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あいみょんの魅力を好き勝手に語る②~楽曲のつくりについて~
あいみょんの楽曲はすっと入ってきて聞きやすく、王道をいくつくりをしていながら飽きさせない工夫が凝らされています。
それはあいみょんのストレートで飾らない歌詞や、まっすぐ届く歌声によるものも大きいですが、楽曲のつくりそのものによる効果も大きいはずです。
今回は、ちょっとだけ作曲をかじっている私の視点から見る、あいみょんの楽曲の魅力を少し語りたいと思います。
単純なコード進行
あいみょんの楽曲のコード進行って、基本的にめちゃくちゃシンプルなんですよ。
AugとかDimとかなんとかせぶんすあどいれぶんすとか使わない。(うそ、Dimくらいは使ってます笑)
基本的に、ダイアトニックコードを中心に攻めていきます。
スケール外の音を使わないダイアトニックコードを多用すると、基本的に素直で聴きやすい曲になります。
童謡なんかはそうですね。
童謡でやべーコード多用したらやべー子供が育っちゃいますからね。
例えば、マリーゴールド。
ハ長調(C)に置き換えたときのコード進行は、こんな感じ。
C→G/B→Am→G→C/E→Am→F→G
C→G/B→Am→G→C/E→Am→F→G→C
見事にダイアトニックコードだけで完結してます。
同じメロディを繰り返す場合、2周目でコードを変えてくるパターンも多いのですが、同じコード進行をずっと貫いていますね。
次に、君はロックを聴かない。
F→G→Em7→Am
F→G→G#dim→Am
F→G→C→G/B→Am
F→C→F→G→C
1回だけ挟むG#dim(原音:D#dim)がいいアクセントになってますが、これも結構よく使われる音ですね。
最後のF→G→Cもお手本のようなドミナントモーション。
私は畳みかけるようなC→G/B→Amの動きがめちゃくちゃ好きですね。
個人的にめちゃくちゃ驚いたのが、ジェニファーという曲。
この曲、最初から最後までC、F、Gの3コードしか使わないんですよ(ハ長調換算。原曲はFなので、B♭、C、F)。
C、F、Gの3コードってダイアトニックの中でも主役トリオで、音楽理論学び始めるとまず最初に習うであろう基本中の基本のコードです。
登場頻度は多いですが、逆にこれだけで曲を作ろうとすると童謡っぽさが出てしまうというか、下手すると退屈な仕上がりになってしまいます。
しかしジェニファーはめちゃくちゃかっこいい名曲です。
3コードしか使わないでこれだけの曲が作れるのかって、最初はかなり驚きましたね。
「昔の曲ばっかじゃん、最近の曲はどうなの?」
ってことで、私の大好きなラッキーカラーもあげておきます。
これも超シンプル。
サビのコード進行は、C→G→Am→F→G→Cを2回繰り返すというもの。
ここもほぼ先ほどのC、F、G中心に回ってますが、一瞬挟まれるAmがいい味を出していますね。
一般的に、最近の曲はコード進行が複雑なものも多くなってるかなと。
(いきものがかりとかもめちゃくちゃ分かりやすいコード進行多いですよね)
いい意味で単純な曲のつくりが、昭和世代の方々にもウケているのかもしれないですね。
転調しない
あいみょんの曲って転調挟む曲が非常に少ないんですよね。
大体サビで短3度転調したり、ラスサビで半音上げしたり。
最近の曲だと型を外れたダイナミックな転調も多いですよね。
一方で、あいみょんの曲はほとんど転調しないです。
真夏の夜の匂いがするとか、今夜このままとか、それくらいかな。
(他にも探しておきます)
私は転調大好き人間ですが、転調挟まずに最後まで飽きさせず聞きごたえある曲を出し続けるのはすごいなと思っています。
でも転調すると曲のよくも悪くも曲の雰囲気が一気に変わってしまうんですよね。
ここからは勝手な想像ですが、あいみょんは曲のテーマやメッセージを結構大事にされているのかと思っていて。
そうすると、下手に転調してしまうと途中で微妙にニュアンスが変わったりしてしまうリスクも孕んでいるわけで。
曲全体で一貫性を持たせる目的で、あえて転調を多用しないスタイルを貫いているのかもしれません。
最近の転調ブームに逆行するような作曲スタイル、とても素敵です。
個性的なメロディ
コード進行は単純でも、メロディはあいみょんの個性がしっかり出てるなと思います。
説明しづらいんですけど、上から降りてくるときの跳躍が独特というか。
愛の花のサビの「新しい花の種」とか、勝手にあいみょんらしさを感じているのですが、伝わるでしょうか。
「あたらしい」はそれぞれ「B♭ D B♭ B♭ G」の音になっていますが、「たら」のD→B♭の飛び方が特徴的だな~と。
例えばここ、B♭ D C C B♭の方が歌いやすいし、思いつきやすくないですか?
あえてCを挟まずに飛ばしてるのがあいみょんぽいというか。
愛の花は結構オーソドックスなメロディだなと思って聞いていたのですが、ここのサビの部分にすごくあいみょんを感じた覚えがあります。
あと、ハルノヒとかもそうかな。
やはりサビ終わりの「大切を増やしていこう」の部分。
「し→て」でC♯→Aに下がって、「いこう」も全部Aの音で終了。
多分、私が作ったとしたら「て」はBの音になると思います。
C#→B→Aの方が自然に音が下がって綺麗に収まるんですよね。
でもそれだとちょっと普通過ぎるというか。
ここで和えて滑らかに下がらずに、1段飛ばしていきなりAに落としてしまうところにセンスが光っている気がします。
Bメロが秀逸
Aメロやサビという曲の主題をうまく作れたところで、じゃあそれらをつなぐBメロをどうするか?は結構悩みどころです。
あいみょんの楽曲はBメロが邪魔にならずとても自然で、それでいて印象に残るつくりをしています。
特に特に大好きなのは「空の青さを知る人よ」という曲。
なんといってもこの曲の魅力はサビなのですが、Bメロが最高の引き立て役を演じてくれています。
一瞬Fのコードに下がり暗く落としてから、サビに向けて急速に盛り上げる様は圧巻です。
Bメロのコード進行自体は、実は「世界に一つだけの花」などにも前例があるんですよね。
Ⅶ♭の音を中心に使って、曲の雰囲気を一瞬ガラっと変えているのが特徴ですね。
「双葉」のBメロも素敵です。
落ち着いていて動きが少なめなAメロから始まり、Bメロに来て曲が一気に明るくなりエンジンがかかります。
Aメロとサビの橋渡し役として、これ以上ないほど秀逸ですね。
ちなみに、双葉は2番サビ終わりからのCメロへのつなぎ方もまた絶妙です。
最近の曲だと、「朝が嫌い」のBメロは非常に好きですね。
さっきお話したような、独特な跳躍の仕方が実にあいみょんらしい。
「私を満たすのは」から、メロディアスなサビにスムーズに流れていくのがいいですね。
おしまい
今回は、あいみょんの楽曲の歌詞や歌声以外の部分に注目して魅力を語りました。
上手い説明が難しい部分もありましたが、私があいみょんの曲について感じていることを結構書けたかなと。
尺の都合で紹介できなかった曲もたくさんあります。あいみょんの楽曲を全曲音楽的に分析して一言ずつコメント入れてくみたいな記事今度書きたいと思っています。
あいみょんのよく使う調号とかも分析してみたい。
ではでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!