21-22シーズンのアーセナルの補強
今夏のオフは、ユーロとオリンピックの開催によりサッカーファンにとって楽しみが多かっただろう。その裏で、開かれていた移籍市場。今夏のアーセナルの補強は、皆さんにとって満足のいくものであっただろうか。私の意見も踏まえながらまとめていきたい。
ヌーノ・タヴァレス
・背番号 20
・年齢 21
・身長 183
・国籍 ポルトガル
・移籍金 10億5000万円(インセンティブ付き)
今夏、第1号の補強となったヌーノ・タヴァレス。昨シーズン、アーセナルは本職の左サイドバックはティアニーのみだった。ティアニーの負傷時は、ナイルズ、セドリック、サカ、ジャカなどが務めたがティアニーの欠場はチームのクオリティは下げる原因になっていた。そのため、ティアニーのバックアップの補強は的確であると言えそうだ。
タヴァレスは、縦へも中へも切り込めるダイナミックなドリブルと、クロスの質が良いところが特徴だ。守備は正直プレミアリーグでどれだけやれるか未知数な部分ではあるが、対人など弱いように見えない。ヨーロッパのコンペティションが今年はないため、どれほど試合に絡めるのかわからないが、ティアニーとはまた違った特徴を持っている。3バックだったらティアニーと並べることもできるし、右サイドバックもできるなどチームに新たなオプションを与えてくれるだろう。
サンビ・ロコンガ
・背番号 23
・年齢 21
・身長 173
・国籍 ベルギー
・移籍金 27億円
ロコンガは、トーマス・パーティーの怪我の影響によりいきなり開幕戦デビューを果たした。21歳ながら冷静な振る舞いを見せグーナーに大きなインパクトを残した。アンデルレヒトでコンパニのもとキャプテンを務め、ユーロ2020ベルギー代表のアンダーメンバーに選ばれる逸材だ。
最大の特徴は、低い位置での冷静なビルドアップだ。少ないタッチで攻撃にリズムを与える。また、キックの種類も多彩でループパスなどでディフェンスラインの裏に送ることもできる。守備の強度も開幕戦を見る限り悪くないように見たが、チームとして連動してプレスに行く際に遅れるところは何回か見えた。プレミアリーグのスピード感の違いだと思うので、時間が解決してくれるのではないかとみている。様々な意見があると思うが、ロコンガはまだ21歳。もしかしたら、数年後プレミアリーグを代表するボランチになっているかもしれない。
ベン・ホワイト
・背番号 4
・年齢 23
・身長 182
・国籍 イングランド
・移籍金 76億円
ベン・ホワイトの補強は、今夏アルテタのトップターゲットだっただろう。また、ダビド・ルイスの退団もあったので補強すべきポジションであった。23歳、ホームグロウンということもあり、ディフェンスながら移籍金が高騰した。この取引が失敗か成功になるか、私はベン・ホワイトに期待したい。
皆さんがご存じの通り、ベン・ホワイトは足元の技術に優れている。リーズやブライトンにおいて主力として活躍していたことからわかるように、ボールさばき、長短を使い分けるパス、的確なボール運びなどビルドアップにおいて力を発揮してくれるだろう。空中戦については、弱点と言われているが相方のセンターバックと補填しあえば問題ないだろう。特に、左センダーバックを務めるであろうガブリエル・マガリャインスとは同じ年齢。この2人におけるサポーターの期待は大きい。
マルティン・ウーデゴール
・背番号 8
・年齢 22
・身長 176
・国籍 ノルウェー
・移籍金 45億円+ボーナス
昨シーズン冬、レンタル加入後すぐに活躍してくれたウーデゴールを完全移籍で獲得。レアルマドリードでのポジション争いに意欲を見せていたが、ポジションを掴み切れず移籍することに。16歳でレアルマドリードに移籍すると、アーセナルを含む、4チームにレンタルされていた。ウーデゴール曰く、そろそろ1つのチームに落ち着きたかったそうだ。
