第50回:砂子塾長の熱血ドラテク持論
今月6日に誕生日を迎え59歳になる。この時期のたわいも無い会話。
「日が短くなったよね~」
「もう来月12月だよ・・・。」
「1年早くね!?」笑
毎年繰り広げられる、意味なき共感会話である。笑
子供の頃は8月の夏休みを途方もなく長く感じていたのに・・・。
歳を重ねる毎に早く感じる1年。
6歳の子供にとっての1年は1/6であり60歳の大人の1年は1/60という時間軸対比によるものでろうと推測される。つまりは時間への感じ方なのだ。
そう、今日のテーマは「時間軸」
2023年のレース業界は大きなアクシデントが目立ったシーズンとなった。鈴鹿S耐での山野選手の130R立ち上がりでの接触クラッシュ。SUGOのスーパーGTではスタンレーNSXの山本尚貴選手が最終コーナー立ち上がりで接触から大クラッシュ。
そして、同じくGTでの130R出口の松田次生選手がクラッシュ。記憶に一番新しいのが、またもや鈴鹿130Rでスーパーフォーミュラ最終戦。笹原右京選手と大津弘樹選手が接触し2台とも激しくクラッシュした。
それぞれのクラッシュの要因は勿論様々なのだが、こういう有事が起きた時に湧き上がる話題がサーキットの安全性である。
オレ的持論の結論を先に言うと
「安全なサーキットなんてない」のだ。
ただ間違いなく言えるのはスピードは年々アップしているという事。ランオフエリアはスピードが遅い20年前と変わらないわけでサーキットも様々な対策を施してもスピードが上がっているのに、ガードレールやスポンジバリアまでの距離は変えられないし、拡張しようものならこれまた相当な金額負担がサーキットにのしかかる。
ここ10年で大きな論争となる4脱(4輪脱輪)もサーキットアウト側の舗装が増えた事で巻き起こる話題だ。昔は全てグラベルだったのでコースオフ=終了の緊張感は現在の比ではなかった。
鈴鹿130Rは出口側アウトは舗装されており、F1サポートレースで開催されたBMRレースではオープニングラップのトップでその恩恵にあずかった。笑(勿論、優勝しましたが!)
そのアウト側の手前はグラベルなのだが、その右京くんと大津くんの接触ではマシンが宙に浮かび、当たり前だがグラベルによる速度低下せずにバリアへとクラッシュしてしまった。こうなるとグラベル本来の役割すら渡せないわけだ。
皆さんよくご存知の富士ではほとんどグラベルがないため、2輪の大きな大会が開催出来ないんだとか。ライダーの転倒のさいにはとにかくライダーをグラベルで減速させたいのだ。
本題に戻ろう、ここ20年のスピードアップは凄まじいものがある。95年のF3000鈴鹿のコースレコードは1分42秒台、昨年のGT500のレコードが1分44秒台なのだ。もう恐ろしい速さ。それに加えてスーパーGTは約50台ものマシンがレースをするわけで、数年前に流行った「密」である。だからこそスリリングなシーンが生まれファンが沸き立つのだ。
ただどうにもならない人間の能力や物理の限界が近づいているようにも感じる。スピード+密のおかげでドライバー達が感じる時間が極端に短くなっている。各コーナーを駆け抜ける時間の感じ方はアマチュアよりもプロドライバーのほうが同じ時間を長く感じている。しかしスーパーGTではドライバーにその時間の余裕を感じさせない状況なのだ。
ラップタイムを5秒落とせば、全てのドライバーは時間軸は相当長く感じてくるはずだ。見ているファンが5秒遅くなってもなんらスリリングに影響はないはず。どうやってタイム落とすか?パワー、タイヤサイズ、ダウンフォース削減等々、色んな手法があるだろう。
安全の為にサーキットを変える必要なんてなかろう。かつてはスピード抑制の為に、やたらとシケインが作られた。ル・マンのユノディエールストレートは有名だ。これは技術革新と共に必要を迫られた。現在は違う。
毎年、コースレコードを更新しなくてもいいのだ。いいバトルを演じられてファンが喜ぶレースを見せられれば!
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