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イージーオーダーのススメ

はじめに

僕はスーツが嫌いだ。

家に帰ってくると一刻も早くスーツを脱ぎたいし、許されるならスーツを着ない仕事がしたい。

本来、ズボンに上着を入れるのは気持ち悪いし、動きを制限されたりするのもとてもイヤ。

しかし、仕事柄と取り扱う商材からスーツ以外の選択肢はない。

そんな苦痛を少しでも和らげる事を目的の一つとして、僕はイージーオーダーを利用している。

嫌いな事なのでなるべく考えない様に惰性でスーツを作っていたが、ふとしたきっかけでテーラーを考え直す事になったので記録がてらnoteを書いていこうと思う。

ちなみに僕はスーツに関しては素人なので間違っている情報が含まれているかもしれない。その点は注意して読み進めて欲しい。



オーダースーツの種類

僕を含め、サラリーマンの大半が使うスーツ。

最近は激安なスーツなどもあるが、個人的にはイージーオーダーをお勧めしたい。

厳密にいうとマシンメイドとハンドメイドでも区分があるが、大まかにスーツには以下に分かれる。

なお、価格はどの生地を選択するかによって大きく異なるので、あくまで参考値として見てほしい。

  1. 吊るし

    • 通常スーツ店でハンガーにかかっているスーツ

    • やや安価(ざっくり2-3万円程度)

    • 納期は1週間程度

  2. パターンオーダー

    • 決まった型紙から限られた部分だけを微調整

    • 一般的に安価(ざっくり5万円程度)

    • 納期は1-2週間程度

  3. イージーオーダー

    • パターンオーダーよりも調整箇所が多く、ある程度の体形補正が可能

    • やや高価(ざっくり10万円程度)

    • 納期は2-4週間程度

  4. フルオーダー

    • その人に合わせてゼロから仕立てる。もちろん体形補正も可能

    • 高価(ざっくり30万円程度)

    • 納期は1-2か月程度

品質だけを見るとフルオーダーが最も良いが、1着30万円などのスーツは僕の用途に合わないし、パターンオーダーだと調整の意味で不満が残る。

各々に良さはあるが、価格と満足度のバランスが最も優れていると(僕が)感じるのがイージーオーダー。

では、イージーオーダーなら高度に満足がいくスーツになるのかと言えばそれもまた違う。

これまで20着以上のイージーオーダースーツを作ってきたが、本当にお気に入りのスーツは3着くらいであったという事実も踏まえてテーラーから考え直していきたい。

僕のスーツに対するスタンスと背景

色々な仕事があるので、スーツに対するスタンスも違うと思う。

今後、まとめていく上でベースとなる考えがあった方が良いので記載しておこうと思う。

  • 営業に使用(車は嫌いなので電車で外出する)

  • 扱いの商材が数千万〜億なので、身なりも重要なファクター

  • 1対1の商談から多人数へのプレゼンまで幅広く使う

  • 2ピース(スーツとスラックス)、2パンツで最大15万円以内をラインとする

  • 2-3年で買い替え(スーツは消耗品と割り切り)

  • 真夏でも上着は脱がない

  • 何かを持った時に汚れたり、机の下を覗き込む時に膝をついたりもある

  • スーツは作業着くらいの感覚の時もある

  • イージーオーダー時は生地の触り心地と見た目のみで決めていた

  • その為、基礎的な知識などは欠落している

なぜイージーオーダーをするようになったか

今ではイージーオーダーしか選ばない僕も、昔は「オーダーは高い」「身の丈に合わない」「スーツの事を何も分からないのに買いに行くなんて恥ずかしい」などという理由からスーツ量販店の「吊るし」のスーツを購入していた。

「吊るし」のスーツは完全既製品なので僕の体形(やせ型・身長180cmくらい)に合うスーツはあまりなく、なんとなく体形に合いそうなスーツを何本か試し、結果すぐに着なくなるという事を繰り返していた。

更に股上が短いスラックスが大嫌いなので、吊るしだと僕に合う股上のものが本当になかった。

そのため、スーツを買いにいくのが心底嫌いで、嫌々スーツ量販店に行き良さそうなものを適当に購入して逃げるように帰ってくるという事を繰り返していた。

当然そのような買い方のスーツは先述の通りハズレが多く、購入後全く着なかったり1、2回着ただけというスーツも結構あった。本当に勿体ない。
そしてあまりの苦痛からオーダーを考えるようになった。

