21-22シーズン夏のアーセナルの放出
コンスタンティノス・マヴロパノス
・移籍先→シュツットガルト(買取オプション付きローン)
個人的には、アーセナルでの活躍をみたい選手の1人だったが、実質完全移籍。2018年の冬に加わって以降、怪我に悩まされた。マヴロパノスといえば、デビュー戦のマンチェスターユナイテッド戦でサポーターの期待をいい意味で裏切った。ロメル・ルカクと対等にやりあい、落ち着いたボール捌きでプレーしていた。将来、アーセナルの顔になれるのではないかとすら思った選手だ。また、マヴロパノスは幼少期からのグーナーである。そういったとこからも退団が惜しまれる。アルテタの目にはどのように映ったのか気になるところである。ドイツでの活躍を願いたい。
ウィリアン・サリバ
・移籍先→オリンピック・マルセイユ(1年ローン)
2019年の夏にアーセナルに加わってから3度目のレンタル。当時、18歳という若さながら約35億円の移籍金で加入したため、サポーターの期待は大きい。レンタル先の、ニースやマルセイユですぐにポジションを獲得している点からフランス国内での評価が高いことがわかる。しかし、アルテタは今夏、同じポジションのベン・ホワイトを獲得。アルテタにとっては、構想外なのだろうか。いつサリバがトップチームデビューを果たすのか、はたまたこのままアーセナルのユニフォームに袖を通すことなく退団するのか、いずれにせよサポーターに納得させる説明が欲しいものだ。
マッテオ・ゲンドゥージ
・移籍先→オリンピック。マルセイユ(買取オプション付きローン)
サポーターの中で、最も評価が二分するゲンドゥージ。2018年夏に加わり、当時の指揮官ウナイ・エメリからすぐ信頼を得て19歳ながらリーグ戦33試合に出場。一時期は約50億ほどの価値があるとされたが、素行の悪さなどからアルテタの下では信頼を得られず、レンタル。レンタル先のヘルタ・ベルリンでも素行の悪さが目立ち浮く存在になっていたそうだ。プレーヤーとしては、他にはない武器を持っている面白い選手であった。しかし、今後アーセナルが復活するためには、秩序を乱すような選手を放出できたことはポジティブなのかもしれない。
ダビド・ルイス
・移籍先→未定(契約満了)
ダビド・ルイスは、契約満了により退団。ダビド・ルイスはわかりやすく長所と短所がある選手だったが、彼の退団はピッチ外においてチームに与える影響は大きいだろう。現在のアーセナルはブラジルの選手が多数所属、チームの兄貴分といった立ち位置だった。インスタグラムのフォロワーが多いことなどからわかるように、世界的に人気の選手の一人だ。こういった存在はチームには貴重だ。アルテタ政権では若返りを図っているように見えるが、チーム最年長の退団が与える影響は戦術面だけでなく、精神面においても少なからずあるだろう。
マシュー・ライアン
・移籍先→レアル・ソシエダ(ローンバック、移籍)
昨シーズン冬、第2ゴールキーパーとして加入したライアン。アーセナルデビューとなったアストン・ヴィラ戦では安定したプレーを見せてサポーターの心をつかんだ。また、フラム戦では得点に絡むなど限られた時間で印象的なプレーをした。今夏アーセナルは、ホームグロウンのキーパーを狙っていたため、オファーをせずに退団となった。個人的には、プレミアで実績のある選手が第2ゴールキーパーを受け入れている点やグーナーであるといった点から残って欲しい選手の一人だった。新天地での活躍を祈りたい。
ダニ・セバージョス
・移籍先→レアル・マドリード(ローンバック)
セバージョスは2シーズンのレンタルを経て所属元に復帰となった。アーセナル1年目の終盤でレギュラーを獲得しレンタル延長となったが、昨シーズンは思ったような活躍を見せることができなかった。セバージョスは、独特のテクニックとアイデアでアクセントを加えてくれる実にアーセナルらしい選手だった。カソルラの後継者になれるのではないかとも言われたが、2年目のシーズンは、危険なエリアでのボールロストなど安定感に欠いた印象だった。ポテンシャルがあることは間違いないので、復帰後のセバージョスに注目したい。
ジョー・ウィロック
・移籍先→ニューカッスル・ユナイテッド(完全移籍)
ウィロックは、昨シーズンのレンタル先のニューカッスルに約38億円で完全移籍。どういった状況でも、アカデミー育ちの選手が去るのは悲しいものだが、ウィロックにとって良い選択をしただろう。アーセナルの戦術のもとプレーするより、攻撃において自由が多いニューカッスルの方が生き生きプレーできていた。事実、昨シーズンの終盤ニューカッスルで、14試合で8ゴールをあげプレミアリーグ月間最優秀選手に選出された。あれほどの決定力を持つ2列目の選手は、アーセナルにはいなかった。そのため、アルテタのもと活躍する姿も見てみたかったが、移籍金もそれなりに残してくれたので両者にとって良い取引になったのではないだろうか。
