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トレイルランニング:1Dayくじゅう17サミッツ(未遂・8座) 三俣山-大船山-白口岳-稲星山-中岳-天狗ヶ城-久住山-星生山(2023/05/28)
【基本情報】
実施日: 2023年5月28日
走行エリア:くじゅう連山(牧ノ戸峠駅前スタート~大曲登山口-三俣山-大船山-白口岳-稲星山-中岳-天狗ヶ城-久住山-星生山~牧ノ戸峠)
距離:約23km
標高差:ガーミンによる測定値 1,943m
YAMAPによる測定値:+2165m -2164m
九州で一番人気の山域と言えば九重。この九重連山の中で標高1700mを超える9座は「くじゅう17サミッツ」と呼ばれます。それを1日でまわれば「1Dayくじゅう17サミッツ」となり、おもしろそうだったのでトレランスタイルでやってみました。
さきに結論から申し上げますと未達です。計画がザルだし未遂としておこうか。ルートと強度的にはほぼ達成してるんですが、大船山のすぐ隣にある「北大船山」という踏破対象を認識しておらずすっぽかしました。他の山と勘違いしており、気づいたのは8座目を踏んだとき…。
大船山への縦走路で寄れるピークなのでやらかした感が凄いですが、久々のくじゅうと縦走自体はとても楽しかった。そんな記録です。
動画
1.牧ノ戸峠~三俣山
スタートは牧ノ戸峠、朝5時より登頂開始。
既にヘッドライトは必要ない明るさだった。バイクで行ったので駐輪は余裕だったけど、車はすでにほぼ満車になっていた。
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時計回りに一周し牧ノ戸峠に戻ってくるコース。
まずは三俣山方面に向かうため、いったん舗装路をくだる。トレランスタイルなので当然ここはジョグしていく。
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舗装路を進むと小さな駐車場があり、反対車線側から大曲登山口に進める。
辺りはどんどん明るくなっていく。
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トレイルを少し進む開けた場所へ。道がきっちりと舗装されている。
このように九重連山は部分的に道がしっかりと整備されているため非常に登りやすい山域となっている。
何故か5年ぶりの九重であったけど、いつもの里山とは違う山の形態にテンションがとてもあがっていた。
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三俣山へ向かう方面にはまず諏蛾守越(すがもりごえ)がある。ここの付近は荒涼とした岩場が中心で異質な雰囲気を醸している。阿蘇の中岳付近が近いと言えば近いが、よりフラットで岩稜に囲まれた雰囲気は無二。今回通ってないけど牧ノ戸峠から坊がつるへ向かう一本道が九重で一番好きかもしれない。名前もかっこいい。
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諏蛾守越から三俣山へ。今回初めての登頂となる。前回行ったときはテン泊装備で牧ノ戸峠→坊がつるまでだったうえに初心者だったので三俣山は無理やな、とそのまま帰った。
※余談だけど当時の装備は4000円くらいで買ったテント+寒さをごまかすための夏物シュラフ2点…などバランスがめちゃくちゃで、装備は12kg以上あったと思う。当然アタックザックの存在など知らないし、そもそも登山経験がかなり浅い。よくやろうと思ったわ本当
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三俣山へ登る道は非常にわかりやすい。というか九重は全体的にとにかく道がわかりやすい。
道を登っていると虫が多いことに気づく。しゃくとりむしだ。この時はうっかりつぶさないよう気を使いながら登っていた。しばらくすると雲の隙間から日が登り、雲の切れ間から射してくる。朝が来た。
しばらくトレイルにフラットなところはなく黙々と登る。標高があがるにつれて風がどんどん強くなってくる。どこまで登ったかな、と後ろを振り向くと硫黄山などが見渡せた。普段は低山縦走が中心だから、このように隣の山が独立した形で登頂中に見えることはほとんどない。当然気分もあがってくる。
そうこうするうちに西峰に着いた。
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とても見渡しの良い西峰から本峰へ。
三俣山は九重の中で少ないピークが分散した山であり、17サミッツの条件のひとつは本峰に行くこと。ちなみにYAMAPのバッジは南峰にも行く必要がある(帰ってから気づいた)
アップダウンありで多少離れているのでお好み次第という具体だ。
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そして最初の対象である三俣山(本峰)についた。
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山頂からの眺めはとても美しかった。近辺の山脈のシルエットに霞が浮かび、遠くが見渡せた。
ちなみに今回写真はすべてiPhoneでそのまま撮ったものを載せており、補正はしていない。
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この後はついでにⅣ峰にもよって三俣山を降りた。
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2.三俣山~大船山
次は離れた大船山へ。
よって目的地は登山口のある坊がつる。
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この辺りは走っても気持ちいい。砂の質がまるで海岸のようで山らしくない。
