海月館水葬夜話 あとがき
【海月館水葬夜話】2020/7/17(金)発売 集英社オレンジ文庫様
発売から約1か月が経ちました。
お手に取ってくださった読者さま、告知にお力添えしてくださった方々、ありがとうございました!
本編に、作者のあとがきが存在しない(※基本的に、あとがきのないレーベルさん)ので、noteさんの方に少し書かせていただきます。
死んでも忘れることのできない後悔は、ありますか?
さまよえる死者の魂を海に還す。
そんな家に生まれた幼馴染の男女が、死者の後悔を紐解く物語でした。
あらすじには明記されていないのですが、収録作品4編による短編連作。振り返ってみると、主役ふたり含めて、登場人物全員それぞれが抱える、愛と執着をめぐる一冊でした。
第一章 春の栞
◆ 通り魔に殺された女と、彼女の愛する男の子。
桜の名を持つふたりが夢見て、されど叶わなかった美しい春の話。
第二章 夜と朝のあわい、嘘
◆ 心不全で亡くなった女と、彼女を殺したと訴える二人の死者。
それは恵まれた人生に隠された、嘘つきな恋の話。
第三章 貌のない女神
◆ 海神に焦がれた画家と、彼に振り向いてほしかった妻。
運命になれなかった二人の、恋と呼ぶには悍ましい妄執の話。
第四章 鏡うつしの獣たち
◆ 男女の双子は心中した恋人の生まれ変わりだという。
鏡うつしの双子、来世をめぐる愛憎の話。
――海の底には、きっと地獄がある。
書き出しの一文は、この物語の主題であり、主人公たちの関係性そのものだったと思います。
優しい地獄でありますように、と祈りながら書いた物語でした。哀しくても優しい気持ちになれますように、切なくても愛がありますように、と。
楽しんでいただけたら、何か届くものがあったなら、作者として嬉しく思います。
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集英社オレンジ文庫編集部 気付
東堂 燦
※ ご無理、ご負担のない範囲で応援していただけると幸いです。
いつも応援してくださる皆様、親身になってくださった編集さま、編集部様、美しい装画を描いてくださった青藤様、デザイナー様、お迎えしてくださった読者の皆様、この物語に携わってくださったすべての方々に御礼申し上げます。
暑さの厳しい季節になってきましたので、皆様、ご自愛ください。
海月館水葬夜話、お手にとっていただき、ありがとうございました。叶うならば、別の物語でもお会いできますように。