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クリエイティブ会社が自ら広告したいものとは? 〜サン・アドの企業広告

こんにちは。ツネキです。
note初登場となります。以後、よろしくお願いします。

普段はクライアントの企業広告や商品広告を手がけているサン・アドですが、実は自分たち自身を広告する機会が年に数回訪れます。

その機会とはずばり、年鑑です。

サン・アドでは例年「TDC年鑑」「TCC年鑑」「ACC年鑑」「ADC年鑑」そして「JAGDA年鑑」という、広告業界に籍を置く人たちにとってはお馴染みの5つの年鑑に広告を出稿しています。大型書店での取り扱いもあるので一般の方にも見ていただける広告なのですが、専門書ゆえになかなかご覧いただける機会も少ないと思います。

そこで今回から複数回にわたって「サン・アドが何を広告してきたのか」=サン・アドの広告をご紹介していきたいと思います。

第1弾は、2020年度の「TDC年鑑」に掲載されたシリーズ第1作です。



サン・アドの中の人 01 コピーライター 公庄仁

TDC年鑑(2020年度)より

僕と言葉とデザイナー

サン・アドに入社して、もう10年になる。実績どころか業界経験もないまま拾ってもらった。当然ながら入社当初はまったくの鳴かず飛ばずであったが、今もさして鳴いたり飛んだりする気配はない。それでも優秀なデザイナーのおかげで、楽しい仕事を経験させてもらっている。

たとえば何年か前のTDC年鑑にも掲載された、東京メトロ × ドラえもんの広告「すすメトロ!」。はじめは、「すすメトロ!」という言葉がかっこ悪いかもと心配していたが、ADの池田泰幸さんがロゴにしたところ、途端に魅力的に見えてきた。やはり言葉は音や意味であると同時に、絵でもあるのだと改めて感じた。

文字に関して、言葉のプロであるはずのコピーライターよりもデザイナーの方が詳しいということはよくある。細かい話だが、増田君からは「3点リーダ(…)は、本当は2つ続けるのが正しいんですよ」などとよく指摘される。増田豊君はドバイ万博日本館のロゴをつくった人だ。葛西さんなど、傍から見ているとつい素敵なデザインばかり目がいくが、実はページ物のキャプションの中の記号というような細かいところにまで、「ここはコロン(:)よりもスラッシュ(/)の方が読みやすいのではないか……」などと誰よりも考え抜いていて、背筋が伸びる。

そういえば葛西さんとともに虎屋を担当している白井陽平さんがいつか、「お洒落な和モダンのパッケージはたくさんあるけれど、虎屋さんが他と違うのは、文字を大切にする所ではないか」と言っていた。改めて羊羹のパッケージを見てみると、この年鑑には載らない裏面の成分表示のような所まで、文字が綺麗に並んでいる。

今の時代は、大声で戦略や理論を語る人がつい注目されがちだけれど、実は現場での気づかないほどの細部が積み重なってブランドをつくることは意外と多いのではないかと思っている。

閑話休題。

言葉は一人で生きることができない。なにせ文字を借りないと存在することさえできないのだ。だから言葉を生業にするコピーライターにとって、才能あるデザイナーと組めるのは非常に幸運なことだし、ほとんど死活問題と言ってもいい(そういえば、アイデアに富んだ中山智裕君のデザインに文章を添えただけという仕事で、ちゃっかり大仰な賞をいただいたことがある)。
僕はときどき、日本人に日本語を売って家族を養っているという自分の境遇をとても不思議かつ不安に思うのだが、周りに恵まれコロナの時代でもなんとか廃業せずに済んでいる。

ちなみに冒頭で書いた「鳴かず飛ばず」という言い回しは、古代中国の荘王(そうおう)の故事に由来するらしい。現代のニュアンスとは少し違い、3年鳴かず飛ばずの鳥も、荘王曰く「一旦飛べば天に届き、一旦鳴けば人を驚かせるだろう」とのこと。3年どころかあっという間に10年が過ぎ去ってしまったのだが、僕ももう少しだけ頑張ってみようと思う。


TCC年鑑に続く

クリエイティブ会社が自ら広告したかったこと

「テレビCMやグラフィック広告、パッケージデザインやウェブデザインなどなど、サン・アドの人たちが制作したものは頻繁に世の中に出て行くのですが、それらを作っている人たちについて、なかなか紹介する機会がない」「部署を問わずに魅力的な人たちがいる会社である」

そうした会社の「人」の魅力を伝えていきたい、というのがこのシリーズの出発点だったと、プロデューサーの大場は語ります。

今回ご紹介した「TDC年鑑」の広告も、デザイナーやアートディレクターたちが手に取ることの多い年鑑に掲載する企画なのに、このようなテキスト中心の広告を発想するあたりがコピーライター公庄らしいところ。

大きな枠組みではコピーライターである自分と会社、仕事との関わり方を紹介しながら、サン・アドに所属するデザイナー、アートディレクターの紹介原稿にもなっているところが巧みです。

そして、アートディレクターである中野直の似顔絵と挿絵がまたよいアクセントになっています。

サン・アドに所属する人たちを紹介していくこの広告シリーズ。
次回は、2020年度の「TCC年鑑」に掲載された広告をご紹介します。

サン・アド企業広告
■スタッフリスト
CD / C:公庄仁 AD / D / イラスト:中野直 PR:大場彩子


*TDC年鑑
東京タイプディレクターズクラブ(TDC)が年1回発行しているデザイン年鑑。タイポグラフィとデザインの国際コンペティション「東京TDC賞」の入賞作品を収録している。

*TCC年鑑
東京コピーライターズクラブ(TCC)が発行しているコピー年鑑。年1回の審査会を通過したすぐれた広告を年鑑としてまとめ、広く紹介している。

*ACC年鑑
広告主・広告会社・制作会社・メディア会社などさまざまな業種・団体が加盟しているACC(ALL Confederation of Creativity)主催の広告賞の受賞作品をまとめた年鑑。かつてはACC CM FESTIVALの受賞作をまとめた「ACC CM年鑑」だったが、2017年に賞自体が「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」へと変わったことを受け、年鑑も「ACC 日本のクリエイティビティ」とその名を変更している。

*JAGDA年鑑
日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)が毎年、会員が手がけた仕事・作品を募集・選考・収録している年鑑。JAGDA正会員の互選により決定した選考委員が作品選考にあたっている。


*サン・アドHP
https://sun-ad.co.jp/

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写真・大森めぐみ (サン・アド)
文・常木宏之 (サン・アド)