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日記の場合には 6

どうも。今回は五日目の更新なので、ちょっと常体で書いてみようと思っています。夏冬春秋(かとうはるあき)です。この書き出しは除く。

皆さんは「一目惚れ」なる現象を体験したことがあるだろうか。人間意外と経験しないでおなじみのアレである。

知らない人がいるかを知らないが、説明はしておくとしよう。

一目惚れとは、性格だとか声だとかそういう一切合切をとっぱらって外見、多くは顔面で人を好きになるという訳の分からんシステムのことだ。なんなんだこの機構。


今朝の事だった。とある自転車が悠々と通学する私のすぐ横をなお悠々と通り過ぎて行った。女性だった。薄めの上着を着たパンツスーツ姿の女性。ちなみに眼前には鼻水を垂らした半袖半パンの男子小学生がウロウロしていた。

何を隠そうその人物こそ私が人生初の一目惚れをした相手である。もちろん男子小学生の方ではない。久しぶりの胸が高鳴るような感覚にちょっと酔いそうだった。

「久しぶりに」。そう久しぶり。久しぶりと言うとたいてい一元的な意味であるけれどそこには射程があって、インフルエンザ明けで学校行ったときの「久しぶり」から小学校の同窓会での「久しぶり」まであるわけだが、今回は数ヶ月ぶりという方のやつだ。正確に何ヶ月ぶりとかはキモイので覚えていない。ちなみに四ヶ月ぶりである。

あのころは高校生だったが、大学生の姿でまたその姿を確認できるとは思いもしていなかった。なんか普通に嬉しい。そして図らずしも私は大学一回生であることが露見してしまった。語るに落ちるを日記でするとは思っていなかった。いや、まあ、べつに隠してへんねんけど。

その人はいつも同じ時間に現れ通り過ぎる、かと思えば、最寄り駅が同じ、てか車両が同じ。高校生時分には降りる駅も一緒というなんか私がストーカーでもしてるんじゃないかみたいな一致率を誇っていた。いや、これ本当に偶然だから。後とかつけてないから。

で、久々に見かけた印象としては、何も変わらなかった。というか変わってなかった。なんとなく嬉しいようでもあり、悲しいようでもあって、なんと言うか、変わっていたのはむしろ私の方だった。

このへんに関しては言語化がめんどくさいので省くけど、つまり「好き」から「好きだった」に変わっていた。

いや、それ自体はもう少し早い段階でそうなっていたのかもしれない。

忘れもしない高校三年生の12月のことだ。

あの日、私はいつもより少し早めに家を出た。前述の通り、同じ時間に現れるので当時の私は「今日は会えないのか」とかなんかもう付き合ってるみたいなマインドで落ち込んでいた。ストーカー野郎でないにしてもこれはこれでキモイな。

右側から何かが近づいてくるのが分かった。今からムーディ勝山のネタをする訳では無いので安心して欲しい。顔を右に軽く向けると、彼女が自転車に乗ってこちらに向かってきていた。当時の私からすりゃあもう「え?送り迎え?なに?結婚する??」と思っていた。誰かあの時の私に一撃入れて欲しい。なんとなくの違和感を感じたものの、まぁ、どうせ通りすぎるだろうし、ちょっと待って存在を近くに感じようという気持ち悪すぎる思考に私は至った。今思うとこれが間違いだった。

通り過ぎようとしたその刹那、私の両の眼が捉えたのは、自転車の後部に据え付けられた座席に座る、2歳か3歳の子供だった。


かくして私の儚い恋愛は、既に幕を閉じていた。思い出すのって、意外ときついものですね。

旦那大切にしろな!


では。

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