ルーカス・トレイラ
・移籍先→フィオレンティーナ(買取オプション付きローン)
トレイラは2018年の夏にアーセナルに加入。身体を張る献身的な守備と危機察知能力の高さを生かして徐々にレギュラーに定着。しかしその後、怪我の影響もありアルテタの下では信頼を得られず、出場機会を減らし、昨シーズンはアトレティコにレンタルにだされた。レンタル元でも思うように活躍ができずに、今夏を迎えた。サラーやマネからボールを奪ったと思えば、ノーロンで得点を挙げたり、ハダースフィールド戦でオーバーヘッドを決めるなど、記憶に残る素晴らしい選手だった。本来の力を発揮してくれれば、今のアーセナルでも十分に戦力になる選手だけに、個人的には非常に悲しい移籍となった。もともとイタリアで頭角を現したので、慣れ親しんだイタリアで本来のパフォーマンスを発揮してほしい。
ウィリアン
・移籍先→コリンチャンス(契約解除)
昨シーズン、アルテタの希望によって加入したウィリアン。開幕節は全得点に絡むなど、素晴らしい活躍を見せたがその後は、不安定なプレーが続いた。これがウィリアン自身のコンディションの問題なのか、アーセナルの戦術の問題なのかわからないが、いずれにせよ周囲の期待に見合う活躍をすることはできなかった。ウィリアンは、2年の契約が残っていたが、出場機会を目的としての契約解除となった。これでアーセナルは約31億円の経費削減につながったそうだ。このようなケースは、現代のサッカー選手においては異例のことであり、ウィリアンの素晴らしい漢気がわかるとともに、アーセナルの契約が甘くずさんであったことがわかる。しっかりと学ぶべきだ。アーセナルでの1年間は失敗に終わったが、コリンチャンスで本来のパフォーマンスを発揮してくれることを願いたい。
エクトル・ベジェリン
・移籍先→ベティス(1年ローン)
近年、様々な放出の噂が出ていたベジェリンがデッドラインデーに移籍が決まった。昨シーズンからアーセナルの退団を希望していたベジェリンであったが、完全移籍ではなくレンタルという形になった。かつてスペイン代表に呼ばれるなど、快足を生かした攻守でチームを支えていた。しかし、前十字靭帯断裂など、度重なる怪我を繰り返し本来のパフォーマンスを発揮できなくなっていた。ベジェリンは最も所属年数が長く最近ではキャプテンマークを巻くこともあった。そういった選手が、減俸を受け入れてまで退団を希望したのだから今のアーセナルが決して褒められた環境ではないことがわかる。ヴェンゲルの哲学を知る数少ない選手を放出せざる負えなかったことは非常に悲しい。できることならば、アーセナルとともにベジェリンも復活して欲しかったが、本人の意思を尊重して、初挑戦となる母国で伸び伸びやってほしい。
リース・ネルソン
移籍先→フェイエノールト(1年ローン)
昨シーズン出場機会に苦しんだネルソンは、デッドラインデーにレンタル+契約延長を発表。ネルソンのポジションは、層が厚くなかなか起用したくてもできない状況だったので、オランダの1部へのローンはよい選択だったのではないだろうか。18-19シーズンにブンデスリーガにレンタルに出され、23試合で7得点するなど実力があることは証明済みである。21歳とまだ若い、契約も延長したので来シーズンが楽しみになるような活躍を期待したい。
ルナル・アレックス・ルナルソン
移籍先→OHルーヴェン(買取オプション付きローン)
昨シーズン、エミリアーノ・マルティネスの退団により第2ゴールキーパーとして加入したルナルソン。ELやリーグカップなどで出場機会をもらうも、失点に直結するミスなどで評価を落とした。アーセナルは、冬に第2ゴールキーパーとしてライアンをローンで獲得しルナルソンは第3ゴールキーパーに降格する形となった。また、今夏アーセナルは、ラムズデールを獲得するなどアーセナルでの立場は依然として厳しかった。レンタル先で試合に出場して自信を取り戻してほしい。
まとめ
昨夏、放出に苦しみ登録外となる選手まで出したアーセナルにとって、放出は大きなミッションとなっていた。特に、今年アーセナルはヨーロッパのコンペティションがない。そういった意味で、どれだけ放出が大切だったかはわかるが、アルテタにとって余剰戦力とみなしている選手を放出できたのだろうか。それは、アルテタに聞いてみないとわからないが、現金化できたのがウィロックのみとなった。それ以外はレンタルなど理想通り移籍金を捻出することはできなかった。とはいえ、コロナ禍で他のチームもこういった状況であるため仕方ない状況なのだろう。人員整理という観点でみると、昨シーズンよりはましだ。
放出された選手は皆いい選手ばかりだ。アーセナルで躍動する姿をみたかったが、他のチームでの活躍を祈りたい。
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