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IU第5集"LILAC"はとてつもない名盤
2021年3月25日にそれは爆誕しました。
韓国のトップソロシンガーIUが、待望の自身5枚目のフルアルバムとなる"LILAC"をリリース。
これはリリース前から、IUちゃんが"私の20代を見届けてくれた人達への挨拶にするつもりだ"と語ってくれていたアルバムでした。
あの大傑作第4集"palette"から4年。
わたしにとって、IUちゃんを IUちゃんたらしめた最高傑作は"palette"だと思ってるんですよ。10代最後のアルバム"Last Fantasy"で自身最高のヒット作Good dayやYou&Iといったアイドル・ファンタジー路線を卒業し、シンガーソングライター・音楽プロデューサーとしての地位を獲得したpaletteこそが、IUちゃんの最高傑作なのではないかとずっとそう思っていたんですね。
だけど!!!
3月にLILACが発売されて、咀嚼して咀嚼して咀嚼し続けて8月になった今。
LILAC、めちゃくちゃに傑作ではないか?
何度も何度も繰り返し聞いてわかったのは、このアルバムは20代で酸いも甘いも経験したIUちゃんの"成熟した過程"が詰まった全身全霊のアルバムなんだということです。生き様がみえる、最高にかっこいいアルバムだったんです。
IUちゃんの熱い想いが詰まった第5集LILACを、本人のインタビュー内容も踏まえ、記録用の意味も込めてレビューします。
同時に読んでくださった皆さんが、よりLILACを楽しめますように!
はじめに:The Spring of Twenty
LILACをより楽しむために、IUちゃんが20代になりまず初めにリリースしたmini album「20歳の春」をご紹介します。
なぜかというと、IUちゃんが20代を振り返ったアルバムとなっているこのLILAC、20歳の春のいわばアンサーアルバムになっているからなんです。LILACは20歳の春になぞって春に発売することを決めたといいます。
アルバムの形態
またLILACはBYLACとHILACという2形態で発売されました。LILACには「若い日の思い出」という花言葉があるそうで、20代という思い出に"bye" 30代に"hi"という意味を込めて名付けたそうです。
わたしはこのアルバム名がIUちゃんらしくて大好きです。
20代という若い思い出にbyeだけではなく、30代のことを「これからまた私がつくっていく若い日の思い出なんだ」と話したのも、いつでも前向きで自分を大切にするIUちゃんらしいですね。
track1.LILAC
"20代を見届けてくださった全ての人に贈るIUちゃんからの挨拶"、第5集の1曲目は、LILACです。
この楽曲は様々な考察が飛び交っていましたが、わたしは純粋に、IUちゃんが20代を振り返った歌、20代とお別れするという意味を込めた歌だったんじゃないかと思います。
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出発がHILACになっていて到着がBYLACになっているから、歌詞のように20代という"秘密のオルゴールを巻き戻し"て20代を振り返る、みたいな意味なのかな…と勝手に思っています。
また、歌詞には自身最大のヒット曲Gooddayの歌詞が使用された直後に"今のわたしもすき"という歌詞があったり、"初めて会った日のようにきれいだねって言ってくれない?"とあったり、29歳の自分にも、凄く満足している事が伝わってきます。
"こんなに完璧な別れがあるだろうか"
この歌詞からは、20代をやりきった!悔いはない!という思いが見えて、まさにこのアルバムの1曲目にふさわしい、幸福感に満ちた名曲です。
track2.Flu
LILACに続き2曲目は、Fluです。FluについてのIUちゃんの言及は見つからず個人的な感想になってしまうのですが、ブリッジのメロディが宇多田ヒカルをちょっと甘めにした感じだなと思いました。遊び心があってかわいらしいメロディの曲です。
track3.Coin
3曲目はCoinです!LILACとダブルタイトル曲になっていましたが、どうやらIUちゃんのお父さんがこの曲をえらい気に入ったためダブルタイトルになったようです。(IUちゃんってお父さんとめちゃめちゃ仲いいですよね)
わたしCoin、大好きです!
