Coupe du Japon MTB 2021 シーズン開幕です 01 MTB Rules
2021/4/10-11 Coupe du Japon MTB XCO CJ-1 菖蒲谷 が開幕
で、ブログから居を移して書き書き始めます。
まずは、ブログにも散在させている基礎情報のまとめからいきますね。UCIのMTBの主にXCOのルール、それからCoupe du Japon MTBのルールを書き連ねていこうと思います。
原本はUCIのサイトのトップページの一番下のRULES & REGULATIONから中に入るといつでも誰でも見られます。これは英語なので、日本語で読みたい人はJCF/MOUNTAIN BIKE/競技規則一覧にあります。UCIはカテ分けせずにだーーっと並べられているのに対して、JCFはその競技に必要なルールでまとめられているし、英語日本語併記なので微妙な表現に対する誤解もなく、手っ取り早くマウンテンバイクの競技規則だけ知りたい人はこっちの方が楽かなと思います。
規則書は開くのもダメなんだ っていう人も居ると思うので、観客レベル(ちょっとフィード手伝ってよって言われたのを含む)で知っておいた方が良いルールをかいつまんでみます。(前回ブログ記事に対して順番など整理してます)
①速い人が優先!!
②出たところから戻るのが基本!!
③逆走はNG!!
④ロード、シクロと違ってバイク交換は出来ない!!
⑤修理できるのは本人とチームメイト、チームメカと共通技術支援者!!
⑥バルーン上のアーチは禁止!!
⑦スタート3分前からMCは喋っちゃ駄目!!
⑧fifteen secondsの後はいつ鳴らしても良い!!
⑨フィードゾーン以外でフィードしちゃ駄目!!
⑩フィードする人はちゃんと見分けられるように!!
⑪フィードする人は併走しちゃいかん!!
⑫フィードする人は水を掛けちゃいかん!!
⑬レースと試走の時間は観客はコースに入っちゃならん!!
まずはじめに、自転車競技の規則のベースにあるのは、公平、公正。違反した者をつるし上げるものでは無いということ。競技の結果に影響したり、スポーツマンシップに関わる不正に対しては容赦はないけれど、競技全体の進行に影響の無いものについては運営の裁量に任されています。サッカーの審判と同じで判定を下すのはあくまでも競技を運営する審判のお仕事です。観客はその判定を含めた競技を見ているという認識に立ちましょう。
①速い人が優先!! 4.1.034
先を争う競技において共通の認識であると思うけれど、相手の進路を故意に妨害する行為は認めていません。DHのような個人タイムトライアル競技においては後ろの人に追いつかれたら抜かさせる、という意味で競技者も観客も分かりやすいのだけど、XCOにおいては共通認識がないと双方に誤解が起こる結果にもなるのです。
〇絶妙なライン取りで相手の得意区間で踏ん張る。
〇降車したが、避ける場所がない。
△避けられるけど降車のまま乗車の人を従えて走る。
とにかく故意に見えないこと。ワールドカップの映像を見ているとミスして降車すると後続から怒号が飛んでいるときがあるし、それやりすぎじゃないってくらい後続の邪魔をするケースもあるが結果としてその選手にはダークなイメージがついてしまう。映像が全部見てるってこと。うまく演じることが大切ですね。あ、CJは誰も見てないからって故意はダメだよ。(笑)
×自分を周回遅れにする人、別クラスの速い人を押さえ込む。
前者は即断できるだろうけど、後者は判断に迷う人が多いと思います。だいたいにおいて同クラスの人と混ざっているし、周回遅れは競技離脱と同義に近いけど、別クラスの人に抜かれてもその後も自分の競技は続いているということになります。自分が速い側の立場になった時にどう動いて欲しいかを考えて、判断に迷うなら自分の勝負は一旦棚上げにして完全にラインを外して止まって前にいかせるくらいの気持ちで走るということなのだと思います。
野良カメラマンは同一視界後方に速い人が見えたら「〇○のトップ来てるよ」と声をかけるようにしています。幸平選手は見えてから追いつくまでがあっという間なので助けになっていないと思いますが(笑)
×難易度高区間でエスケープがあるのに降車前提で本線を走る。
これは見解が分かれる問題。ルール上は「速い人が優先だよ」と書かれているだけ。中には降車しても乗車している人と同じスピードでクリア出来るという人も居るかも。でも、乗車のままいけるとはいえ難易度の高い区間を自分と違うリズムで前を走られる恐怖は想像に難くないと考えると控えたいですよね。
