傷つけないようにと気遣いを感じる語りかけでした。
だからこそ、岸田さんはわかりやすく、誰にでも馴染みのある、ジブンゴト化しやすい眼鏡の話を出したのだと思います。眼鏡の普及が何年ごろだからこの話はおかしいとかそこじゃないよと。
私自身の話になりますが、私は子どものころからアトピーがあります。今でこそアトピーは国民病だとか言われ、すごく認知度の高い疾患だと感じています。しかし私が幼児のころ、いまから30数年前はまだ広く認知されていなかったようです。電車に乗ると「うつる病気じゃないやろね?」と見知らぬ人にいきなり言われ、私の手を引きながら悲しくて悔しくて泣いたことがあると母に言われたことがあります。
何かの漫画でもアトピーの子どもが「一緒にプールに入りたくない」と同級生に言われるシーンを見たことがあります。私は言われたことはありませんが、漫画になるくらいだからきっと実際にあることなんでしょう。
よくわからない皮膚病の人を見て「うつったら嫌だ」と思うことはまぁ、本能としては正しいことだと思います。それを口に出すかどうか、攻撃的になる必要の是非は置いておいて。
アトピーやアレルギーへの理解が進んだのは皮肉にも患者数が増えたことが原因だと思っています。自分は症状がなくても、家族や友達、職場の仲間など石を投げれば当たるぐらいには苦しんでいる人がいるので「辛いらしいね、大丈夫?」と寄り添えるし、悪く言ってはいけないことだと子どものころから言われ学んできていると思います。(それでもいじめはあるのだと思いますが…)
そのおかげで、だいぶ生きやすいのだと思います。電車に乗っただけで暴言を吐かれるようなことはありませんし、治療薬も昔に比べすごく良くなってきているんだと思います。アトピーに関しては認知が進み、受け入れられるように社会が変わったのだと思います。
アトピーやアレルギー、例えばLGBTQなどにしてもそうです。「そういう人もいるんだ」と知ることで私たち全体が生きやすくなると思います。
元の話に戻ります。一番良いのは社会が変わって、障害がある人も暮らしやすくなることだと思います。薬が作られたり、バリアフリーが進んだり、視力の悪さが眼鏡で補えるようになることですよね。でもそれは難しく時間もかかることでもあります。
だからやっぱり、私たちがまずすべきなのは知ることだなと思いました。障害に限らず、いろんな立場の人のことを知らなきゃいけないなぁとも思います。今回この本を読んで、入院患者がわがままになるエピソードも心に残りました。自分だって長期入院する可能性はある。家族が長期入院し心を病んだとき、優しく対応できるだろうか?
最後に、今回、的外れなリプライや攻撃的なリプライが来ても、私は本に書いてあった文章を引用しただけなので全然傷ついていません。肯定的なリプライにも特に嬉しさとかはないです。そう思うひともいるんだな~と思うのみです。ただこの文章は上述したように、攻撃的なリプライに対しての著者からの穏やかな返答なので、さらに攻撃的なリプライが生まれてしまうのは著者に申し訳ないなと感じています。
唯一ひとつだけ来た、私の投稿の書き方について投げられたクソリプに関しては「はぁ!?」ってなりました。(クソという言葉使いたくないけどクソリプとしか言いようがなかった) あなたが正しいと思うルールの下でみんな生きてるわけじゃないよと。やっぱり嫌なものですね。
思ったことをまとまりなく書きました。興味を持たれた方はぜひ岸田奈美さんの著書やnoteを読んでみてください。
【追記】
Xの私の投稿に、あまりにもたくさん「視力0.3あったら本読めるぞ」リプが来るので、もしや私の間違いか?と心配になり該当の文章を確認しました。やはり0.3と書かれてました。(図書館で借りた本だったので返却済のため、著者のnote記事に課金して確認しました)
いいじゃん、そこは0.1と書いてたらみんな突っ込まなかったのか?論文でもないんだしもっとおおらかに読んでも良いではないか…と私は思います。でも感じ方は人それぞれ、どうしても許せないなら私に見えない形で自分の意見として投稿してください〜私に言われてもどうしようもないんだよ〜
もうこれ以上は触れないぞ。
これからも心に残る文章や映画、作品の感想はたまに投稿しますが、こういうことも起こるんだなぁと肝に銘じておきます。
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