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小動物用酸素室構築事例(酸素発生器)

2023/01/29
文末に追記:酸素濃度低下防止用カーテンについて

このnoteについて

肺に水が溜まってしまったスナネズミのマーブルの為に、小動物用の酸素室を構築した。

約1年半前に構築した方法をアップデートし、利便性を大幅にアップさせる事ができたので詳細を記載する。

ちなみに、この時は以下の症状が出ていた。

  • 心臓の機能が低下し、脈が飛ぶようになった(低酸素)

  • 肺に水が溜まった事で酸素の取り込み効率が落ち、呼吸が苦しくなった

以前の内容は以下のリンクから。

今回構築した酸素室

まず最初に、今回僕が構築した酸素室の概要を記載する。

  • 酸素室の方式
    ケージ自身を酸素室にする方式

  • 使用したケージ
    ルーミー60

  • 気密性の担保と実際の酸素濃度
    ルーミー上部の柵を90%程度塞ぎ、気密性を担保。
    さらにその上にタオルを置く事でほんの少し空いた隙間を埋める。

    残りの10%を解放したりタオルで塞いだりする事で換気を調整。

    この状態で酸素濃度35%~40%程度を維持出来る。

    念のためCO2も測定したが450ppm付近と全く問題なかった。
    もしCO2が気になるようであれば、ケージ下部に換気口を作ると良いと思う。

    ちなみに、マーブルがCO2計に近づいたとき528ppm程度を示した。

  • 温度制御
    Switchbotで制御。
    ルーミー内に温度湿度計を設置、24.5℃〜25.5℃の間を目標としてエアコンを制御する。

    以前、マーブルは0.5℃程度高い温度(25.0℃~26℃)を好んでいたが、今回の酸素室内のマーブルを観察していると25.0℃〜25.5℃の温度帯の方が快適そうに見えたためこの温度帯を採用した。

    おそらく風の流れがないため、体感温度が高いのだと思う。

    0.5℃の温度制御をしようとすると、従来よりも電気代がかかるが今回は温度制御を重視した。

  • お世話のしやすさ
    ルーミー60の扉を開ければすぐにマーブルを触れるので、テント式に比べるとご飯をあげたり薬をあげたりなどのお世話がしやすい。

    なによりもすぐに触る事ができるというのが大きい。

    後述するが、ルーミーは全面を大きく開放するつくりをしている為、ごはんをあげたりする際に大きく酸素濃度が落ちる。

    この点についても改良をしているので項を分けて記載する。

  • 酸素濃縮器のスペック(公式より)
    酸素濃縮器オキシランド Z-3000。
    ●酸素濃度:流量1~3L/分範囲内で90%以上、流量8L/分で40%以上
         (3L~8L/分 90%~40%)
    ●流量:毎分1~3L/分(目盛り範囲)最大流量約8/分まで

  • 酸素濃度復帰までの時間
    ルーミーの扉を開放する時間にも依るが、以下の通りだった。

    ・元の酸素濃度:38.0%
    ・1分間扉開放:36.4%
    ・1分30秒扉開放:35.1%
    ・2分扉開放:34.0%

    ・扉を閉めてた後も酸素濃度は下がっていき約80秒後32.7%で停止
    ・35%の酸素濃度に復帰するまで約8分

  • 酸素濃縮器の初期費用と維持費用
    ・初回は17,500円、その後1ヶ月ごとに10,000円。
    ・酸素計やテントをレンタルする事も可能。
    ・電気使用量は5.2kWh/24h程度。

ケージの中なので見えずらいが38.7%の酸素濃度

酸素室を構築する際に考える事

ここからは上記の酸素室にたどり着くまでに考えたことなどを踏まえて記載していく。

  1. 酸素室の方式

  2. ケージの選択
    2-1:ペットの大きさ
    2-2:酸素室の気密性
    2-3:お世話のしやすさ
    2-4:温度制御のしやすさ

  3. どこまで酸素濃度を高めるか

  4. 酸素濃縮器のスペック

  5. 酸素濃度が落ちてから復帰するまでの時間

  6. 初期費用、維持費を含めたコスト

1.酸素室の方式

酸素室は大きく2つのパターンに分類できる。

  • ケージ自体を酸素室にする方式

  • ケージを酸素テントの中に入れる方式

両方の方式を試したが、当然各々にメリットデメリットがあるので、これらを加味しながら方式を決めると良いと思う。

ケージ自体を酸素室にする方式

◎:相対的にサイズが小さくシンプルな酸素室を構築できる
◎:テント式に比べると温度管理が楽
◎:テント式に比べると小さく、素早く高い酸素濃度にしやすい
◎:中にいるペットにすぐにアクセスできる

