IUではなく、イ・ジウンヘ
IUことジンちゃん(韓国で親しまれているIUちゃんのあだ名)が、2022年5月16日で30歳になる。
誕生日を迎えるジンちゃんへ
去年の9/18、ジンちゃんがIUとしてデビュー13年目を迎えた日に、私はあなたのことを本名ではなくあえて"IUちゃん"と呼ぶ事にこだわりがあると言う話しをしました。
けれどイ・ジウンが生まれた今日この日は、イジウンという人物について文章を残しておきたいなと思います。
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多くの人々にとって、ジンちゃんのイメージはどうだろう。童顔で愛らしくて「寄付天使」「国民の妹」なんてあだ名のある彼女だから、ジンちゃんの動画のコメント欄ではよく「顔も可愛くて性格もいいなんて完璧」という言葉を見かける。
ジンちゃんの、特に日本での大衆イメージは、いつもニコニコで、可愛らしくて、性格が良くて、天使のような…そんな女の子なんだろうか
性格が良いって、どういう人のことを言うのだろう。
多種多様な人々が生きるこの世界において何が「良くて」何が「悪い」のだろう。
寄付をしたら寄付をしたことがある人は全員「性格が良い」のだろうか。その人を慕うアイドルがたくさんいるから「性格が良い」のだろうか。ではあまり他の人に言及されない人だったら「性格が悪い」のだろうか。
性格が良いなんて形容詞はその人のことを説明しているかのようで実は何も説明していない。
私にとってのジンちゃんは「性格が良い」なんて言葉では片付けられない、それよか「性格が良い」という言葉の持つクリーンなイメージとは正直かけ離れている。
私にとってのジンちゃんは、ただひたすら、ひたすらストイックで、寡黙で、甘えや妥協をしらない厳しい人だ。「性格が良い」という曖昧の言葉がなんとなく醸し出す、柔らかくて透明なイメージとは重ならない。私はいつもジンちゃんに「私はこんなに一生懸命生きているけどあなたはどうなの?」と言われているような気持ちになる。
人の揚げ足を取るよりも、自分の人生を生きる人になりたいです
「ただとにかく腹が立って」
と、ジンちゃんは言った。
ある韓国の番組で、アンチとの関わり方について討論が行われた。そして突然、その番組に出演していたスーパージュニアのヒチョルがその場にはいないジンちゃんの話を始めた。
「IUはマナーのないアンチを徹底的に法的処置にかける」
ヒチョルは事前に、番組で君の話をしてもいいかとジンちゃんに許可を取ったらしい。ジンちゃんは快くOKしたそうだ。そして事務所に止められているにも関わらず(いろいろな考えがあるが、きっと事務所的にはやり返す(?)のではなく耐えることでジンちゃんのイメージを守りたかったのだろう)アンチに正当な方法で応戦した理由についてジウンちゃんは冒頭のように述べた。
「とにかくただ腹が立って」
ジンちゃんはロックな人だ。
メロディがキャッチーで可愛いので忘れてしまいがちだが、デビュー10周年記念で作成されたアンチコメントを吐くネットユーザーに向けてつくられた"BBIBBI"の歌詞だって最高にロックだ。
ちなみに、歌詞も最高にロックだけれど10周年記念ということでファンに向けた曲を書こうとしたら「わたしたちってさ、結局貸し借りのない関係だよね?」と思いこんな曲になりました!と本人が明言してしまうところこそ最もロックだと思う。
ジンちゃんは、自分に向けられる理由のない、または愛のない悪意には受け流すのではなく、ちゃんと立ち向かう人だ。そしてここで1番言いたいのは、なぜジンちゃんはこのように徹底的に悪意を許さないのかと言うと彼女の確固たる信念ゆえなのだ。
SNS上では誰もが批判家となり、自分を棚に上げて挑戦する人を上から目線で攻撃する言葉がゴロゴロ転がっている。
それは、自分の弱さを隠したいからにすぎない。
自分には何もないから、何も持っていないから、誰かの欠点を指摘して少し上に登った気になるしかないのだ。
ジンちゃんはそれを拒む。
そんな暇があるなら自分の人生を生きたいと話す。
私はそう話すジンちゃんが、眩しくて眩しくてたまらない。
ただ誰にも迷惑をかけず、自分の世話を自分でできる人になりたいです
「みんな自分のことを自分でできるようになれば、誰かのせいで傷つくことは少なくなるんじゃないかな」
そう言ったジウンちゃんはその後、違うかな?と少し心配そうにスタッフさんたちを見渡していた。