はじめてのイージーオーダー

当時は今ほどイージーオーダーはなかったが、ネットでイージーオーダーができるところを調べ、近いという理由で秋葉原のビックヴィジョンに行った。

色々説明を聞いた中で僕の心を掴んだのは、スーツの襟の裏にシルクの生地を縫い付けるサービスだった。(今はサービス自体がない)

襟の裏なんて普段は見えないが、ふとした時に覗く生地が何とも気に入った。色は柄の入った赤や青が多かった様に思う。

襟の裏

完全に若気の至りだが、せっかくオーダーするならこういう遊び心はあっても良いと思っている。(ただ、他の人からどう見られるかは知らない)

それ以来、特に不満もなかったのでオーダースーツはビックヴィジョンを利用する様になった。

スーツを買う時、まず何を決めるか

正直、スーツを購入する際、スーツに関する細かい知識は不要だと思っている。

わからなければ聞けばいいし、所詮素人がわかった気になっても良いことはない。

ただ、相手が言っている単語がわからなすぎても困るし、なによりこちらの要望を正確に伝えられないのは満足度に影響を与える。

僕もそうだったが、オーダースーツを作れなかった障壁の1つとして「スーツの事を何も分からないのに買いに行くなんて恥ずかしい」というものがあった。

その様な人は、大体どの程度の項目を選ばないといけないのかを予めわかっていれば精神的に楽になると思う。

選択する項目例

採寸など一通り済んだ後だが、「僕が」イージーオーダーをする際に決める項目は以下の通り。(この項目はテーラーによっても異なる)

気をつけて欲しいのは、調子に乗ってオプションを付けまくるとかなりの価格になる事。

生地も含めしっかりと予算を伝えておく事がとても重要だし、下手な見栄を張っても何の意味もない。

用途や自分のこだわりポイントがある場合はしっかりと伝えられるようにイメージしてからテーラーに行くのが満足がいくスーツを作るコツだと思う。

  1. 最初に用途を伝える。

    • 最も重要な項目。

      • 用途(ビジネス向け、冠婚葬祭向けなど)

      • 使用する場面(室内のみ、外出を伴う、主に車移動、電車移動など)

  2. 生地をどうするか

    • 春夏用、盛夏用、秋冬用、3シーズン、オールシーズンなどの目的を伝え、その中から好みの生地を選ぶ。

  3. 2ピースか3ピースか

    • 2ピース:ジャケット、スラックス

    • 3ピース:ジャケット、スラックス、ベスト

  4. (ジャケット)シングルかダブルか

    • シングル:ボタンが縦に1列

    • ダブル:ボタンが縦に2列

  5. (ジャケット)センターベントかサイドベンツか

    • センターベント:ジャケットの裾(真ん中後ろ)に切れ込みが1か所

    • サイドベンツ:ジャケットの裾(左右後ろ)に切れ込みが2か所

  6. (ジャケット)裏地の有無(総裏/背抜/半裏/アンコン)

    • 盛夏用は半裏、背抜き、アンコン

    • 冬用は総裏

    • 僕はアンコン+肩パッドの時もある

  7. (ジャケット)裏地素材(色)

  8. (ジャケット袖)本切羽か開き見せ(あきみせ)か

  9. (ジャケット袖)重ねボタンが並べボタンか

  10. (ジャケット)ボタンの種類

  11. (スラックス)シングルかダブルか

    • シングル:ズボンの裾を折らない

    • ダブル:ズボンの裾を折る

  12. (スラックス)スーパークリース加工の有無

    • プリーツを長持ちさせる加工を付けるかどうか

  13. (スラックス)裾の長さ

  14. (スラックス)タックの有無
    体形や動きやすさで選ぶ事が多い。

    • ノータック

    • シングルタック

    • ツータック

裏地
表からは想像出来ない鮮やかな裏地が好き

イージーオーダーを作る場合はこの程度を押さえていれば全く問題ないと思う。(たぶん)

