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【北アルプス縦走 5Days】Day.5 薬師岳山荘~折立エスケープ(終)

最終日

予定より早くなった下山日、予定より重いままの荷物を背負って折立へ。

行程

①福岡空港→上高地→徳沢キャンプ場
②徳沢キャンプ場→槍ヶ岳山荘テント場
③槍ヶ岳山荘テント場→黒部テント場
④黒部五郎小屋テント場→薬師岳山荘(小屋泊)
→⑤薬師岳山荘→エスケープルート・折立キャンプ場/富山駅
⑤薬師岳山荘→五色ヶ原テント場
⑥五色ヶ原テント場→雷鳥沢キャンプ場(立山経由)
⑦雷鳥沢キャンプ場→立山駅、下山

準備

4時ごろに起きた。窓の外は真っ暗で、雨により結露している。外に出るとそれなりの雨量で気温も低い。天気を確認した後、ふとんに戻って二度寝しないよう気をつけつつ休み、5時にちょうど良い量の朝食をいただいた。目玉焼きはもちろん、甘納豆?がとてもおいしい。

真っ暗。わかりにくいけどしっかり降っている
朝ごはんらしい朝ごはんが美味しい
気温は13℃くらい。晴れの槍ヶ岳より1℃高いくらい。この日テン泊じゃなくて助かった…
念のためフル装備。ザックカバーもないよりはマシ


本当にタイミングよく薬師岳山荘で宿を取っていた。後できいた話だと3時ごろ近辺に豪雨が来たらしく、この後通った薬師峠に張られていたテントは大抵がレインフライが張り付くくらいにずぶ濡れだった。斜面があるのでおそらく中もプールになってる幕が少なからずあったのではないかと思われる。

そういった安堵の反面思ったこともある。縦走の途中に小屋泊を挟むと、テン場で集中したテンションがリセットされる感覚があった。環境が快適すぎるし、他の人たちとの共有空間で活動することが理由だと思う(テン泊の場合は近くても薄皮一枚以上に距離感は保たれる)

どっちがいいか?ではなく好みだと思う。
個人的には単独行、そして山を始める前以前からずっとやってきたソロテン泊がいちばん身体感覚と気持ちにズレなくぴたりとはまる。旅をしてるな、という感覚だろうか。

出発

さておき、防水仕様で6時に出発。が、既に雨は止んでいた。なんだそりゃ。

6時。お世話になりました!

ゆっくり進めど、もともと雨を想定したコースタイムなのでバス発までどうしても時間が余る。薬師峠で雨具を脱ぎ、太郎平小屋でコーヒーをいれる。それでも余るくらいなのでもはや急ぐ意味がない。

雨は上がって富山方面は一部晴れ間も。
とはいえずっと曇りだったので進んでたらどうなってたかはわからない
小屋発見
小屋到着。
行き先が折立方面なのか、ゆっくりする人が多め。
余っちゃったし、時間もあるのでコーヒー
これめっちゃ美味そうに見える


のんびりしていると、隣にきた人が荷物を乾かしまくっている。雲ノ平からきたそうです、あちらも雨がひどくテント内は大変な状態になったらしい。折立に下山とのこと。情報交換などしつつ、しばらく雑談した。半時間ほど経ち、ゆっくり写真を撮りながら進もうと思い立つ。また後で〜、と先に降りる。

この天気なら五色ヶ原方面へ進めたかもしれないけど夜はどうなるかわからない。初めてのアルプスなので無理はせず楽しむことを優先したことからの判断だからやむを得ないと切り替えた。

折立方面はすでに晴れの気配
これから先は雲の下へ


よく整備された開放的な道をしばらくの間進む。樹林帯に入ってからは雨の影響もあって蒸し暑く、ほとんど真夏の里山みたいな温度だった。
降りる分にはそこまででもないけど、登りは滝汗の人が多かった。わりと斜度のきつい箇所も多いので暑い中で重い荷物を背負って登るのはつらそうだ。

