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こうして人は前に進んで行くんだなと思った
大好きだった、そして今も大好きな元タカラジェンヌさんが宝塚歌劇団を退団してから半年経ったんだ、と今日唐突に気付いた話。
今日は朝から家族の送迎のために車を出す必要があって、みんみんとうるさい駐車場でエンジンをかけると愛車(中古で買った軽自動車)のオーディオはiPhoneのアプリと連動して自動で直前に聴いていたアルバムを再生してくれたのだった。
彼女の退団は冬の始まりから真冬にかけての公演だったのもあり、クリスマスとお正月に関する曲がほとんどで、今朝も陽気なサンタさんが「ジングルベール!ジングルベール!」と歌ってくれていた。朝とはいえ炎天下にノーガードで置かれていた車の中は高温で、クーラーの風量をMAXにしてゴーゴー鳴らしながら聴くクリスマスソングもまた乙だなーなどと深く考えずに運転する私と、こういう車内環境にある意味慣れ切っていると思われる後部座席の家族。
「盆とクリスマスと正月が一気に来たみたいだね」というセリフが喉元まで出かかったけれど、グッと飲み込んで淡々と送迎の送りミッション部分は完了した。
その朝の帰り道、ひとりでヘアピンカーブみたいな山道を運転しながら公演の曲を口ずさんでいる時に唐突に気付いた。クリスマスソングを聴いても歌ってもそんなに心がザワザワしていない、どころか、結構楽しんでいる自分がいる。
退団公演直後には、悲しくて寂しくてしばらくクリスマスソングもお正月ソングも聴ける気がしない、と思っていたのに、季節がひとめぐりするどころかまだ季節半周でこんなに気持ちが変化するものなんだ、と気付いてちょっと驚いたし、笑った。と同時に、うれしかった。
少し前(少なくともこのライブ音源が発売された先月まで)は、まだこんな風に楽しんで聴けてはいなかったはず。いったいこの数週間のうちに私に何が起きたのか、アマゾンの奥地に行くまでもなく自分ですぐにわかってしまった。
「次の観劇予定が明確になったから」
絶対これだ!!!!!
単純なんですハイハイハイハイ!!!!!
正直もっと繊細な心の変化を描けたらよかった。でも、絶対これ。彼女が次に出演する舞台で自分が座れる席がお盆前にわかって、公演日によってほぼ最後列の端っこの席もあれば見やすそうな席もあって色々だったけれど、でも一気に次の観劇機会への現実味が湧いてきた、楽しみが近付いてるって実感できた、だから私はクリスマスとお正月を過ぎ去った楽しい思い出に変えられたんだと思う。
未来の楽しい予定があるというのは本当にすばらしいことだし、生きていくためには新しいことを始める変化も大切なんだよねッと思わず心の中のカヲルくんに話しかけたくなるけど、ヱヴァQみたいなことになると嫌なのでやめておく。
この「凪」のような気持ちがいつまで続くのかは自分でもわからない。
「2月から半年経つと8月になる」なんて当たり前すぎて今まで考えたこともなかったから、季節が冬の終わりから夏の終わりになってもうそんなに経ったのかと思う気持ちと、まだそれだけしか経っていないのかと思う気持ちが混在しているのが正直なところ。
でも、また次の機会があるというのは、ありきたりだけれど本当に幸せなことだと心からありがたく思う。これは当たり前のことじゃない。いただいたチャンスは余すところなく堪能して、日々の糧にする。
私のような人は、前に進むぞという気合いや自覚を持って前進する、というよりは、なんの自覚もなく、ある時ふと振り返ってみたらなんか前より進んでいることに気付く、というものなのかもしれない。我ながら、こうして進んでるんだか後退してるんだかわからないままじわじわと進んで行くんだなぁと思った。