難易度高区間でエスケープに行かず降車でクリアするケースの是非を明文化しない限りグレーな状態が続くだろうと思います。ただ、シクロクロスが降車も前提の競技であるのに対して、XCOは「コースは全て乗車通過が可能であること(4.2.017)」の競技。エスケープより降車の方が自分の区間タイムが良いからという理由で後続の妨害をしても良いという文化ではないはず、というのが私の気持ちの根底にあります。
コース設定者は降車でいくよりはエスケープを走った方が有利か同等という区間タイムセッティングが望まれるし、競技者もエスケープが設定されているのであれば、降車で本線を走る行為は慎むべきだと思われる。テクニックを引きあげて怪我無く本線乗車でいけるようにしましょう。
②出たところから戻るのが基本!! 4.1.035
ライダーはコース外に出たら同じところから戻りなさいというルールがあります。これ、わざわざ失格に出来ると書いてある条項です。迷うならちゃんとコースを逸脱した地点に戻りましょう。
失格判断は審判の行う事。審判が直接見ていない行為に対して、もしくはマーシャルからの指摘が無い行為に対して即失格までの裁定はでないであろうという事も事実。ただ、最近は映像が残るケースも多いので、表彰台や年間ランキングに関わる人達は、失うものの大きさを考えて行動をとるべきですね。
コース脇で見ていると、たまにどわーーっとコースを外れてそのまま行ってしまうときがあります。一里野のトップからの下りとか、スピードの出るゲレンデ下りでよく見掛けます。ま、ほとんどの場合は立て直すのに大きくタイムロスをしているので、公正かという観点で言って問題ないのですが、たま〜に、ショートカットで有利になってない?というシーンにぶち当たります。観客の立場でこういうハプニングに出会わないことを祈りましょう。ちなみに私はこう言うことは貝になります(笑)
③逆走はNG!! 4.2.044
フィードゾーンの利用についての話しです。ゾーンを一歩でも通り過ぎていたら、次のフィードゾーンまで順走で行かなくてはならないということ。競技を安全に公正に遂行するルールであって運用は現場審判に任されているので、これも審判が安全と公正をどう判断するかであり観客が判断することではないことは覚えておきましょう。選手も心配であれば審判に確認してから作業に取りかかりましょう。
一つ。これはコースを逆走するなというルールではないということ。逆走してフィードに行ってはならないということ。フィード以外のコース上でそのまま順走出来ない場合は、「順走者を邪魔することなく」戻ることを考えましょう。何が公平、公正かを考えて。
④ロード、シクロと違ってバイク交換は出来ない!! 4.2.046
シクロがバイク交換を戦略に含む競技であるため、似たようにオフロードで戦うXCも同じように交換できるのではと思っている人が居ます。ときどき観客の中からそんな発言が聞こえてくる、が、できないです。フレーム以外は全部取っ替えて良いけど、フレームとゼッケンは変えちゃいけないのがルール。
以前、ブレーキが壊れた人がいて、普通ならブレーキなどを予備パーツとして持ってきている人は居ないのが普通だけど、完成車をフィードゾーンに持ってきていて、ブレーキパーツを完成車からそっくり移植していたというケースはあります。
フレームが割れたらレース終了と同義です。押して走る以外の選択は考えない様にしましょう。
⑤チームメカ修理できるのはフィードゾーンで選手本人とチームメイト、チームメカと共通技術支援者!! 4.2.047 4.2.048
簡単なルールに見えるけど、補給パーツは本人のもので無ければならないかどうかとか、共通技術支援者ってそもそも誰だよとか、とってもグレーでいろいろ解釈できそうなルールでした。これが原因でその年の全日本勝者が二人居るという事態にもなった曰く付きのルールだったりします。
競技規則の解釈について【補足】(JCFのマウンテンバイクルールの下の方にあります)を読めば、文字通りの理解でたぶん問題ないです。心配ならできるだけ審判から見える所で何をして良いか確認しながら修理するのがお勧めですね。
また、コース上ではチームメイトが手伝うことは可能になっています。(4.2.049) 周回遅れになった選手がフィードゾーンで安全に携帯可能な修理道具を携えてチームメイトの救護に向かうことは可能だと解釈出来るんのですよね。このルールをしっかり運用するにはチーム登録がマスト。
