乗鞍小説プロジェクト┃インタビュー
みなさん、こんにちは。chieです。
2023年も既に立春、あっという間の1ヶ月でした。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?ウインターシーズン真っ只中の乗鞍からお届けします。
高校生2人が発起人となった、乗鞍を舞台にした小説プロジェクト
ゆきくろ:高校1年生。乗鞍小説プロジェクトの発起人・編集長。
六月堂:高校1年生。乗鞍小説プロジェクトの編集とデザイン。
発起人のお2人は、現役高校生。乗鞍とすもも荘とのご縁をきっかけに、それまでの制作活動から新しいヒントを得て今回のプロジェクトを思いついたそうです。
私には思いつかなかった新鮮なアイデアが浮かんだこと、着々と形作られていく様子が、少しすもも荘の成長過程にも似ているような感じがして、お話しを聞いていて、私もワクワクしました。
2022年の年末に、オンラインでお2人からお話しを伺いました。noteへの投稿までに1月半のブランクが空いてしまい、フレッシュにお届けできなかったのが残念(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)。
こちらが、六月堂のオフィシャルページに投稿された概要です。
「本の虫」な私はこの投稿を見た時から、読者の一人として心待ちにしています!それと同時に「なんで?なんで?」と気になっていたことを聞きました。ストレートにズバっとお2人に聞いてみたところ、丁寧に、わかりやすく(さすがは作家さん!)教えてくれたので、それを記事にまとめてみました。(敬称略)
きっかけは『作品のみせ合いっこ』
ゆきくろ:2022年の夏にリニューアルしたあとのすもも荘に泊まった時、私と六月堂店主の2名でそれぞれの作品をみせ合いっこしたときに感じた好奇心から、プロジェクトを思いつきました。普段はそれぞれ個人で制作することが多いから、他の人とコラボしてみたら楽しいんじゃないかなって。
六月堂店主:2022年の夏に「みんなで」書こう、と思い立ちました。「みんな」というのは、すもも荘や乗鞍に関わっている人たちのこと。住む前からチームで創り上げているような気配を感じていたので、ピンときたんです。私は乗鞍の四季が大好きなので、暦の12ヶ月という数字から12人で、4つの季節を分担することを提案しました。
今のところ順調に進捗しています。
<スケジュール>
2022年9月:執筆者の募集、面談、メンバーの決定
2022年10月:担当する「季節」決め、執筆開始、扉絵と表紙のラフ
2022年11月:初稿締切
2022年12月:校正、表紙と扉絵デザイン
2023年1月:最終稿をもとにInDesignで編集作業(←いまここ)
2023年2月:入稿、印刷
「本」としての発刊まであと少し!がんばれ編集部のみなさん!
初めての体験で生まれた感覚
ゆきくろ:予定していたスケジュール通り進めない時期があって、執筆のスタートが遅れたのには正直焦りました。そんな中でも、筆者さんたちとのSlack上でのコミュニケーションが活力の源になりました。執筆の進捗を見られてうれしい気持ちと同時に「本を作っているんだ」という自分自身への責任感が可視化されていきました。
逆に、校正を手伝ってくれているもう1人のメンバーと六月堂3人で編集部専用チャンネルを作って、そこでは高校生同士のラフなやり取りをしています。タスクのバランスが六月堂だけに寄ってしまったことは反省です、申し訳なかった!ごめん〜。
本の制作は、仕事モードに切り替えて活動することで、スケジュール設定やルールづくりなどがとても勉強になりました。
六月堂店主:メンバー集めの時に「私は企画説明が苦手だから」と思って、ゆきくろにリーダーを任せました。10月から執筆が始まってとても楽しかったです。筆者の1人として、昔自分が考えていたアイデアを思い出して、書いていて楽しかったです。チームで制作活動すると、自分が思いつかない発見、アイデアがふくらみました。逆に、テンポの違い、コミュニケーションの齟齬などの課題も少し感じて、それを次のステップに活かしたいと思っています。
質問:フラストレーションは感じないですか?
ゆきくろ:実際のところいろいろありますよ〜。一難去ってまた一難。今もそれを乗り越えている現在進行形ですし。でも大丈夫、私心臓が強いから(笑)!
六月堂:期日中にチェックしたい自分のスケジュール感と、ゆきくろからアドバイスのあった「スケジュールのゆとり」感とのズレはあったけれど、日程的なゆとりを作っておいて、結果的によかったです。
1人で制作活動する時のテンポとの違いを感じつつ、つまずきながらも前に進んでいます。
質問:手応えや、今感じている気持ちはありますか?