ガスが濃く、湿度は高い


標高を落とすごとに緑は深くなり、普段よく見る景色に近づいていく。ガスの樹林帯は慣れているから不思議な安心感がある。植生は九州の里山と異なり、白樺なども生えている。白樺と霧のコントラストは抜群に美しい。

ところどころ休憩をはさみながら進む。
折立はクマの出現がかなり多く、実は前日にも小屋に連絡があったそう。これはバッタリ合ってしまうんじゃないか?と思いつつキャンプ場へ。

無事会うことはなかったけど、なにやら気配を感じるところや明らかにそれであろう「落とし物」を堂々と登山道に撒き散らしているところがあった。数日後にニュースでこのルートで出現したクマを撮影した映像が流れていた。
小屋の人が言ってた通り、完全に「覚えた」個体が複数定着しているのだろう。キャンプ場や山道に食べ物を放置してはいけないということの意味がよくわかった山行でもあった。人もクマもみな不幸になる。

素敵なアクセサリーが
割れたかクマにでも引っかかれたかして育ったのだろうか
三股になっていた不思議な木
この日みた美しい木No.1
白樺群生地

標高を下げること約1400m。
ついに終点の折立キャンプ場に着いた。長いようであっという間だった山行も残すはバスを待つだけとなり、自販機でジュースを買ってゆっくりしていると時間の流れは早かった。

バスに2時間近く乗ったはずだけど、体感的にはすぐだった。富山駅に着き、完全に山行は終了した。
標高が1500m近く低くなったので当然だが、富山市内はやはり夏だ…と実感する暑さだった。他の地域に比べると比較的マシなはずなのに…

ついに
到着
そこそこまわったなぁ、という気持ちと北アルプスでかすぎて全然やんって気持ちが同居
おつかれ山…!!


ちなみに太郎平小屋で一緒になった兄さんはバスで横になって山話で意気投合。九州からだと中々縁がない色々な山域のロングルートなどを教えてもらった。いずれもおもしろそうだ。
富山駅に着いてから少しブラブラ道案内をしてもらったのち一緒にスパ銭に行った。風呂は文明だ…と心底思った。都市に適応しなくてはならない。あまりにひどくなった髭も整えた。

この時わかったのだけど、人間は夏に5日間風呂に入らない場合、頭を一度に5回洗う必要がある。ドライシャンプーなどないよりマシにしかならない。鼻がリセットされて判断が可能になったので、恐る恐る衣服に鼻を近づけて確認する。
案外大丈夫だな、と安心した(靴下以外)
メリノウール、マキシフレッシュはすごい。

風呂からあがり、またいずこで…!とわかれ、休憩室でダラダラしたのちに宿がわりのネットカフェに行く。2kmも離れているが仕方ない。

結局余った2日間はそこしか泊まるところがなかったので、都度の移動をして寝に行った。
翌々日はもともと取っていた宿でゆっくりできた。

終わってから

山代替の1日目は氷見の海を歩き、2日目は市内を海方面に歩いた。天気がぐずついているし暑すぎて低山に行くのは気分が乗らないし(白山に行きたかったのだけど、登山バスが運行日ではなくアクセス方法がなかったので諦めた)、飛騨や高山も混み具合を想像すると萎えた。
なので、ただその辺を歩くことにした。案外知らない街を歩くだけの方が楽しかったりするし意外な発見もあることが多い。2日とも10km以上ルナサンで歩いたため、わりとしっかり疲れた。

帰福日は金沢で美術館や買い物などして普通に観光した。兼六園は暑すぎたのでやめておいた。
金沢の過ごし方はこんな感じでいいとおもう。久々に行ったけど工芸や芸術の強さに厚みと華がある。隣県ながら質実剛健な富山とは雰囲気が全く違い、どちらかというと京都に近い。芸術方面の傾向は土地の歴史や醸成される風土と紐づくため、加賀百万石はさすがである。
翻って都市規模の割に福岡でアートや芸術文化が根付かない(なんか「祭り」っぽい性質になる)のもその辺りが理由だろうと考えたりした。