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砂場を越えると岩場につき、そこからは坊がつると大船山が見渡せる。点になったテントの山を見るのはとても楽しく、坊がつるの広さも充分に認識できる。近づくほど点は大きくなり、進んでいることを感じながら岩場を進んでいく。
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砂場、岩場と越えたら緑豊かなトレイルに合流する。風景が少し進むと一変するという点でも九重は本当に退屈しない。
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標高を下げていくと法華院温泉山荘に到着。ミヤマキリシマのシーズンということでとてもにぎわっていた。今回は特に用がないので水だけ汲んで進んだけど、温泉に入ったりちょっとした食料も調達できる。それどころか宿泊もできる。
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付近にはミヤマキリシマがたくさん。自生というよりは場所的に整えたんだろうな、という感じはする。記憶では坊がつるの真隣だったけど、実際は多少離れていた。
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様々なテントがにぎわう坊がつるを進んだところに大船山への登山口がある。大船山も初めてだ。これも先に書いたテン泊のとき、やまクエというサイトで「ちょっと難易度高め」的な書かれ方をしていたのでビビッてやめていた。いい心がけである。
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大船山付近は地質が黒土となり、本当にいろいろな地質を楽しめるもんだなと感じ入る。そして黒土といえばこの2週間前に阿蘇ボルケーノトレイルでぐっちょぐちょに変貌して苦しめられた記憶が新しいけど、この日は穏やかで歩きやすい固さだった。
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大船山はけっこう標高差があるので、黙々と進み続けた。
というのは嘘で、実際は黒柴ちゃんと会って、飼い主様の了承を得て撫でさせてもらったりして楽しく登っていた。
途中から眺望もよくなり、高度感も目に見えて上がってきた。坊がつるに広がるテントたちが点になって見える。
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強い風の中を進むとやっと山頂についた。
けっこう人が多かったし冷えたら困るのでそそくさと動き始める。
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下山途中、ルートの近くに避難小屋を見つけたので入ってみる。めっちゃ新しくてきれいだった。
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楽しんでいた一方…
17サミッツは北大船山も対象であることを認識していなかったので普通にスルーしてしまった。つまりこの時点でチャレンジは失敗していたのである。
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3.大船山~白口岳
下山中、ルートをマップで確認していると「タッチュウサンはミヤマキリシマがきれいですよ」といい情報を他の登山者にいただけたので、(立中山ってタッチュウサンって読むのか…)と考えつつ、そちらに進むことにした。
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寄り道する形にはなるもののルート的には問題ないので行ってみる。
人気がないわけではないだろうけど、他の主要ピークに比べると脇道的なこともあり道を行く人は少なかった。それもあってか九重連山にしては荒ルートがややわかりにくい。枯沢など正解と間違えそうなポイントがいくつかある。
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微妙に来にくいところなのであふれるほど、までは行かないけど山頂付近はそこそこ人がいた。天気が残念ながら、これはこれでピンクが映えるとも言える。
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立中山を降ると鉾立峠に到着。もはやガスというかミストになっていたけどレインウェア着るほどではないと判断した。結果的にはそれで正解だった。
次いで白口岳に向かうのだけど、この区間が縦走で一番きつかった。
まず基本的に登りしかなく、わりと急峻なうえに藪漕ぎに硬めの枝が潜む。さらに岩場は手を使って三点支持するような箇所も少なからずあるのだけど、冒頭で触れた通りしゃくとりむしが大量発生した影響で、硬い岩をつかんだはずがムニュ…とやわらかい感触…という精神的疲労の罠まで追加される。
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山頂に到着。
登頂時間は30分くらいだったけど、ずいぶん長く感じた。
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※※ここからはもうガスで眺望ゼロにつき景色がほとんど同じなうえ、ピーク間の距離が短すぎるため写真と文量激減し巻き気味となります※※
4.白口岳~稲星山
稲星山に向かう道はガスでミステリアスな雰囲気が漂っていた。
そもそも白口岳・稲星山は初登頂だったので快晴時の雰囲気がわからないのだが…
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景色の変化はもはや足元しか望めず、地質的な違いを楽しんでいた。