✕:ケージに換気口が多いタイプだと酸素濃度を保てない
✕:小さすぎるケージは運動不足の恐れあり

※換気口をふさぐ際、接着剤のにおいが強いテープは使用厳禁

ケージを酸素テントの中に入れる方式

◎:テントに収まればいろいろなケージが使える
◎:広いケージも使うことができる
◎:気密性が高いので(酸素濃縮器にもよるが)高い酸素濃度にできる

✕:ケージを酸素室にする方法に比べ、相対的に全体サイズが大きい
✕:温度管理が非常に困難
✕:テントとケージ、最低でも2つの扉を開けないと中にアクセスできない
✕:別途テントを購入する費用がかかる
✕:サイズによっては酸素濃度が高まるまで時間がかかる

2.ケージの選択

意外と悩むポイントで、いくつかの項目と合わせて考える必要がある。

  • ペットの大きさ

  • ケージの気密性

  • お世話のしやすさ

  • 温度制御のしやすさ

    ケージの大きさに左右されたくなければ、項目1であげた「ケージを酸素テントの中に入れる方式」にすれば(もちろんテント内に収まるサイズであれば)いろいろなケージを使うことができる。

2ー1.ペットの大きさ

一時的な酸素供給である場合を除き、スナネズミやハムスターなどの、いわゆる小動物であっても酸素濃度を上げたいあまり過度に小さいケージを使うのはあまり適していないと思われる。

特に高齢のペットに多いが、あまりにも小さい部屋に閉じ込めてしまうと、動物にとって大変なストレスになるし、何よりも運動不足から足腰が弱くなり最悪歩行が困難になる恐れがある。

2-2.酸素室の気密性

酸素濃度を保つためには気密性が重要だが、気密性を高めるあまり過度に密閉してしまうと温度や臭気の問題や湿度が異常に下がるという事態になる可能性がある。

そのため、意図的に換気口を作るか、ケージの蓋を開けて換気をするなどを心掛けたい。

2-3.お世話のしやすさ

1日に複数回ご飯をあげるし、おしっこやうんちを取ることもある。触りたい事もあるし、ケージを開ける機会は意外なほどに多い。

にも拘わらず、毎回酸素濃度を著しく下げてペットに負担をかけていたのでは本末転倒。そういう意味でこの点はとても重要な項目。

2-4.温度制御のしやすさ

これはかなり難儀すると思う。
ケージ式の酸素室だと、比較的温度管理は容易。

一時的に25℃や26℃に到達するものの、冬場(1月下旬)においても基本的には25.5℃近辺を維持する事ができる。

しかし、テント式だとこうは行かない。

既定の温度に達した際にエアコンを操作しても、エアコンで調整された外気がテント内にあるケージに到達するまでにかなりの時間がかかり、設定温度を著しく逸脱する。

僕はこれが理由でテント式をあきらめた。

3.どこまで酸素濃度を高めるか

これは正解がわからない。
獣医さんにきいても、呼吸が楽になるまで高めて良いとの事。

ただ、僕が借りた酸素濃縮器は35%~せいぜい50%程度までしか到達しないので、最高濃度で使用している。

獣医に確認したところ、24時間の連続使用でも問題ないとの事だったので、マーブルは24時間酸素供給下にいる。

4.酸素濃縮器のスペック

酸素濃縮器にはいくつかの種類がある。
特に注意するポイントは2つ。

  1. 連続運転時間

  2. 高流量時の酸素濃度

1.連続運転時間
安価な装置だと24時間の連続運転ができない事が多い。
もちろんスポットでの使用であればこの限りではない。

2.高流量時の酸素濃度
これは酸素濃度をどれだけ迅速に立ち上げられるかに直結する要因であり、同時に別noteに記載予定の、外出時の携帯酸素用としても考慮すべきスペック。

