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鳥の気持ちを考えて撮影をしよう、と心に誓った話
関東のとあるベニマシコが飛来する場所へ行った時のこと。
そこには、ベニマシコがよくいると言われる“お立ち台”があって、行くと、十数台の自転車。そして十数台の望遠カメラの砲列が眼下のセイタカアワダチソウに向いています。
下を覗くと、ほかの木の陰になるのでしょうか、セイタカアワダチソウのふさふさした部分を外に向ける“作業”をしているおじさん。
こんなんじゃ、ベニマシコは怖がって出てきませんよね? そういうことを思わないのかな……同じ人種になることは憚られたので、すぐさまその“お立ち台”を去りました。
そこからほど近く、以前ベニマシコと会うことのできたエリアに足を運びます。すると、足下にはアオジ。
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近くにいてもなかなかその場所を離れません。こっちもそっと見守っていました。
こんなふうに鳥が安心してくれると嬉しいもの。横をランナーが駆け抜けていきましたが、そんなのどこ吹く風。鳥の気持ちになったら、“砲列”はやっぱり怖いよな、ってなりました。
さらに移動し、以前ベニマシコを見かけた場所へ。めっちゃ寒い冬空の下、のんびりと佇みます。カメラを持っているのは自分一人。でも、静かに時を待ちます。鳥の気配がします。羽音がします。枯れ草の間を動く音がします。風が吹きます。チッ、チッ、と声がします。寒いけどじっと待ちます。藪の中、目を凝らします。ゆっくり、レンズを向けます。すると、
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ベニマシコのメスが出てきてくれました。
あたりには私以外誰もおらず、たまにランニングの人が通り過ぎるだけ。
鳥は、脅かさなければ、怖がらせなければ出てきてくれる。会いに来てくれる。写真のベニマシコもどこか柔らかい表情です。
最近、撮り鉄ならぬ、鳥の“撮り徹“が増えているような気がします。
趣味としては奥深いし、機材も良くなってきたので、増えることは否定しないけど、ちょっと威圧感のある人が多いような。まして、この日のように彼らの餌である植物に手を出すのは言語道断。
撮り鉄のように、世の中から見られる日が来ませんように。
そんなわけで、これからは撮影場所が分かるような表現も止めよう、と思った次第です。ご容赦あれ。
余談。
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眉毛のあるジョウビタキメス(笑)。