あとは僕の様に股上の長さに要望があるならそれを伝えれば良いし、2回目以降、体型が変わっていないなら前回のものをそのまま引き継ぐのでも良い。

ちなみに僕の場合、秋冬は総裏、盛夏用は半裏(背抜きよりも更に裏地を省く)やアンコン(裏地だけでなく芯地や肩パットも省く)で作る。

スーツの持ちを考えると盛夏用も総裏が良いとされているが、僕の使い方だとスーツは消耗品である事と電車移動が多いので軽さ・涼しさを最優先する。

この様に「これでなければいけない」という様な厳密なルールはないと思っている。だって着るのは自分だし、見る人もスーツに詳しいわけじゃない。

それなら自分が気に入った・満足できるものを(テーラーに相談しながら)決めたほうが良い。

イージーオーダースーツを作るメリット

めちゃくちゃ拘っているわけではないが、僕は光沢と手触りが好きなので結果として秋冬用はロロピアーナに落ち着く傾向がある。

この場合、オプション込みでおおよそ1着あたり10万円~15万円程度の費用がかかる。

安いスーツなら2万円程度からあるのに、なぜわざわざ高いお金を払ってスーツを買うのか。

ぱっと思いつくメリットは以下の通り。

  1. 見た目が良い

  2. お客様の心象が良い

  3. 僕のテンションが上がる

  4. 嫌いなスーツを中和できる

1.見た目が良い

冒頭の通り数千万円の商材を扱っているので、明らかに安物のスーツや清潔感を感じない身なりをしていると商談にマイナスになる。(僕が逆の立場なら見た目すら信用できない人からは買いたくない)

良くも悪くもここは外資っぽい感じで特別感を演出している。
もちろん見た目だけではないが、見た目も重要なファクターである事は間違いない。

ただ、胡散臭い営業セミナーや啓発セミナーで言われるような、メラビアンの法則による「人の第一印象は視覚情報(見た目)が55%」などという誤った情報をもとにしているのではない事は付け加えておく。

2.お客様の心象が良い

これも項目1とほぼ同じだが、清潔でキッチリした身なりをしている人の方が印象が良く、説明をした際にも受け入れてもらえる可能性が高まったり、安心感に繋がるという効果を狙っている。

ただしギラギラした下品な感じは絶対にNG。

3.僕のテンションが上がる

これはとても単純で、質の良いアイテムを身に着けていると単純にテンションが上がる。すなわち営業としての攻撃力があがる。

4.嫌いなスーツを中和できる

僕がスーツ嫌いな事は前述の通りだが、良いスーツを着る事でスーツを脱ぎ捨てたい気持ちをほんの少しだけ抑えることができる。

記憶に残っているスーツ達

長い営業生活のうち、記憶に残ったスーツ達がある。
ブランド名と生地名が混ざっているが列記していく。

高い生地だから良いというわけではなく、使い分けだと考えている。

  • ヒルトン(青山50周年限定モデル)
    初めて「お気に入り」と言えたスーツで、吊るしだったのに10万円くらいした狂気のモデル。

    襟の裏が紫生地になっており、この名残からビッグビジョンでも同様のスーツを作った。

    やはり良いものはそれなりの金額がする、と改めて認識したスーツ。

  • REDA:盛夏用
    盛夏用アクティブ仕様というとにかく軽量なスーツだった。
    薄くて軽いのが特徴で光沢感もちょうどよかったし、ラフに着れるのがとても好きだった。
    家でも洗えるという謳い文句だったがさすがにクリーニングに出していた。

  • ロロピアーナ:秋冬用
    嫌らしすぎない光沢感としっとりとした滑らかさがお気に入りで、現在最も多く持っている生地。。

  • デルフィノ(TALLIA DI DELFINO):秋冬用
    少しおとなしめのロロピアーナという印象。結構すきかも。

終わりに

今年はスーツを全部入れ替える予定なので、あと夏物を2着購入する。
この2着はビッグヴィジョンではなく、別のテーラーで仕立てるつもり。

テーラーにこだわりがあるわけではないので、次のテーラーで満足し、しばらく購入を続ける可能性が高いが、どんな生地を薦めてもらえるのかは楽しみ

何か得たものがあればメモ程度だがまた記載をしたいと思う。

次回

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