夫の癌が消えたのは奇跡なのか‐②
がん検診を夫へすすめることを思い出しては
時々説得を試みるが全く効果なし。
そのうち、
「まあ、元気だし」と
説得することをあきらめかけたある日。
「いぼ痔ができちゃったよ」と夫が言ってきた。
夫から「痔」なんて言葉は初めて聞いた。
迷いもなくズボンとパンツを脱がせ見てみると、
肛門横に1.5cmほどのイボが確かにあった。
「でかっ」と思わずひとこと。
これは検診を受けさせるチャンスかも、とひらめき、
「変な腫瘍だったらやばいよ。病院行こうよ」
とややオーバーに騒いでみた。
さらに
「ついでに大腸内視鏡もしてもらおうよ」
といってみると、夫は素直に「うん」と答えてくれた。
その返事を聞いたときはなんだか嬉し涙が出そうになり
「よっしゃ!」なんて心の中で達成感を楽しんでいた。
あれだけ聞く耳を持たない夫が「うん」と言ったことは
とってもうれしかった。
このタイミングでいぼ痔が出来たことが、
たまたまだとしてもなんともありがたいことだった。
検診を受けてほしいという私の願いを
誰かが援護してくれているかのような感覚だった。