第45回:砂子塾長の熱血ドラテク持論
まずは今回のコラム主役である(株)ダイワグループ(以降DG)の説明からしておこう。
関東に6個もの新車・中古車販売グループ会社を持ち、従業員数はアルバイトも含めると500人を超える。そのDGの社員をドライバーとしてレース参戦の計画の相談をうけたのが昨年秋の話し。
周りに迷惑かけられない
最初はS耐でM4GT4で・・・ってそりゃ、危なすぎるでしょ!
から・・・MINIチャレンジに落ち着くのだが、これでもハードルは激高である。すでにサーキット走行経験者や草レースに出場しているなどの少々の経験者ならまだしも完全無比の素人バージンでしょ!
DG社内でドライバーを公募、10数名のドライバーは名乗りを上げた。そこからDG Motorsportsがスタートしたのであった。全面的にドライバーの選抜、そしてその後の教育、トレーニングを任された。
「厳しくします。とても・・・。」
オレは担当の方に言い切った。周りに迷惑かけられないので・・・。
「会社の金でレースできる!」「それならやりたい!」そんな奴なら乗せません。とも言った。
TVCそして砂子塾
まずはトレーニングへの姿勢、やる気、そしてセンス、基礎知識。
TVCでオーディションを開催。10数名の社員から4名を選抜した。その中には、事前にTVCでトレーニングを受ける者もいた。オレから言わせれば当然だよね。
選抜された4名、残念ながら選考に落ちた方を2軍と呼んで同時にTVCでのトレーニングが始まった。そして個々のスキル・傾向・癖を探っていく。実はやっていくメニューは全員同じである。
同時に砂子塾でタイヤを感じさせ、実車でのオーバーステアコントロールをみっちり叩き込む。
もともとの土台センスがいい4名はかなりの習熟スピードで成長していく。2軍メンバーはやはり自分がMINIに乗れない事が分かるとTVCから遠のいていった。これは「やる気」という面でも2軍に他ならない。
富士実走
2020年1月9日のオーディションから僅か半年(コロナの影響でうち2ヶ月は実走なし)もせずに富士MINI実走を迎えた。当日は冷たい雨・・・可愛そうと思えるシチュエーション。最初はスピン、コースオフ連発でお祭り状態。
「とにかくTVCを思い出せ!」
「そんな走り方しないだろ!」
「ベースを作ってスローインファーストアウト!」
「出来る!やってこい!」と・・・。
最後は雨の中、プロの5秒落ちで周回できた。これなら先が見える!よっしゃ!
レースウィーク
たった1度の富士MINIから向かえたレースウィーク木曜。スポ走の極端に少ないもてぎ。スケジュールにも翻弄される。厳しい条件。
でも、出きると確信していた。3本の走行で15秒台、おそらくトップは12秒に入る。初日3秒落ちならイケる!
金曜日2本、土曜日20分で習熟を重ねて迎えた日曜予選。だって、人生の初レースだよ。緊張するって~(因みに30数年前のオイラデビューレースは雨、スタート直後1コーナースピン!笑)
予選から落ち着いていた。無線を装着したのは大きな安心。ポールが4脱でタイム抹消、2番手繰り上がりポールの1.5秒落ちのタイムで3番手をゲット。
「上出来!」
アタックラップにタイヤロックさせフラットスポットを作ってしまった。ドライバー本人は悔しそう。そして決勝レース1.無事に大きなミスもなく4位フィニッシュ。一時はトップグループと遜色ないタイムも・・・。
総勢30名以上となるDGMSスタッフ達が全員笑顔になった。ドライバーもやりきった最高の表情。これぞチームの求める結果。
レース2も順調だったが、残り2Lap痛恨のスピン。Lapごとにセクターベストを更新していた事を無線でも知らせていた。DG社長の高野さんに無線を渡した。
「最高だったよ!セクターベスト更新しながらプッシュしてたし、よく頑張った!」
チームディレクターとして半年。ここまでやれるとは思わなかった。でも出来た。砂子塾とTVCで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?