"強いものにはより強く I love gamble"という歌詞でクールに始まるこの曲、どうやらgamble=仕事を表していたようで、仕事に狂う20代の自分を歌った曲だったようです。
"このギャンブルは命がけだよ"
"baby 知ってるでしょ?私がこのゲームに何を賭けているのか"
聴いていてここでいっつも胸が熱くなってしまうんですよね…IUちゃんは本当にこの"シンガーソングライター"という仕事に誇りをもってやっているんだろうなって言うのが伝わります。
よくIUちゃんは、「本当に私は仕事以外に何もできません」と言っていますが、そう思ってしまう程真摯に歌手という仕事に向き合ってきたんだなあと。気概が見えて、とっても好きな歌です。Coin。
track4.Hi spring Bye
個人的に人の死を美談に利用することにとても抵抗があるのですが、しかしこの曲はIUちゃんの親友で亡くなってしまったソルリを思い出してしまう歌です。実は本ブログの冒頭でお伝えした"The Spring pf Twenty"には、IUちゃんがソルリを思って書きおろした曲、Peachが収録されているんです。
20代の初めに出したアルバムで
"どんな言葉で君を説明できるかな この世界の言葉では足りない"
と歌った親友の事を、20代最後のアルバムで
"苦しかったあなたの名前も 今は未練じゃない 忘れたように生きながら もう一度出くわしたい偶然だよ"
と歌っているなんて、と思うと、記すべき言葉に迷ってしまいます。
track5.Celebrity
視線を引く姿と独特な趣向、多様な才能、人見知りから始まった防御規制、事あるごとに好き嫌いが明らかな性格等によって、しばしば変わった人扱いされてきた友人がいる。友人のそんな性格によって、私は一層その子を愛していたけれど、本人は同じ理由で、これまで憎しみの視線を向けられながら生きてきた と話した。 私の「変わった友人」にかけたい言葉を書きながら作り始めた歌詞だった
そして、そんなHi spring byeに続く5曲目が、Celebrityなんですよ。。
Celebrityの歌詞は、上部に引用したIUちゃんのこの曲に対するコメントのように、変わっている友人へ励ます言葉が並んでいます。その友人が誰なのか。正解はIUちゃんにしかわからないことなのだけれど、この曲順に答えが隠されている気がしてならないのは、私だけでしょうか。
"忘れないで 君は暗い闇の中で 左手で描いた星のような人 少し曲がったように見えるかもしれないけれど その個性がどれほど美しいか"
"ゆっくりでいいから いつか気付いてくれますように"
歌詞を完成させたら、友人や私だけでなく、誰を主人公に代入しても、まったく不自然ではない感じがした。 誰もが生きていて、一度は自分が他人の基準に合わない人だという理由で、疎外感を感じたことがあるだろうから。 私の友人を含めて、ぶっきらぼうでも、唯一無二で生まれた人々に言いたい。 "あなたは変わった人ではなく、星のような人だ" と
track6.Troll(Feat.DEAN)
Trollです。この曲はお洒落!出だしの1,2,3 woo♪が好きです。歌詞は別れても結局会っちゃう男女のストーリーなのですが、すごく普遍的な歌詞なので一部の人にはすごく刺さるんだろうなと思います(笑)
アルバムはやっぱり当たり前だけど色んな曲が集まってできてるので、歌詞重視派のわたしには「うーん」って曲が数曲毎回あるんですね。当たり前ですけど。でも今回のアルバムは歌詞が共感できないものでも、メロディが好みだったりしてすごく楽しめました。すごい。本当にすごい。やっぱりIUちゃんのアルバムはpaletteあたりから音楽性が凄く高くなりましたよね。(何様?という感想ではありますが)
第2集のLast Fantasyの頃からIUちゃんが好きだったのですが、本当にあの時はこんな音楽を歌う歌手になるとは一ミリも想像してなかったです。
track7.Empty Cup
THE洋楽!って感じがするメロディです。尺も2:19と短めでぼーっとしてると終わってしまいます(言い方)がなんだかすごく胸が締め付けられるメロディで切なくなります。
track8.My sea
そしてMy Seaです。今回のアルバムで一番好きな歌です。王道清純派バラードなのですが、ラスサビに向けて段々と高揚していく壮大な構成とこの曲のキーパート、IUちゃんのハイ&ロングトーンが本当に聴く度鳥肌が立ちます。
この曲はあの「夜の手紙」の作曲者の方が、IUちゃんに「ヌナ(お姉さん)!ヌナの誕生日、5:16の壮大な曲を作りましょう!!」と言って制作が開始された歌のようです。そんなテーマだからなのか、歌詞も、まるで仕事で忙殺されて自分を見失っていた幼いIUちゃんが、やっと自分らしさを見つけることができたことを連想されるもので、壮大な映画を見たようなそんな感覚に陥る曲です。
曲のクライマックスにIUちゃんはこう歌います。
"もう2度と私を閉じ込める闇に目を瞑らない。2度と自分を知らないふりをしない"
きっとIUちゃんが20代で見つけた、最大の答えであるこの歌詞のあと、曲の締めにIUちゃんは以下のように歌うんです。
それでも相変わらず時には
人生に負ける日も来るだろう
また彷徨ってしまったとしても
もう戻る道を知ってる
どうしてもここで泣いてしまう。。色んな感情を味わって、精一杯生きたIUちゃんだからこそ、「これまで色んな修羅場を味わってきた。だからもう、生き方を知ってる」「だから大丈夫」そう歌える曲なんだろうなと。
と同時に、なんだかすごく勇気が湧いてきます。これから彼女にも私にも、辛いことはやってくるだろうけど、これまで辛いことを乗り越えてきたように私たちはきっともう、乗り越え方を知ってるんだと。だから大丈夫なんだと。そう思わせてくれる、私に取ってお守りのような曲となりました。my sea。
いつかボロボロになって、辛くて仕方ない日の夜に、ひっそりとききたい曲です。