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IU(イ・ジウン)は強くて愛に溢れたかっこいい人

中学生の頃初めてGood dayという曲を聞いた時から8年間、私はずっとIUちゃん(本名/役者名イ・ジウン)の虜だ。

魅力は数えきれないほどある。
澄んでいて透明感のある歌声も、そのくせ普段の喋り声は低くてサバサバしているところも、可愛らしいリスみたいな容姿も、いつだって自然体で飾らない言葉や歌詞も音楽も、大好きだ。

彼女の書く詩はまっすぐで前向きで背中を教えてくれて、でも時には厳しくて虚しい。

IUちゃんの好きな曲をあげると、たくさんある。し、とても語りたくなるので長くてダラダラした文章になることが目に見えている。だから今日はIUちゃんの言葉に焦点を当てていきたい。

1.愛の人

IUちゃんは一見、自信に溢れた人だ。
インタビューでは「私は自分のことが1番好きです。そういう人間です」と自分の腕にチューしたりするし笑(その姿をみてIUちゃんの実の弟が大笑いしていた姿がすごく良かった)、自分のアルバムのレビューをみて「このアルバムすごく気に入ってるのになんでこんな評価低いの?これが名盤じゃなかったら何が名盤なの?オン?」なんて言ったりする。私がIUちゃんの歌だけではなく、内面性に関心を寄せ始めたのもそういう一面がきっかけだった。

8年前、彼女が出たバラエティ番組では以下のようなやりとりがあった。

これは有名な話だが、IUちゃんは歌手になる前20つものオーディションを受けたが全て落ちてしまった経験があるらしい。芸能事務所を名乗る集団から詐欺にあい、大金を取られたこともあったという。インタビューでその話題になった時、MCたちはIUちゃんに「若い頃にそれだけ落ちてしまったら自信を失って夢を諦めてしまいそうにはならなかったの?」と尋ねた。それに対してのIUちゃんの答えが、当時の私には衝撃だった。

漠然とした自信があったみたいです。
歌手にはなれるだろうから、オーディションに落ちることが怖くなかった。

まさに痺れた。なんてかっこいいんだと思った。
そして予想外の返答に戸惑うMCを差し置いて、IUちゃんは淡々とこう続けた。

しかも、オーディションが楽しかったんです。審査員はわたしの歌を聴いてくれますよね。当時の私にはそれが1番大きなステージだったんです。だから楽しかった。

「天才は努力するものに勝てず,努力するものは楽しむものに勝てない」という言葉があるが、IUちゃんはまさにそれを体現したような人だ。IUちゃんの手にかかれば、オーディションという偉そうで厳しい目をしたプロデューサーに選別されてしまう、普通の人なら萎縮してしまうような空間も、瞬く間に自分が楽しむためのステージに変えてしまうことができるのだ。歌うために生まれてきた人。

IUちゃんはただ"自分に自信がある人"なんだろうか?
本国で国民の妹と呼ばれる彼女は、あどけなくてハツラツとしていて自分に自信があって天真爛漫で...そんな守ってあげたくなるような、妹のように可愛い女の子なのだろうか?

私にとってのIUちゃんは初めて見た時からずっと、ただずっと強くてずっと愛に溢れた人だ。
自分に自信があるように見えるのは、自分のことも愛を持って大切にしているからだろう。そして彼女は同じように、周りの友人やスタッフ達ファンへもとびっきりの愛をくれる。

twenty-threeという曲がある。23歳だったIUちゃんの素直で率直な気持ちを書き記した歌だ。

私は恋がしたい
いやたくさんお金を稼ぎたい

あまりにも包み隠さずな願望に思わず頬が緩んでしまうけれど、彼女はいつだって自分のやりたいことを大切にできる人なのだ。

まだアイドル歌手として自身で作詞作曲を行なっていなかった時期も、ハッキリと「いつかはシンガーソングライターになりたいです」と明言していた。
「ファンを励ませる人になりたいです」「ファンに愛される人になりたいです」「ただ歌うだけじゃなくて、自分の考えを語れる歌手になりたいです」
できないかもしれないから、なれないかもしれないから…なんて彼女は思わない。自分自身へのたっぷりの愛情と共に、キラキラとした目で将来を話してくれる。

人は誰だって、自分のことが好きな人が好きだし嫌いな人は嫌いだ。同じように、自分のことを応援してくれる人は好きだし、自分を否定する人は嫌いだ。だとしたら、自分の嫌いなところだけ集めて自分を卑下ばかりしていると、もっともっと自分のことを嫌いになってしまうのではないか。
自分を好きになる第一歩は、まず、自分のやりたいこと自分のしたいことを否定せずに、自分が自分を誰よりも応援してあげることなんじゃないだろうか。

「私にはとてもたくさん足りないところがあります。けれど、それでも自分のことが好きなんです。自尊心と自己愛は違うと思っているのですが、わたしは自己愛がとても深い人間なんです」
私の価値観を変えたIUちゃんの言葉だ。これができるから自分が好き、これが出来ないから自分が嫌いではないのだと。足りないところがあっても自分を好きでいられる人に、私もなりたい。

愛に溢れたIUちゃんをみてると、私ももっと自分を大切にしようと思えるのだ。そしたらいつかは、自分のことが好きになれるような気がする。

2.強い人(eight)

だから無気力・無力感を味わった28歳を表した曲だと言っていた"eight"のpvを初めて見た時、とても衝撃を受けた。IUちゃんの喪失感が、画面を通じてズシンと私を打ったからだ。

2018,2019年はIUちゃんとKpopを好きな者達にとってとても悲しい年だった。多くの人に愛されたはずの親友たちを、IUちゃんは立て続けに亡くしてしまった。IUちゃんはSNSやメディア媒体でそのことを多くは語らなかったけれど、2018年に授賞式という大きい場で立派なスピーチをした。私だけではなくてみなさんも悲しいと思います、と言った。その時も涙を流さず、ハキハキとした言葉で、時折笑顔を見せながら「ここにいらっしゃるアーティストの皆さん。今日だけはゆっくり休んで楽しい時間を過ごしてほしいです。私もそうします」と締めくくった。(私もそうします、が堪らなく好きだ。)
続く2019年。もう1度、2度悲しいことが起きたけれど、IUちゃんはまたSNSで多くを語らなかった。語る必要なんてないと思っていたし、何よりIUちゃんが声にもならないくらいに悲しかったことなんて隣国の端くれにいる私にでさえ理解できた。理解できたけれど、それは想像上のものでしかなかった。

今回eightで初めて本人からの訴えを浴びたのだ。その曲は爽やかで軽快なメロディなのに、その唯一無二の歌声のせいなのか、それともIUちゃんの素直な気持ちが乗っているからなのだろうか?どうしようもなく切なく虚しく聞こえた。それでも最後、過去の記憶から目覚めたIUちゃんは微笑んだ。IUちゃんはとっても強い人だ。

IUちゃんにとっての"オレンジ島"がいつか、本当にいつか、心の痛む悲しい場所ではなく思い出すたび心が暖かくなる、疲れた時に逃げ込めるそんな懐かしい場所になったらいいなと無責任ながら思ってしまう。

自分を過剰評価したり必要以上に卑下したりせず、ありのま間の自分を抱きしめられる人はどれほどいるのだろうか。
ある人は弱いが故に自分を過剰評価し周りに同意を求め価値を高めようとする。ある人は傷つきたくないから予め自分を蔑み、苦しめる。

自分の弱いところも、ありのままの自分を、抱きしめることができるIUちゃんはとてもとても強くて、そしてとっても美しい人。

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