沖縄のウタ拝2024 東京2日目

 2024年11月30日、沖縄のウタ拝東京公演の2日目。(私は2日目のみの参加)
 私にとっては2018年の東京公演以来2回目の参加のウタ拝。開催地が居住地から遠く離れているのでいつも参加するのがなかなか難しく、私の中では『ウタ拝=(基本的に)私には行けないイベント』という位置づけになってしまっていた…。そのためウタ拝に関しては不勉強な部分が多いのだけど、そんな私にとっても本当に素晴らしい舞台だった。
 沖縄と言うと特徴的な沖縄音階、うちなーぐち、南国の気候と陽気な県民性…などステレオタイプ的なイメージを持たれがちだと思うけど、それだけではない沖縄の根底にあるものを表現したいという主宰の直子さんの言う通り多種多様な演目だった。
 なんとなく、最初は直子さんのピアノの旋律で幕を開けるのかと思っていたから、初っ端からCoccoちゃんの歌声で始まりびっくりした。いやパンフレットの演目見たらそうなんですけどね。心の準備が出来てなかったのでびっくりやら嬉しいやらでした。

 演目については特に印象的だったものを。
 『Down in the River to Pray』は英語の歌で、パンフレットには黒人霊歌と書かれていたけど、本来は沖縄とは関係ない歌なのだろうか?そうだったとしてもCoccoちゃんが爪弾く三線の音がしっくりと調和しているなぁと思った。
 『多幸山』は建大郎さんの速弾きの三線、椎野さんの迫力あるドラム、ゲストの立ち位置だけどCoccoファンにはどっしりと安心感のあるネギさん、のスリーピースでの演奏が腹にズシズシと響いてめちゃくちゃかっこよかった!と言うかCoccoちゃん目当てで来ているんだけど、大城建大郎さんがこれまたいいんだ。歌声も演奏も本当に素晴らしい。
 『慈波』は又吉健次郎さんや古謝美佐子さんの写真、今の沖縄の風景の写真色々、そしてKOTO君のアートワークなどがポップな曲調に合わせてくるくると移り変わり、Coccoちゃんと建大郎さんのキャッチーなツインボーカルもとても楽しい一曲だった。 『てぃんさぐぬ花』ではパンフレットの歌詞の和訳で「夜の海を行く船は北極星を目当てにするが私を産んだ親は私の手本だ」というのを読んで、私は親になって3年以上経つけど日々の生活をまわすだけでいっぱいいっぱいで、全然子どものお手本になれていないなぁ…と我が身を省みる。Coccoちゃんの優しい歌声の背景にはたくさんの親子の写真がスライドで映っていて、どの家族も尊いなぁと思って見ているだけで泣けた。
 最後の『藍色血潮』では、脚が生えた(だっけ?)人魚の喜びと解放感が、Coccoちゃんの生き生きとした表情でこれでもかというほど表現されていてもう目が離せなかった。

 プログラムがすべて終わった後、直子さんが登壇してお話し。そして直子さんの言葉を補うようにCoccoちゃんが話す。
 もうこういう形でウタ拝をすることは出来ない。今まではこーか直子かどっちかが「もう限界だ」ってなっても片方がお尻を叩いて「やるぞ!」って言ってきたけど、今回は2人とも「もう限界だ」となってしまった。もう限界だってわかるまで9年も掛かった。でも9年掛かってやっと本当にやりたいことを表現出来た。来年ウタ拝が無かったとしても、いつかまた何かの形で会えたら…
 みたいなことを言って、最後はみんなで喜びも悲しみもかき混ぜるカチャーシーをやってフィナーレ。
 
 ウタ拝は今年で終わりという意味なのか、はっきりとは言い切らなかったからまだわからないけど、そういう局面に来てしまっているんだろうなぁという感じでした。資金の面も大きいんだろうけど、他にも自身の体調とか生活とか、もしかしたら後進に託していきたいっていう想いとか色々なことを含めての発言なのかなぁという気もしたけど…。
 ラスト2daysの大阪公演がどんな感じなのか、参加される方の感想を心待ちにしたいと思います。