アーセナルにとって、待望の攻撃的MFの獲得となったわけだが、昨シーズンのウーデゴールの加入は、確実にチームにプラスの要素をもたらした。ファイナルサードで、視野の広さとテクニックをみせチャンスメイクをした。また、スミス・ロウとも共存して新たな攻撃の形を確立した。ウーデゴールの加入によりアーセナルの攻撃に変化を加えたのはデータにも出ている。ゴール期待値やチャンスクリエイトなどの攻撃的なデータで上位を記録した。ウーデゴールはデビュー当時、神童と呼ばれながら、様々な国でプレーし、代表ではキャプテンを務めるというキャリアの持ち主である。22歳という若さで彼ほどの経験をしている選手は、そうそういない。戦術的な要素以外にもウーデゴールの加入は期待せずにはいられない。
アーロン・ラムズデール
・背番号 32
・年齢 23
・身長 188
・国籍 イングランド
・移籍金 36億+ボーナス
アルテタが獲得を熱望したという、ラムズデール。過去4シーズンで3回降格を経験してしまっているが、評価は高くユーロ2020のメンバーに追加招集ながら選出された。また、ウィンブルドンでは若手最優秀選手賞、ボーンマスではファン大賞、シェフィールド・ユナイテッドでは最優秀選手賞をとるなど、クラブでの個人賞を獲得する実績の持ち主である。
ラムズデールは、シュートストップはもちろん足元の技術も優れているキーパーだ。もともと中盤の選手だったのが秘訣でロングボールも精度が高い。今シーズン、ラムズデールにどれだけ出場機会があるのか不透明な部分はあるが、確実に将来の守護神として獲得しただろう。ラムズデールの獲得によって、自信喪失気味なレノにどういった影響が与えられるのか。是非、相乗効果となる競争をしてほしい。
冨安 健洋
・背番号 18
・年齢 22
・身長 188
・国籍 日本
・移籍金 30億円
今夏のデッドラインデーにこんなサプライズがあるとは、想像もしていなかった。日本人にとって4人目のアーセナルの選手となった冨安。これまでの日本人選手とは違い、スタメンを確保し戦力として大きな功績を残してくれるのではないかと期待がかかる。
冨安は、様々なポジションを高いクオリティでこなす素晴らしいマルチプレイヤーだが、アルテタは右サイドバックとして起用するのではないかと考えられる。長年右サイドバックを張っていたヘクトル・ベジェリンをデッドラインデーに放出しアーセナルは現在、セドリック、ナイルズ、チェンバースの3人が右サイドバックをすることができる。しかし、それぞれ違った面で問題を抱えており、右サイドバックのレギュラーは現時点ではいない。強いて言えば、チェンバース、セドリック、ナイルズという優先順位だろうがアーセナルにとって右サイドバックは一つの穴となっている。冨安はプレミアリーグのスピード感に慣れれば、スタメンを張れるだけの実力はあるだろう。また、左サイドバック、両センターバックの控えとしても使えるため、アーセナルにとって選択肢を広げる補強となった。日本人ディフェンダーの躍動でアーセナルが復活するのを期待したい。
今夏噂となった主な選手たち
オナナ、アーロンズ、アワール、ネヴェス、ビスマ、マディソン、タイラーアダムス、ロカテッリ、ベルナルド・シウバ、ラウタロ・マルティネス、エイブラハム
まとめ
今夏、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドという2台巨頭が移籍する忘れられない夏となったが、昨シーズン8位のアーセナルは積極的に動いた。獲得した面々を見てわかる通り、アルテタ好みの選手が来てくれた。また、20代前半の選手ばかりを獲得しチームを若返らせようとしているのがわかる。こんなにもお金を使えると思っていたなかったため、個人的には驚いたが、チームが変革期を迎えているということなのだろう。開幕3連敗と最悪のスタートをきったが、今夏獲得した選手たちが長期的にアーセナルの中心となりチームを引っ張っていって欲しい。
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