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人口666人の過疎地域に、新しい「村」が生まれる―鹿児島県「obama village」

人口666人の小さなまち。ここに新たな「村」が生まれようとしています。

舞台は鹿児島県霧島市にある小浜。美しい海に面したこの大字(おおあざ)には、382世帯666人が暮らしています。人口は年々減り、村人の約半数が65歳以上の高齢者という、典型的な地方の高齢化・過疎エリアです。

あえて、この場所に新しい村をつくる。

仕掛け人は霧島市を中心に、かごしま材を使用した注文住宅を手掛ける工務店「株式会社住まいず」さん。今年の6月には本社を小浜に移し、本気でこの場所のまちづくり、ならぬ村づくりに取り組んでいらっしゃいます。

本日のnoteでは、完成を間近に控えた新しい村「obama village」をご紹介します。


「村の営み」にこれからの日本の生き方のヒントを探す

「obama village」のコンセプトは、

FUTURE VILLAGE=新しい村

村とは、日本における最小の地方自治団体。今でこそ日本中が市や区などの広い範囲で整備されていますが、もともとは村単位で暮らしていました。

都市部への一極集中や成長前提の資本主義経済の限界が見え隠れする今、これからの日本での生き方のヒントは、ずっと昔から育まれてきた「村の営み」にあるのではないか。

そんな想いからはじまったプロジェクトです。

自分たちの暮らしは自分たちのサイズで作る。―

家を建てる人もいれば、美味しいパンを焼く人もいる。働く人も、海辺で遊ぶ人も、寝るだけの人もいる。それぞれが、働いたり、遊んだり、美味しいものを食べたり、日々の営みをつむぎながら、本当の意味での豊かさを手に入れることを目指しています。

雄大な自然に抱かれる唯一無二の景色

先日僕も現地を視察させていただきました。よく「田舎には何もない」と勘違いをしている人がいますが、田舎には最強のコンテンツ「自然」があります。

特に小浜は、眼前には海底まで見えるほど透き通った美しい海が広がり、顔を上げれば正面に桜島の雄大な姿を望むことができます。そんな大自然を堪能できるのは、日本中探してもここにしかありません。

画像引用:鹿児島県観光サイトかごしまの旅 「小浜海水浴場 」

森は、暮らしの豊かさを。
海は、外へと開くマインドを。
光は、人が集う場所を。
何もないと思っていた小浜には
その全てがありました。

「obama village」ティザーサイトより

過去のまちづくりの成功例が証明している通り、そこでしか体験できなもの、そこでしか見られないものがあるまちには、田舎であっても人はやってきます。

7つの事業所と7つのショップとシェアスペースからスタート

「obama village」は、僕が度々noteの中でも触れているスローディベロップメントに則り、段階的に開発が進められています。

第1期の開発テーマは【働く】と【住む】。移転したばかりの住まいずの本社棟を含め、7つの事業所と7つのショップ、さらにシェアスペースから成ります。

テナントには地元で人気のお店が入居予定。さらにBBQスペースなど様々なアクティビティが用意されています。

画像引用:「株式会社 住まいず」Instagram

「obama village」のオープンは2023年の秋ごろの予定。先日視察に伺ったときにも、工事が行われている真っ最中でした。

第1期が落ち着いたら、さらに第2期として【住む】エリアの開発も計画されています。その後も空き家のリノベーションやシェア農場、店舗付き住宅など構想が広がっています。

本業以外の収益意識を強化する

この「obama village」の構想は、昨年の秋に株式会社SUMUSで開催した「ローカルディベロッパーキャンプ」の中でも発表いただいたものです。このキャンプはまちづくりにコミットしている6社の地域工務店さんと一緒に、2泊3日で事業計画を練り上げる研修です。

▼ブートキャンプの様子はこちらから

ここで「obama village」に対して指摘されていたポイントは大きく2つです。

① 早く土地を買えるように動く

将来的な購入予定地は耕作地帯で、今はほぼ放棄されているような状態。今なら安く買えるのです。今後「obama village」の認知度が上がり、人気が出てくると土地の値段が上がってしまうので、その前に取得しておくことが重要です。

安いうちに仕込んでおけば、地価が上がった後にに土地でも利益を得ることができます。PLではなくBS発想。住宅販売だけではない稼ぎ方が、これからの住宅工務店の課題です。

② 本業以外の収益意識を強化する

「obama village」に限らず、工務店が手掛けるまちづくりの最大の落とし穴。それが本業(=建築)以外に対する収益意識が低く、試算が甘いということ。

ものづくりが得意な方ばかりだからこそ、つい家や建物といったハードにばかり力が入りがちです。しかし人気のまちはハードだけでは成り立ちません。

・人を集められるテナントを入れられるか
・エリアを管理する人を育てられるか
・誰が、どのようにお金を使ってくれるのか

本業以外の収益意識を強化することで、それが結果的に村のコンテンツ強化につながるとフィードバックがありました。

一緒に、「obama village」を視察に行きませんか?

実はこの「obama village」は、11月に開催される第2回「ローカルディベロッパーキャンプ」の会場となります。

現在進行形で住宅工務店が手掛けるまちづくり。

・なぜ、小浜に新しい村をつくろうと思ったのか
・住宅需要が落ち込む中で、売上集中投資をどのようにやってきたのか
・この「村」事業での収益化はどうやっていくつもりなのか
・村づくりと新築事業との連携方法はどのように考えているのか
・昨年のキャンプでのフィードバックを踏まえて事業計画にどのような改善を加えたのか

など、当事者だからこそ語れるリアルな話も、有村社長の口から直接伺いたいと思います。

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今後も、僕のnoteでは、住宅工務店が手掛けるまちづくり、エリア再生事例をご紹介して参ります!

既存の新築・リフォーム事業の枠内に留まらない発想で、これからの工務店のあり方を一緒に考えていきましょう!

株式会社SUMUS 代表取締役
小林 大輔

「obama village」ティザーサイト


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小林 大輔/スムーズ代表 / Replan代表
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