NCT DREAM "Dive into You" というエモ
20数年生きてきて今頃自分がR&Bが好きというのを最近(と言っても去年の冬)知ったのですが、また良いR&BがNCT DREAMから出たので、少し探ってみようと思います。
2021/5/10発売された "맛 (Hot Sauce)" に収録されている 'Dive Into You (고래)' です。
みんな大好きコレね。🐋
私も大好きです。アルバム内で一番好きです。全曲好きだけど。
トラックがシンプルなバンドサウンドながらも超音波のような海底を漂うようなベースだったり、グロッケンとギターを被せで入れてるような音だったり(これはちょっと自信無い🥺)、海を感じさせる爽やかなサウンドの中に少し寂しさを感じる、ドリーム・ポップ感、浮遊感があるミディアムR&Bです。
ミディアムR&Bというのは、ダンスミュージックよりテンポが遅く、バラードより早いテンポのジャンルです。
振り付けもいちいちかわいいので、それも相まってみんな好きな曲だと思います。
本人達も recording behind で楽しい曲と言ってましたし。🏝
どりいむちゃん達(私は彼らをどりいむちゃんと呼ぶ人格を持っています。)が楽しそうにステージをしているのが一番精神衛生に良いです。
ライブでこの曲をするならば、1人1人をマルチカムでちゃんと見て、振りやケミや一期一会のアクションにいちいち興奮したいです。
はやくライブが出来てほしいな…。切実な願いだね…。
シンプル・イズ・ベスト
やっぱりシンプルなものはみんな好きになるということをここではお伝えしたいです。
この曲は、
① E A#dim A -
② E F#7 A -
のコードで大体出来ています。
この2つのコードは、2つ目がA#dimかF#7かの違いで、ぶっちゃけ和音の構成音はほぼ変わらない(A#dimはA# C# E、F#7はF# A# C# Eで構成)ので、実際は①のコードの時に②のコードを使っても、進行に違和感はほぼ感じないと思います。逆も然り。
そしてサビ前後やサビ内で、
③ E F#7 A D5
と、パワーコード(真ん中の音が無い和音のこと)のDが最後に入ります。
変化球は皆さんご存知の通り、2番Bメロに、
④ F#7 E/G# A E
⑤ F#7 E/G# A D5
のコードが来ます。
そして実は!もうひとつ変化球があります。
Cメロのジェミンのところで、
⑥ E F#7 A/#C Am/C
になっているんです。この分数の意味は 和音/ベース音 です。
なので、C#のベース音にAのコード、Cのベース音にAmのコードを演奏する、の意味ね😉
この⑥の部分は、重要なので後で掘り下げてみます。
これで全部のコードになります。
それぞれ少しずつコードの中身は変わってますが、基本のコード①と②で曲の7~8割方埋められるので、シンプルなコードではあると思います。めちゃくちゃ変って訳でも無いので。
変化球コードで遊んでいる感じですね。
④と⑤の変化球コードはわざと入れたと思います。
最初聞いた時は一瞬違和感でしたが(笑)、この遊びが浮遊感をより強調していてまた良いです。
「明るい」のに「寂しい」のか?
Dive Into You は E major の曲です。majorなので基本的に明るいイメージですね。
では、この曲の印象を言葉で表すと何でしょう?
「明るい」けどなんとなく「明るい」だけでは無い気がしますね。
一言で表すには難しそうな感じです。
「儚い」とか「浮遊感」とかいろいろ出てくると思いますが(語彙力が無いのでこれくらいしか言葉が出ん)、「明るい」と「寂しい」が共存している雰囲気があると個人的に思います。
この言語化が難しい丁度いいアンニュイな雰囲気、どうやって出しているんだろう…?