酸素濃縮器オキシランド Z-3000
●酸素濃度:流量1~3L/分範囲内で90%以上、流量8L/分で40%以上
     (3L~8L/分 90%~40%)
●流量:毎分1~3L/分(目盛り範囲)最大流量約8/分まで

5.酸素濃度が落ちてから復帰するまでの時間

これは使用するケージによって異なるので実際に酸素計を使って測ってみるしかない。

この時間を把握しておかないと、掃除や獣医に行った後にどの程度で酸素濃度が復帰できるかわからず、ペットに無駄な苦痛を与える可能性がある。

当然大きいケージであればそれだけ酸素濃度が復帰するまでの時間は長い。

ただ、あらかじめ酸素を何かしらのバッグに保存しておけば、掃除の後に迅速に酸素濃度を復帰させることも可能。しかし、復帰までの時間を把握しておく必要性は変わらない。

6.初期費用、維持費を含めたコスト

これはレンタルする会社による。

見た目のレンタル料が安くても配送料(往復に各々料金がかかる)が非常に高いケースもあるので注意。

あとはある程度の融通が利く会社を選ぶのはとても大切。

今回、僕がお世話になったレンタルの会社はかなり融通を利かせてくれた。

この会社は朝9時に連絡をすればクロネコヤマトで当日配送を行ってくれるが、時間を過ぎていてもバイク便で送ってくれた。

もちろんバイク便の費用はこちら持ちで、バイク便会社の指定もこちらがおこなった。

まとめ

約1.5年前に書いたnoteにある酸素室よりも格段に使い勝手や温度管理が向上した。

追記

酸素濃度低下防止用カーテンについて

上記の仕組みでおおよそ満足していたが、どうしても改善したい事があった。

それはお世話の度に大きく酸素濃度が落ちてしまう事。

ルーミーは前面の扉を大きく開放する形をしており、お世話をする際やちょっとした掃除をするときはどうしても酸素濃度が落ちてしまう。

一度酸素濃度が落ちてしまうと再び濃度が上がるまでに時間がかかり、マーブルに負担を与えてしまうため、扉を開けておいてもなるべく酸素濃度が下がらない仕組みを考えた。

扉の開口部にカーテンをかける

扉の開口部から酸素が流出しない様にするため、カーテンを付けることにした。

カーテンの素材は以下の通り。

  • ぺたぺたしない

  • なるべく透明度が高い

購入したカーテン

カーテンの選定は奥さんが行ってくれた。
さすがのチョイスです、いつもありがとう。

購入場所:ユザワヤ
型番:YMGKVB-250
価格:1000円くらい

カーテンとりつけ前と後

カーテン取り付け前は、前の扉を開けておくと数分で大気状態(酸素濃度21%程度)になってしまっていた。

しかも、一度大気状態になった酸素はなかなか復帰せず、マーブルにとってつらい状況が長く続いてしまう。

カーテン取り付け後は以下の通り。
非常に満足のいく結果となった。

扉解放前の酸素濃度
・酸素濃度は約40%

カーテンの間に手をいれて作業
・酸素濃度は約34.7%に低下、それ以上は下がらなかった

扉を閉める
・酸素濃度は約5分で39%まで上昇

カーテンの間に手をいれずに扉を開放
・酸素濃度は約38.5%以上で安定

実際の作成方法は以下の通り。
ケージはルーミー60を使っている。

塞ぐ場所は酸素が漏れそうなところ
全ての穴を塞いでしまうと換気不足やCO2滞留の可能性があるので注意
タオルの有無はケージ内温度などを加味して判断したほうが良い

実際に設置した状況。

実際の設置状況
よく見ると透明なカーテンがかかっている

次回について

次回は家から獣医に行くまでの間に酸素濃度をなるべく下げずに移動する方法について触れる。

といっても、酸素をバッグにいれて定期的に補給するだけだが、実際にやろうと思うと色々調べる必要があった。

↓次回のnote

サポートありがとうございます。すなねずみ達の為に使わせて頂きます。