また、カメラマンは審判の裁量を邪魔しないようにあまり修理の現場を撮らない、公開しないことがマナー。
⑥バルーン上のアーチは禁止!! 4.1.040
①〜⑤までは主に競技者が主体者になるルールだったけどこれは施設に対するルール。
ロードなどではよく見かけるコースをまたぐバルーン上のアーチ。設置撤去が楽で重宝されるのだけど、MTBでは明確に禁止されています。たぶん実際に何回か空気が抜けて競技の進行を邪魔したんだろうと思われます。ロードなんかだとレース中に救護措置とか取れるルールだからまだ良いけど、XCOでは競技の妨げになった瞬間に公正さが失われます。豆知識。
⑦スタート3分前からMCは喋っちゃ駄目!! 4.1.032
これは進行上の決まり。スタート3分前からはマイクはスタートコミッセールのものになります。あ、競技ではスタートだけを管轄するスタートコミッセールという審判がいます。レースを公正に運営するためにスタートは重要なプロセス。実は召集からなにから厳密に進行は定められています。言葉も環境も様々な中で、円滑に公正なスタートを切るのは実は大変なことだったりします。競技者も時間ギリギリを狙うこと無く運営に協力しましょう(笑)
ま、厳格に守らなければならないものではなく、円滑に進められれば良いのでCJでは2分前から引き渡すケースが多いかな。ま、海外ではいろんなものをすっ飛ばしたりしてしまうようですがww 臨機応変にいきましょう。
⑧fifteen secondsの後はいつ鳴らしても良い!! 4.1.031
スタートシーンのルール。
ルールは、4.1.031 ... The start is given by the start commissaire using the following the procedure: warnings 3, 2, 1 minutes and 30 seconds before the start, then a final announcement that the start is given within the next 15 seconds.
4.1.031 ... JCF訳 下記の手順によりスタートする: スタートの 3,2,1 分前および 30 秒前に予告し,その後 15 秒以降に,スタート・コミセールによりスタートの合図が行われる
4.1.031 ... Google訳 スタートは、スタートコミッショナーが次の手順で行います。スタートの3、2、1分、30秒前に警告を発し、その後15秒以内にスタートを知らせる最終アナウンスを行います。
英語が難しいね。googleの訳では理解は無理(笑)
私的訳。「スタート前の最後のアナウンスはスタートの15秒以内に与えられる」からまとめ直して、スタート前15秒のところで「15秒前!!」とアナウンスして、それ以降は15秒以内のいつスタートのパンをして良い。と解釈しています。(笑) 英語の得意な人の解釈修正希望です。
「15秒前!!」できっちり15秒後「パン!!」でも良いし、「15秒前!!パン!!」でも良いということですね。2018八幡浜は全レース「15秒前!!パン!!」でした。(笑)「あのスタートコミッセール15秒を数えられないんかい!!」とコース脇でのたまうことのないように(八幡浜では同様のつぶやきが多く聞かれましたww) しましょうね。
⑨フィードゾーン以外でフィードしちゃ駄目!! 4.2.035
で、次は選手の仲間、フィードする人に対するルール。フィードの人ってそのレースで初めてお手伝いする人も多く、レースを見ることも初めてという人も少なくない。なので、お手伝いする機会を与えられたらルールは一読すべきだと思います。ココでは、即失格に繋がるやりがちなことを取り上げます。
水分食料の供給や、バイクへの技術支援はフィードゾーン以外では行えない。身体的接触もフィードエリア以外ではダメ(4.2.041) フィード要員でそれなのだから観客は絶対しちゃダメ。
コース脇でぶっ倒れている人を見ると「水飲みます?」とボトルを差し出したり、「動けますか?」と手を貸すとかやっちゃいそうでしょ。ダメです。もちろん競技をやめてリタイアを決意している場合は別なので、観客側からライダーに何かしてあげようと思ったときは、ライダーに意志の有無をしっかり確認しましょう。基本は安全確認や怪我の有無などの声を掛けることだけ。
ま、のぞき込んで修理作業を助言するくらいは白に近いグレーでしょうね。
