【犬猿 】 兄弟姉妹という感情の坩堝
年明けの休みもあっという間に最終日。
最後に映画でも観ようと思って、前から勧められていた「犬猿」を観てみることにしました。
印刷会社に勤める真面目な弟とは対照的に乱暴者でトラブルメーカーの兄。
見た目は悪いけど頭がよく勤勉で家業の印刷所をテキパキ切り盛りするブスな姉と、要領は悪いがその容姿と人当りの良さで人気者の妹。
この二組の兄弟・姉妹の関係に、あるとき変化が訪れる。それぞれの思いが交錯し、相性最悪なW犬猿ペアの抗争は次第にエスカレートしていく。
・兄弟姉妹という愛憎
身内の集まりの時に「○○ちゃんは可愛いね。将来はモデルさんだね。」って姉妹の片方ばかりが言われているのをたまに目撃します。
一見、褒めてるだけなのですが
「○○ちゃん『は』可愛い」
という言葉が片方に重くのしかかるわけで…
そういったことの積み重ねが大人になるにつれて色々な感情を引き起こしてしまうのです。
今回の映画みたいにね。
この映画の良い所って
単純な負の感情のぶつけ合いではない
所だと思っています。
身内ってムカつくこともあるんですよね。
すれ違いや衝突もある。悪口だって言いたくなる。
そういうのを見せて、表現が徐々に激しくなっていくだけなら
この映画はそんなに面白くなかったと思う。
性格の違い、容姿の差。
そんなことを意識する前から同じ親に育てられて、
一緒に遊んで。同じ釜の飯を食う。
そういう無垢な愛というものがベースとしてある。
それが兄弟姉妹という関係性なんじゃないかと。
そして、そう思わせる部分をほんのり描いているのが良いなと思いました。
喧嘩して憎悪を溜めていくだけではなく、
心のどこかでは愛情と尊敬を捨てきれない。
嫌いとわかっていても関係を断ち切れない。
憎悪の中に見え隠れするほんの少しの愛情、そういったものが
この映画に引き込まれる大きな理由だったと思います。
ほどよいコメディ。しかし映像は若干過激(下ネタ多め)。
ヒューマンドラマですが
「救われたい!」というよりはちょっと人間関係を垣間見たい!
という人にお勧めです。