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終わってしまったデジタルカードゲームの思い出を語る。ドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリング編
今までいろいろなカードゲームを遊んですごしてきたけど、その中には今ではもうサポートを終了してしまったものもいっぱいありました。そんなカードゲームたちの思い出について語りたいという自分語りの記事でございます。当時を思い出して懐かしんでくださる方や、カードゲーム業界の歴史の一抹の資料として読んだくださる方がいれば幸いです。
ドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリングとは…
2001年6月に販売された初のコンシュマーゲーム機で遊ぶことのできるマジック:ザ・ギャザリングのソフトである。開発はアルファシステム、販売はセガとなっている。すでにMicroProse版マジック:ザ・ギャザリングがPC用ソフトとして販売されていたこともあり、ゲームシステムはほぼ原作のマジック:ザ・ギャザリングと同じように遊ぶことができた。
しかし容量の関係などで収録されているエキスパンションは少なく、6版に収録されていたカードと他9枚のカード、ドリームキャスト版限定で収録された10枚のオリジナルカードのみとなっている。
開発当初通信などでの対戦機能を搭載する予定と噂されていたが、セガとウィザーズの契約の兼ね合いや費用の問題で頓挫している。そのためゲームの内容は、CPUと対戦を繰り返し、その度に手に入るカードを集め、すべてのNPCに勝利するというのが目的となっている。
CPUの成長を感じて
スナガガがドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリングを遊んだのは大学生の頃、それなりにMTGというものを理解していたので、強いだろうカードにも目星がついていた。その1枚に《深淵の死霊》というカードがあった。
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戦闘ダメージを与えるために相手に手札を捨てさせるカードなのだが、こいつで殴っていくとCPUの不可解なプレイングに度々出会うこととなった。CPUが何もせずターンを返してきたあとに、《深淵の死霊》で手札を捨てるよう迫ると、さっきのターン唱えればよかった《平和の心》や《神の怒り》などを捨てることが度々あった。しかしそれとは逆に、《深淵の死霊》効果にスタックして手札を捨てられる前に《ショック》という2点火力をプレイヤーにきちんと放ってきたりする。賢いのか賢くないのか、よくわからないCPUである。
特にCPUのおバカさが顕著なのがお互いにリーサルになるような戦闘だ。ここで全軍アタックすればCPUの勝ちとなるのに、次の反撃に備えてクリーチャーを温存したりする。
積み込み上等!
そんなCPUの脆弱さを補っていたのは、デッキから好きなカードをドローできるというCPUにのみ許されたイカサマだ。特に顕著なのは赤のデッキを使うNPCはこちらのライフが詰まるとほぼ確実にこちらを焼き殺せるカードを引いてくる。
それ以外にもラスボスなんかはゲーム序盤からほぼ決まったムーブを決めてくるので、各デッキに対策がしてないとかなり苦労することになる。
そんな積み込み上等のCPUに賛否両論はあるものの、短いゲームのストーリーと当時のCPUのレベルの中で様々なゲーム体験をしてもらうための開発の苦肉の策なんだろうと思うと、ちょうど良い調整なのかもしれない。今となってはドリームキャスト版でのみ体験できる貴重なデュエルだ。
アーデンより愛を込めて
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こんなドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリングの悪戦苦闘があったからこそ、マジック・オンラインやデュエルズ・オブ・プレインズウォーカー、そしてMTGアリーナというゲームの基礎となったのだろう。そのドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリングを忘れていないと言わんばかりに、本作のオリジナルカード《アーデンの天使》が実際の紙のカードとして20年の時を超えて印刷された。そのカード《アーデンの天使》のフレーバーテキスト「Cast from dream and forged in hope.」にはドリームキャストという文字が隠されている。
ゲーム機という媒体は古くなってゆく、いずれプレイできない日も訪れるだろう。それでも当時の全身全霊を持ってして作られたゲームの遺伝子は、姿形を変えて脈々と受け継がれていくのだろう。たくさんのデジタルカードゲームを遊べるうちに遊んでおきたいと思うスナガガでした。