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住宅業界に明るい兆し?注文と分譲で明暗が分かれる理由と今後の展望[2025年1月アナリストレポート]
2024年の年末には、注文住宅の着工戸数が久しぶりに前年同月比を上回り、コロナ禍以降落ち込んでいた業界に回復の兆しが見え始めました。
一方、分譲住宅は販売価格の上昇が止まらず、需要と供給の乖離が拡大し、ビジネスモデルの限界が近づいています。
本レポートでは、最新の市場データをもとに住宅市場の大局観を把握しつつ、主要企業の受注速報や地域別のマーケティング解析など、具体的な指標を織り交ぜて、「業界の今」をわかりやすく解説します。
2021年以来、ようやく前年同月を上回った注文住宅
コロナ禍以降、注文住宅は2021年以降、前年同月比割れが続いていましたが、2024年10月にようやく前年同月を上回り、業界に嬉しいニュースが流れました。
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この回復要因のひとつとして、円安を背景に好調な輸出企業の決算賞与が挙げられます。ボーナスが増えたことで住宅購入を決断しやすくなり、富裕層を中心に「今こそ家を建てよう」という動きが出てきたと考えられます。
大手注文住宅企業の受注速報を振り返ると、5~6月の受注が前年を上回っていました。そこで受注したものが、10~11月の着工として反映されたと考えるのが自然です。
また、4~5月に遅れていた着工分をまとめて挽回したことも、数字を押し上げたと見られています。
ただし、大手が土地分譲を活用して安定的に顧客を呼び込むのに対し、中堅クラスの企業は営業力頼みで疲弊が目立つのも現状です。
どれだけ集客力のある土地を確保できるかが、これからの契約数を左右すると言えそうです。
注文住宅の受注速報から各社の動きを読み解く
日刊木材新聞が公表している注文住宅企業の受注速報は、各社の勢いを把握するうえで非常に興味深いデータです。
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見方が少し分かりづらいためか、あまり注目されていないものの、よく見ると各社の状況が明確に反映されていることが読み解けます。私自身もこの数値を定期的にチェックし、企業ごとの動向を把握するようにしています。
各欄の値は、前年同月比のパーセンテージで記載されています。
100を超えると、前年同月を上回っているということです。
■住友林業
2024年はほとんどの月度で前年同月を上回り、7か月連続でプラスという好調ぶりが目立ちます。少し前までは業績が振るわなかった印象がありましたが、ここへきて明らかに復活の兆しがうかがえます。
■ヤマダホームズ
4月から8月までの数値がとくに好調で、「なぜこれほどまでに伸びているのか?」と注視していました。直近ではやや失速していますが、その要因については現時点で明確な情報がありません。
■タマホームズ
上期の決算が悪かったため、多くの人が動向を心配していた企業です。8~9月にかけてなんとか巻き返しを見せましたが、その後は再び前年同月比を下回る月が続いており、依然として苦戦している様子です。
このように、受注速報の数値を観察すると、同じ注文住宅市場でも企業ごとに大きな差があることが分かります。
需要と供給の乖離が大きくなり、「ワニの口」が開いている分譲市場
分譲住宅の着工数は25か月連続で前年同月を下回っており、厳しい状況が続いています。建築資材の高騰や都市圏の地価上昇で販売価格が上がる一方、低所得層の需要は低迷し、需要と供給のギャップが限界を超えています。
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