根管透明標本の作り方 #3
根管透明標本というものをご存知でしょうか?
こんなやつです。
備忘録として、恩師・片山恒夫から教わった根管透明標本の作り方を記録しておきます。
作ってみたいという方は、是非チャレンジを!
不明点は、連絡して下さい。
1;先ずは抜去歯を数本用意。
2:抜去歯の清掃、洗浄
表面の歯石や汚れをスケーラーなどで除去。
次いで超音波洗浄。キッチンハイターを入れた容器に歯を入れ、10分〜15分超音波洗浄。
3:歯を20〜25%の硝酸 or 塩酸に72時間漬ける。
100ccあたり5〜6本程度が目安。
同時に処理する歯の本数により適宜増減。
4;流水下で1時間ほど洗浄。
5;歯を無水エタノールに投入。
最低4〜5時間浸漬、一晩放置でもOK。
6;歯をサリチル酸メチルに投入。
2〜3日漬けて於けば歯は透明になります。
密閉容器に入れないと、部屋中に湿布の匂いが充満します。
7;この時点で、歯はフニャフニャ、プヨプヨ、軟らかくなっているので、注意深く手指でホールド。
歯頚部から歯髄腔に向かって、ラウンドバーで穴を開けて、2〜3日自然乾燥。
8;開けた穴からシリンジ&ニードルで墨汁かスタンプインクを注入。
根尖から墨汁が出ることを確認。
この際、根尖周囲が真っ黒になります。
注1)ニードル径とラウンドバーのサイズを合わせ、墨汁をシッカリ圧を掛けて注入できるようにすること。
注2)強圧を掛け過ぎると全身墨汁まみれになります。
9;2〜3日かけてよく乾燥させ、歯の外側についている墨汁orインクを、エンジン&ラウンドバーなどで丁寧に取り除く。
10;再びサリチル酸メチルに投入すると、透明になり根管が黒く染色された根管透明標本が完成。
11;保存は、サリチル酸エチルで!
「メチルで透明、エチルで保存」と片山恒夫が言っていました。
透明ガラス容器にサリチル酸エチルを入れ、完成した透明標本を投入して保存。
患者さんが見易いように小型フラスコにワイヤーで標本を吊るしておくとベターです。
レンズ効果もあって見易くなります。ただし、密閉を確実に。
参考までに
「患者供覧用根管透明標本丿一調整法」小野寅之助著
臨床歯科・第1巻第5号・昭和4年8月10日発行
PDF付けておきます。まともに読めませんが・・・。