ファンからの「どんな大人になりたいですか?」と言う問いに対して、ジンちゃんは「自分のことは自分でできる人」と返答した。それに対してスタッフさんに、「それでもジウンは誰かのために何かをしたい人のように見えるけど」と言われると「それはとても難しいことで、自分には無理だと思ってるから」と話した。
ある番組で、ジンちゃんと長らく親友だと言うT-ARAのジヨンがジンちゃんのことを「ただとても強い人」だと言った。
ジンちゃんは、どんなことがあっても誰にも迷惑をかけることなく1人で耐えないといけないと思っているのかもしれない。
ジンちゃんが、最も人間性イ・ジウンを表した曲だと語っていた"palette"のアコースティックverにこんな歌詞がある。
"返してもらうための善意はやめてみようかな"
思うに、ジンちゃんは"誰に向けての善意なのか"に着いてすごく厳しい意見を持っている人のように思う。
Love poemのアルバム紹介文に、「私は哀しい思いをしている人を見るとほっとかずにはいられないが、それは相手に向けた善意ではなくて、その人の悲しんでる姿を見たくないと言う自分のために他ならないのです」とあった。
誰かのために働きかけたつもりなのに、うまくいかなかったこと。
誰かのためにしたつもりだったのに、それに対して思ったようなお礼がなくて、もどかしく思ったこと。
そんな経験を通してたどり着いたジンちゃんの結論が「誰にも迷惑かけずに自分のことは自分で世話をできるようになりたい」だったのだとしたら。
私はジンちゃんのことを、なんて不器用で一生懸命に生きている人なんだろうと図々しいながら抱きしめてあげたくなってしまう。
そしてそう記しながらも、私も、ジンちゃんの気持ちが痛いほどわかってしまう。
人に頼りたくても頼れなくて、それなのに1人でこの気持ちを抱えてることに耐えきれない弱い自分を嘆いたことが私には何度もある。
そんな時に、ジンちゃんのあの小さい体で全てを耐える姿をみて、私は図々しくも心配してしまうのと同時に、共感して、私もジンちゃんみたいに強く生きないといけないのだと奮い立たされるのだ。
過去の自分に貸しをつくりたくありません
デビューして2年目、18歳の頃。Good dayが爆発的人気を誇り、ジンちゃんは若くして一気に国民的スターへと上り詰め、それから13年経った今、30歳になっても未だ韓国の音楽シーンのトップに君臨している。
ある雑誌のインタビューで、ジンちゃんは以下のように述べていた。
過去の自分に貸しをつくりたくない
自分が今こんなに有名で売れていることを過去の自分の貸しにしたくない。常に今の自分の成果でありたい。
もしここまで読んでくれた人がいたら、わかってくれたのではないだろうか。
人間イ・ジウンは性格が良いなんて薄っぺらい言葉では表しきれない。
アスリート並みのストイックさと、かわいらしくか細い見た目に反して誰よりも自分に厳しくあり続ける孤高の存在。
それが、私にとってのイ・ジウンだ。
そして。
ずるく生きられない、器用に生きられない…そんな不器用で賢くない生き方しかできない人々にとって、ジンちゃんの存在は希望そのものだ。
真面目な人が損する世界と言われることが多い中で、ただ愚直に真っ直ぐにしか生きられないジウンちゃんの活躍する姿は不器用なものたちの希望なのだ。
一生懸命な人は、そのままでいいんだ。
私にとってのジンちゃんは弱くて負けてしまいそうな日の命綱で、簡単で楽な道に流されてしまいそうな時の錨で、やるせない日々に感情が乱れる日のたった一つ癒しで。
ジンちゃんがいるから私は、落胆した日に「もう少し地道に頑張ってみよう」って思えるんです。
私があなたのことが好きなのは、嘘がないから。
下心のない言葉だけを伝えてくれるから。呆れてしまうくらい真っ直ぐだから。
だからジンちゃんのことが好きです。
イ・ジウンは私にとって、ずるくない人です。
きっといろんな見たくないものや聞きたくないものに惑わされてきたはずだろうに、それでもまっすぐ、折れることのない太い木になってくれてありがとうございます。
あなたがその年輪を重ねていく姿を、どこまでも伸びていく姿を目の当たりにできる同じ時代に生まれて本当によかった。
大袈裟ではなく、本当にそう思っています。
大好きなんていう言葉では足りないような気がしてしまうけれど、それでも、ずっとずっと大好きです。今日だけはあなたが世界で1番な幸せな日になってほしいです。
生まれてきてくれてありがとうございます。愛しています。
Happy IU day!
※予定があり当日に更新できないため5/3の今日投稿したことがちょっと惜しいですね