ゆきくろ:編集作業と入稿に、AdobeのIn Designをメインで使う予定なので、そこがちょっと不安です。具体的な手応えや感触というよりは、全員からの原稿やデザインが決まっていって、本という形に成っていくのは「これから」だから、次のフェーズのスタートだと感じています。
六月堂店主:扉絵と表紙のデザインを担当しています。みなさんの原稿を読んだ時に、作品と作品との間に不思議な共通点がありました。予期せぬつながりが各所に出てきて、読んでいてエモかったんです。みなさんの原稿、写真、イラスト、それぞれの「乗鞍」を切り取った作品が1冊に集まった、ことが伝わるようなデザインを目指しています。
書き手の1人として
ゆきくろ:書き手さんが集まった時に、12人それぞれのバックグランドから、初めて書く方も多いだろうし、ということは、大半の作品がエッセイっぽくなるだろうなと気づいて、自分は恋愛小説を書こうと決めました。
『池袋ウエストゲートパーク』を書いた石田衣良さんのように、読んでスカっとする爽快感を作品に取り入れたかったのと、マンガみたいにスラスラ読めて、今の高校生がリアルに感情移入できるストーリーを目指しました。
主人公の変化や成長に注目して読んでほしいです。そこに「こうだったらいいな」と思っている自分自身を投影しているので。
六月堂店主:私の作品は短めの作品を3つ収めました。1つ目は詩、2つ目は手紙形式のフィクション、主人公には自分に重ねています。3つ目は六月堂が舞台の物語で、主人公は架空の人物です。すもも荘での実体験をもとに乗鞍の美しい風景描写を丁寧に描きました。
書き手さんたちから集まった物語を読んでいて、「不思議さ」と「ほっこりする感じ」と「ハラハラする感じ」を感じました。ゆきくろの物語はクスッと笑える「マンガっぽさ」を感じたので、本人の説明を聞いて納得しました。
お2人にとって、乗鞍、そしてすもも荘とは
ゆきくろ:すもも荘には3回滞在しました。「そうだ、すもも荘に行こう」と決めてから、出発〜滞在するまでの期間はモチベーションが上がりますね。
4月からすもも荘で暮らしている六月堂ファミリーとは、幼い頃からずっと仲が良いし、マカリスター一家(※)からはたくさんの気づきがあり、成長を促してくれる人たちです。木のこの蕗子さんを含めた、地域の方々は、訪れた時にあたたかく受け入れてくれている。
だから乗鞍とすもも荘は私にとってのあたたかい第二のふるさとなんです。
六月堂:4月からすもも荘で暮らしています。2021年の夏に、2週間すもも荘に滞在したときに感じた「ゆったりした時間の流れ」は、8ヶ月経った今も感覚は変わりません。
冬になって外はとても寒いし、雪かきすると腰が痛いけれど、樹々に氷や雪が積もっているのを見ると、キレイだなと感じます。
※マカリスター一家とは、乗鞍に住む7人のご家族です。インタビューの様子はこちらでご覧いただけます。
2023年以後の活動予定は二者二様
ゆきくろ:今回の小説以降、他の人とのコラボは考えていません。私は「文章を書くのが大好き」だし、「文章を書くのが楽しい」し、「文章を書くのが得意」なのでその能力を最大限に生かしたいんです。作品を応募しまくって賞を取って、それを大学の推薦入試に活かそうと思います。チャレンジ精神を大切にして、丁寧な文章を心がけて、世に認められるような文章をどんどん書いていきます。
春スキーをしたり、高校生としての学生生活を謳歌していきたい。
六月堂店主:年末に高校のレポート提出が無事に終わって脱力していたけれど扉絵、表紙のデザイン、編集作業をすすめていきます。今後はアニメーションを作りたいと思っています。中学3年生の12月頃に全部自分1人で作った経験をいかして、2023年の春以降、小学6年生を主人公にした物語をいろんなメンバーと協力して作りたいです。
『高校生、楽しいですよ。』
ゆきくろさんの最後の締めの言葉がとても印象的でした。「高校生、楽しいですよ。テストがなければ(笑)」と、心から学生生活を楽しんでいるのが伝わってきました。
30分という予定を大幅にオーバーして80分の間、放課後の教室で同級生から話を聞いているような、そんなインタビューの時間を過ごさせてもらいました。高校生バンザイ!
六月堂さんと、小説プロジェクトの情報はこちら
乗鞍すもも荘について
乗鞍すもも荘は、信州(長野県)乗鞍高原でアーティスト・イン・レジデンスを目指す、コリビングハウス&コリビングスペースです。
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