トレイルランナー的には走りやすくていい道だった。この辺から景色は諦めてラン比率が急上昇してくる。
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この辺りから変わったことはもう一点。
しゃくとりむしの数が激増した。どう見ても食べるものないだろ…という砂と岩場だけの道にもなぜかいるし、ピークの岩付近に草があれば岩の色が軽く変わるほど密集しおぞましいほどになっていた。もはや気を遣っていられない。
5.稲星山~中岳
中岳付近はさすがに一番人気なので、団体さんが増えた。たぶんツアーの方も多いのだろう。外国語も増える。
ひたすらコントラスト低めな景色を見ていたので、カラフルなウェアが目にうれしかった。
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中岳は九重連山だけでなく、九州本土の最高峰でもある(九州全体ならの屋久島の宮之浦岳)
九州の山は低く、これでも最高峰。というか西日本が低く2000m超のピークは存在しない。別に標高と山の魅力は比例しないけど、色々と困ることはある。せめて2座くらいあれば…
しかしさすがにこの背景では数字の意味が伝わらない…
露骨に文量が減っているけど本当に書くことがないので仕方ない。
6.中岳~天狗ヶ城
中岳から先にも御池がある。九重連山に2つあるのでちょっと紛らわしい。
本来は透明で綺麗な池で、中岳山頂から見ると美しい。冬場は凍結して歩行を楽しめる。
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スマホの写真を見てると、あろうことか中岳の次のピーク、天狗ヶ城の山頂は撮り忘れてた。最短のブロックなので文量も最小になる。
まぁ中岳から実測300mくらいと激近なのでいっか…
7.天狗ヶ城~久住山
ここも写真が少ない。
一旦九重分かれに寄ってみると団体さんがかなりの数。
「くじゅう」を冠する代表的な山であり、さすがにこの辺りは人が集中する。
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あと少しだし登りでも走ってみよう!ということでゆっくり目に駆け上がっていた。もう意識としても景色から完全に走りへ向いていたんだな…と振り返って気づいた。そういうわけでスマホを取り出していなかった。動画は撮ったんだけどね。
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7.久住山~星生山
このエリアは天気に関係なく楽しい。岩場の稜線をひたすら進んでいく。
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道自体も脇道みたいな複線があってどこが正解かイマイチわからず、岩場を登っては小道を進み…と登ったり降りたりして進んだ。
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中盤の記憶ですっかりそんなこと忘れかけていたけど、この変化の激しさは九重連山の魅力。星生山はアクション要素が高めで楽しい山。九重連山の中でも個人的トップ3に入る。
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この時点で気づいた。(あれ?8座目?)と…
どう考えても足りてないのだけど、まぁいっか…と牧ノ戸峠へ向かう。
8.星生山~牧ノ戸峠
ここからはもはや帰るだけだったので写真がほぼない。
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星生山からはひたすら降るだけなのでランで快調に進む。ガレ場が次第に整って岩場に、そして樹木地帯へ。
時間的にはさすがに降りる人のほうが多かったけど登る人も多かった。
長い距離を走ることが当たり前になったので忘れがちながら、別に九重連山であっても1、2座だけ日帰りで登るのは普通である。確かに早朝に駐車場は埋まってしまうほど人気で昼過ぎ開始は遅い印象あるものの別になんらおかしくはない。
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アスファルトの階段が見えると牧ノ戸峠はすぐ近く。あとは舗装路が続く。体力的には余裕充分だったので、ステップワークの練習がてらスピードは緩めず進む(もちろん他に人がいたら止まる)
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階段を降りると前方はひらけて駐車場に停められた車が見える。そして…ついにゴール。
1Dayくじゅう17サミッツは…無事失敗!
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天気(と虫…)に恵まれはしなかったけど、縦走自体はとても楽しかった。
九重に5年も行っていなかったという事実は我が事ながら信じられない。今後は頻度高めます。
九重連山は管理がよく行き届いているし、山によるバリエーションの多彩さから人気はうなずける。シンプルに景観がいいし、実はけっこう登りやすい山が多い。しかも全域でも多くて2泊あれば周れるちょうどよい広さだし、坊がつるというすばらしい場所でテン泊もできる。快晴なら夜は星がきれいだ。四季による変化も楽しめるし、誰に対しても懐の広い山だと思う。
欲を言えば管理されすぎて「完成」されているため里山のような荒くれた感じがあまりないことに少し物足りなさはあるけど、それはそっちで楽しもう。
1Dayくじゅう17サミッツは涼しくなったらまた改めて。今回余裕があったのでコースを拡張してやってみます。
走行ルート
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