答えは「dim」の和音にあります。
基本のコードの、
① E A#dim A -
② E F#7 A -
のA#dimとF#7(F# A# C# E←太字部分がdimの和音)に含まれています。
dimは減三和音、ディミニッシュコードの意味です。
上の画像はA#dimを鍵盤上であらわしたものです。
この和音のように、減3度と減3度を組み合わせた和音が 減三和音、ディミニッシュコード、略してdimです。(減3度や以下音楽用語についてわからなかったらググッたら出てくるよ😉)
この減三和音というのは、三和音(長三和音・短三和音・減三和音・増三和音)の中で、一番キツい響きを持ちます。
キツい響きというのは、痛さとか恐怖、不安感、とかです。
キーボードやギターがある方はこの和音だけ弾いてみてください。
響きに不安定さを感じませんか…?(感じられると信じて…😏)
少し心臓がキュッとなる感じ。
この不安定さを持つ減三和音をコード進行に一瞬いれることによって、majorの曲ながらもなんとなく物悲しい雰囲気を出しています。
また、和音構成音内で半音進行をず〜っと繰り返していることも、アンニュイの要素です。
これちょっと寝ぼけながら書いたので所々違うところもありますけども、上のツイートのように、B→A#→A→G#の半音進行を基本のコード①と②で行っています。
(BとG#の音が同じ和音内(E)で鳴っているのでエンドレスになっているということ)(伝わってる?)
半音進行は不安定要素のひとつです。近いところをずっと行ったり来たりと、さ迷っているので。😌
そして、この減三和音 A#dim は E majorのダイアトニックコードであるAに進行すること、言い換えると減三和音をダイアトニックコード同士の進行の間(ここではEとA)に挟むと、前後のコードのポジティブな影響(EとAどちらも長三和音)を受けて、減三和音特有のキツさをあまり感じられなくなる、というロジックがあります…!
だから「明るい」けどなんか「寂しい」雰囲気。
どちらも共存している。
広い海を見てると綺麗だけど怖さも感じる、みたいなあの雰囲気をよく表現されてるような気がします。
おもしろいね〜〜〜?いや、本当おもしろい。
人間の感情と音楽は繋がってるんですね。(何言ってるんだ?)
Cメロジェミンのパートの重要性
先程重要と言った部分。
Cメロジェミンパートの
⑥ E F#7 A/#C Am/C
のコードです。
特に A/#C Am/C の流れです。
(メロディーが少し今までと違うのもあるが、)重要な理由というのは、
❶ 曲の中で唯一マイナーコードのAmが出てきている
❷ 転回形で出現し、ベース音がかなり低い(ほぼ聴き取れないくらいの音)
というものです。
あと、重要まではいかないけども、
| E F#7 A/#C Am/C | E 〜
の太字部分の和音内で、C#→C→B と今までと違う半音進行が出てきているのも、ミソです。
はいみなさん、ここで唐突なクエスチョン!
突然の不思議コードが出てくる時、こういう場合は何が起こってますか〜?
はい、そうです。歌詞とリンクしていますよね〜?
いりちるLove Song☔で出てきましたね〜?
なのでこちらも歌詞を見ていきます。🥳
上の和訳の英語・日本語部分のみ引用
太字部分がCメロジェミンパートです。
国語力がある方ならもうわかりましたね。
1番2番はどこかもわからない深い海の底をさ迷っている「僕」が不安な様子で、「君」の正体もあまりはっきりとしないです。モヤが入ったようなイメージ。
でもCメロでは「君」がはっきりわかるようになり、「君」は「僕」に息をさせた。
という今までわからなかった、生きるための方法がわかり、変化が起こっています。
この変化ポイントで、今まで出てこなかったマイナーコードを出している、というカラクリでした。
息をさせた、というのがエモいです。海の中なのに。
そしてここで、
A/#C Am/C で、ベースが低い C# と C となっています。
かなり聴き取りづらいと思いますが、これまでのベース音で最低音であり、深い海の底の感じが表現された後の、
「君・君・君!!!」「I will dive・I will dive・I will dive into you!!!」
3連チャンのこの高まり、
最低から最高へぶっ飛んでいます。
ぶち上がるしかありません。
そりゃあどりいむちゃんも両手広げてはしゃいじゃうね。
(写真伝わりそ?)
さいごに
あんまり量無いと思ってましたが、まあまあ充実しました。パチパチ。👏🏻
また、良さそうな曲出たらnote書きますね。
リパケ楽しみです。
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