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私がトリミングを気にしなくなった訳
みなさん、撮影した後の写真をトリミングしていますか?
私は以前、撮った写真はトリミングすべきではない、ノートリミングこそが撮影の要諦だと信じていました。
アンリ・カルティエ=ブレッソンがトリミングを嫌い、ファインダーで覗いてフレーミングしていた・・・・・・そんな伝説を真に受けていたこともあります。
撮影の時、ファインダーの四隅に神経を配る。例えばこの写真、
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上の画の赤い線や、左右の人の方や頭は絶対ケラレたくない。そんなことを考え、考え、撮影をしてきました。
でも、最近では撮影後の写真のトリミングは「アリ」、肯定派になりました。その理由について、書きたいと思います。
理由その1:写真をプリントすれば意味が無くなるから
私は今も、主に35mmのフィルムカメラを使って撮影をしています。35mmの実画面サイズは、24mm×35mm、アスペクト比は2:3ですね。
この写真をプリントする時、“問題”が起こります。
例えばA4にプリントする場合、A4サイズは、210mm×297mm、アスペクト比は1:√2で、フィルムカメラと比率を合わせると、およそ2:2.8となり、横向きのプリントの場合、左右がケラレることになります。
現像した写真をお店でプリントアウトしてもらう場合のサイズに、四切や六切があります。
四切のサイズは 254 mm×305 mm、アスペクト比は1:1.2 で、これもフィルムカメラと比率を合わせると、およそ2:2.4となり、横向きの場合A4よりもさらに横がケラレます。ワイド四切というサイズもあります。この場合のサイズは254mm×365mm 、アスペクト比1:1.44、およそ2:2.9で、フィルムのそれに近くはなるものの、それでも2:3ではありません。
六切はどうでしょう。サイズは203mm×254mm、1 : 1.25、およそ2:2.5で、フィルムカメラと比べると、ずいぶんケラレが多くなってしまいます。なお、ワイド六切ですと203mm×305mm、アスペクト比1:1.5、およそ2:3とようやくフィルムカメラと同じになります。
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もしもフィルムカメラで細心の注意を払ってフレーミングをしても、プリントした時にケラレてしまう。もちろん、余白を取ってプリントをすることも可能ですが、四切や六切の場合、余白がすごく中途半端なんですよね。額装ならば問題ないとはいえ、パネル展示は結局余白をカットすることになるし。この問題に直面してから、ケラレない範囲を考えて撮るようになりましたが、それって本当に欲しいフレーミングなのか、とかえって悩むようなりました。
理由その2:ファインダーの視野率が100%とは限らないから
ライカって、よく完璧なカメラとして紹介されますね。でも、例えばライカM3でも、視野率は100%ではありません。ってゆーか、ファインダーを覗くと、ブライトフレームの“外側”も見えるのですが、かえって「フィルムの画角がどこまでか分からなくなる」というジレンマに陥ることがあります。さらに、50mmレンズのブライトフレームは四隅が丸くなっているので、フレーミングは意外と曖昧になります。まして、エキザクタは・・・・・・そうなると、ファインダーでフレーミングしても正確なケラレとかは分からないんですよね。
理由その3:デジカメの画質が良くなったから
最近のデジカメの画質には目を見張るものがあります。
例えば、この写真。
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トリミングしても、これだけの画質が保たれます。
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だったら、よほどでない限り、ある程度の望遠レンズであれば、撮ったものをトリミングしても、鑑賞に堪えうる画は創れるわけです。
ファインダー上のフレーミングにこだわってもそれほど意味がない。結局、フレーミングとは、最終的にどのバランスで被写体を収めた作品にしたいか、であって、撮影中に意識することは大切ではあるものの、撮った瞬間に枠の中にぴちっと収めること、ではないと思います。