どこかを目指すでなく、氷見の海岸沿いをひたすら歩く
いいカット

ひとつだけ書いておきたいことがあった。
富山市内のマンゾクスポーツのこと。

10数年前、山をやってないときにテン泊ベースであちこちまわっていた。旅の途中でテントのポール接合部が折れてしまって、どうしたらいいかわからない状態だった。もしかしたら売ってるか?とたまたまこちらに立ち寄ったのだが、テントがヨーレイカのヴィヴィ型という絶妙にサイズがないものなので当然なかった。

しかし、修理はできるという。そこで初めてアルミ缶とダクトテープを利用した補修方法を教えてもらった。そこからもまだ道のりは長くて、下手したらテントが破れて使い物にならなかったであろうから本当に助かった。

ちなみにこの方法を知ったことで、今回の縦走においても他の方に対して手助けする機会となった。昔の旅と今回の旅が繋がった感じがしてとても感慨深かった。そのときに、降りたら絶対寄ろうと決めていた。

お店ではTJARのGPSを見ながら応援していたり、かつて出ていた選手のヘルメットがあったりと福岡のお店では絶対ない景色がとても素敵だった。当時のことを話しつつ、これからのために道具もいくつか買わせてもらった。
いい意味で少し昔の山屋っぽいというか、アットホームな感じでとてもいいお店なので富山に寄った際は必ず足を運びたいと思う。

ありがとうございました

諸々まわったのち、夕方に金沢駅からリムジンバスで小松空港は行き帰福。1週間前より体感できるわかるほど短くなった日照時間、夜の暗さと涼しさに秋の気配を感じた。

この3日間はもはやただの徒歩ベース旅なのだけど、アウトロ的な存在として気分を切り替えたり自分なりに山行を整理する時間になった。全日観光地へガンガン行くのでなく、山歩きの延長みたいなペースで何でもない場所も歩き続けたことが良かったのだと思う。ある意味、これもハイクといえるだろう。

小松空港から福岡へ
ただいま

インスタントカメラの撮影可能枚数が余ってしまうスケジュールになってしまったけれど、本当に楽しい旅だった。
正直いうと北アルプスと言われても全くイメージができなかったので、なぜ多くの人がわざわざ行くのか疑問だったが行けばそりゃそうなるわと重々理解した。

ちなみに帰宅してからわりとすぐカメラは現像したのでいくつか載せておくとこんな感じ。ISO400固定なのでちょっとでも暗いと厳しい。味はあるけど。


今回の山行を通したことで、かなり自分の山感が
拡張された感じがする。現実的な選択肢としての日本アルプス、中期縦走がやっと見えてきた。

TJARを実際に見ることで実体を持ったレースである、という認識に変わった。まだ灯はついたまま。
今回は雨から逃げたので、次は冷たい雨の中で夜半を過ごす練習とそれに耐えうる準備と装備の研究も必要だ。

北アルプスだけでもまだまだ行きたいルートがたくさんあるし、中央アルプスや南アルプス、八ヶ岳や関東の山々など行ってみたい山域が一気に増えた。長めのテン泊で必要な装備の目処もついたし、体力的にも問題がないことは確かめられたのでロングトレイルルートも幅が広がった。

とても大切な夏になった。
次また、少しだけ近くなったらアルプスにいく日が楽しみだ。

一日の活動量:

薬師岳山荘~折立キャンプ場(ログ終了)
合計時間:5時間 1分
休憩時間:1時間23分
距離:9.4 km
のぼり / くだり:184 / 1452 m

合計の活動量 :

合計時間:33時間45分
平均ペース: 110-130%
距離:60.5km
のぼり / くだり:4387 / 4538m

宿:
1.徳沢キャンプ場
2.槍ヶ岳山荘テント場
3.黒部五郎小屋テント場
4.薬師岳山荘

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