もちろん意識がなかったら生命優先を考えて、すぐに無線を持っているマーシャルを現地に呼んだり、通過する選手に伝言をお願いするなどそれなりに対処しましょう。
⑩フィードする人はちゃんと見分けられるように!! 4.2.038
フィードする人も同じデザインのジャージを身に着けようねというのがルールです。観客目線で見ても、フィードのヒトも同じジャージを着ている方が見た目的によろしい。順位を競う競技ではあるけれど、競技自体を観客に向けて競技側みんなで演出するという意識も(少なくともエリートは)持ちたいね。
もちろん、審判目線で言えば公正に競技を行うために協力をお願いしたい項目ですよね。基本的にフィードゾーンでバイクに手を付けて良いのはライダー本人とチームのメカに限られているから審判がそれを即時に見分けられる方が誤審になりにくいよね。過去にもめた経緯もあるので全日本で表彰台を狙うところの人は気をつけましょう。
⑪フィードする人は併走しちゃいかん!! 4.2.041
これ、チャレンジの時やユースの時のフィードではよくやっちゃっている人を見かけます。お父さんお母さん系(笑)。フィードする側が素人の場合が多いからですね。
何故駄目かって、安全と公正と両方ダメダメだから。選手と併走して渡したら、その前方(フィードしている人にとっては後方)で構えている人と交錯するのは自明。ぶつかったら危険。そして、同時に他のチームの補給の邪魔をしている事になります。ホント、渡したい人に注目しているので後方に立っている人は全く見えない状態で走り出してしまうので超危険。
併走はNGです。
同じ項目に補給は手渡しで(投げて渡しちゃいかん、何かにぶら下げて渡しちゃいかん)というのもある。ま、これはまだ違反現場を見たことないけど。飲み用ボトルと掛け用ボトルとゼリーとを選手側で選択出来るように考えて、ぶら下げ案を試してしまう人は出てきそうですよね。
⑫フィードする人は水を掛けちゃいかん!! 4.2.042
併走と同様にこれもやりがち。これは観客もやってしまいそうだよね。ダメです。人に対しても、バイクに対しても、どちらに対しても掛けちゃダメです。
暑い日にヘロヘロになっているライダーに直接掛けてあげたくなったり、ドロドロの日にトラブルでまくりのメカに水を掛けてあげたくなったりします。ダメダメ。失格案件です。ライダー、バイクのメカに水を掛けたい場合は、ボトルをライダーに渡し、ライダーが自身やメカに水を掛けるのがルール。
毎年炎天下開催となっている白馬ユースのフィードゾーンは、撮ると何枚かは必ずボツになるのです。ま、初めての親御さん多いからー(笑)
⑬レースと試走の時間は観客はコースに入っちゃならん!! 4.1.022
観客に対する項目は、フィードに関するルールを拡大的に捉えて禁止するモノ以外はこれだけですね。それを聞いて、えーーーっという人も多いでしょう。だって、いつも横切ってる!!
コースを横切るのはホントはダメ。ルール上はNGなのだ。実際、格式が上がれば上がるほど厳格に運用されます。ワールドカップの映像を見て横切る姿はあまり見掛けないですよね。ないとは言わない。
CSCで全日本が開催された初年度のときは、めちゃくちゃ厳しかった記憶があります。実施義務は開催側にあるので、厳格に守ろうとするとどうしても「入らないで」「入るな!!」と命令口調になりがちなんですよね。
で、勘違いしちゃいかんのは、ルールというのは競技が安全にかつ公正に遂行されるためにあるのだということ。安全に公正に行われるのであれば、観客の無秩序な横断も"多少は"大目に見る、というのが現状だと思うことにしましょう。
だって、五輪プレイベントではCJで傍若無人に歩き回る人達もコースを無断で横切ろうとしなかった。その場の空気感にみんな従うということなのだと思います。
ただ、無秩序も秩序が必要で、観客の人達もその横断が安全と公正に反していないかを充分に考慮して横断する必要があります。
・主催者側が特に指示する所では絶対にコースに入らない。
・ライダーの視界内でコース上に観客がいることもライダーの集中力の妨げになると考え、「選手とぶつからないから」ではなく「選手から見えないから」を横断の基準にする。
いずれにせよ。安全に。公正に。です。
以上、13項目を挙げさせてもらいました。
サッカーや野球と違ってプレイエリアと観客エリアがテープで仕切られる空間での競技。選手の走りを風で感じられ、手で触れられる距離を必死な形相で駆け上がるのを見られる競技。自分もルールの中に居るという感覚を持って観戦しましょうね。