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最後のミッション〜元エリートサラリーマンの告白

最後のミッション〜元エリートサラリーマンの告白

この記事の内容

  • 元商社マンの告白に見る、仕事と人生のバランス

  • 定年後の虚無感から見える「本当の成長」とは

  • インタビューを通じて明らかになる「人生の空隙」



インタビュアー、わし。


加藤夏樹:こんにちは。本日は、とある元大手商社マンの山本さんにインタビューさせてもらう。山本さんは、長年商社で第一線を走り続け、定年後も再雇用されているとのことだが、今どのようなお気持ちで日々を過ごしていらっしゃるんだい?


山本さん。イメージ画。


山本:ありがとうございます。まず感謝の気持ちはありますね。再雇用という形でまだ会社で多少なりとも仕事をいただけています。ありがとうございます。私のサラリーマン人生の最後でしょう。
ただ正直に言えば、虚しさも感じています。
再雇用として会社に残ることができているのは幸運だと思いますが、それでも「これが自分の人生だったのか」と振り返ると、いろいろな思いが湧いてきます。

加藤:その虚しさとは、具体的にはどのようなものなのだ?

山本:若い頃は、会社のため、取引先のため、何より自分のためにと、一心不乱に働いてきました。結果、出世もしましたし、大きなプロジェクトを任されることも多かった。達成感や充実感は確かにありました。でも、ふと立ち止まって考えると、その成長や成功とは一体何だったのか、と。

加藤:そこだよな。世間的にはエリートと呼ばれる道を歩んできたわけだが、何が欠けていたと感じているのだ?

山本:そうですね。自分では充実していると思い込んでいましたが、ある意味、それは「自分に酔っていただけ」だったのかもしれません。達成感に浸ることが人生の目的のようになってしまい、本当に大切なものを見落としていました。

加藤:本当に大切なものとは?

山本:やはり人間関係ですね。それは他者との関係だけではありません。もちろん家族や友人との時間も大切でしたが、ないがしろにしてしまった。でも一番無視しつづけたのは、自分自身と向き合うことです。
家族には今も申し訳ないことをしたと思っています。子どもたちが小さい頃、運動会や発表会を仕事で欠席することが何度もありました。そのときは仕方ないと思っていましたが、今振り返ると、それがどれほど大きな犠牲だったかに気づきます。

加藤:まず家族との関係を聞きたいが、どのように変化している?

山本:妻とは今、少しずつ昔話をするようになりました。子どもたちも独立しましたが、まだ距離感がある気がします。今更だよなぁと反省しきりです。でも、孫が生まれて、ようやく少しずつ絆を取り戻しているところです。財布扱でもいいです。(笑) 少しでも過去を埋めあわせるチャンスをもらえれば・・・という気持ちです。ただ、もっと早く気づいていればと悔やむこともあります。


「成長」とは何か?

加藤:山本さんの話から、「成長」という言葉がキーワードとして浮かび上がってくる。これまで、仕事での成長が人生そのものだったと思うが、今はどのように考えているのか?

山本:会社での成長は、言ってみればただの「社会的な成長」だったと思います。それは横の広がりといえると思うのです。横軸の成長です。それは社会人として、責任を果たし、結果を出すという意味では重要なものでした。でも、人はそのようなもののために生まれてきたのでしょうか。極端なこといえば、「それは私でなくてもよかった」仕事ばかりです。いえ、贅沢な話です。理解しています。それに組織の強みは、「特定の誰かでなくてはダメ」という属人的な仕事を無くす点にあります。代替可能であることにしておくことです。だから「私でなくても良い仕事」に従事することは、健全なことともいえます。

いずれしても、会社に全振りしてしまった結果、「人間としての成長」はおろそかになっていたように思います。人間としての成長とは、縦軸の成長です。

加藤:なるほど。では、どのように人間としての成長を取り戻そうとしているのだい?

山本:今は、自分を見つめ直す時間を大切にしています。趣味として始めたガーデニングもその一環です。自然と触れ合うことで、これまで見過ごしていた小さな幸せに気づくことができるようになりました。また、地域のコミュニティ活動にも参加しています。他人と協力しながら何かを成し遂げることで、若い頃のような競争ではない、別の満足感を得ています。


人間としての成長とは?

加藤:では、山本さんにとって「人間としての成長」とはどういうものなのだろう?もう少し深掘りしてほしい。

山本:それは、もっと自分自身や周囲の人々と向き合い、心のつながりを深めることではないでしょうか。家族との時間を大切にし、友人と笑い合う時間を楽しむこと。そうした中で、自分が人としてどうあるべきかを見つめ直すことが、人間としての成長につながると感じています。私がこの場で語るのはおこがましいので、言わないようにしてみたのですが、夏樹さんが神秘学で教えているような「内省」や「正しい思考」。こうした行為を習慣化して取り組むようにしています。いやー、私のような未熟者が言うと説得力が・・・。


加藤:そんなことはありません。エリートビジネスパーソンとしての経験があったうで叡智の道への参入はとても説得力がありますよ。それはそうと神秘学的な内容はいったん置いておくとしても、山本さん場合は特に、家族や友人との関係を再構築するというのは、これからの人生をさらに豊かにする鍵かもしれないね。

山本:はい、おっしゃる通りです。仕事が中心だった私の人生ですが、これからはもっと「人としての時間」を大事にしていきたいと思っています。実はこのこと自体も内省を通じて理解しました。いえ、頭ではずっと若い頃からわかってはいまいした。でもそれが、ある日の内省中に急激に腹落ちしたんです。内省中に本当にわかってしまった。その瞬間、号泣しました。まったくわかってなかったことがわかってしまった・・・。

加藤:それこそ、次のミッションと言えるのではないか?

山本:その通りです。私自身のミッションとして、まずは家族に向き合う。そして、自分を少しでも人として成長することを意識して、残りの人生をより意味のあるものにしていきたいと思っています。


この記事を読んでいる方々へ:


山本さんのように、人生の空隙を感じている方も多いのではないか。そして山本さんはインタビュー中には慎重に「その言葉は私が言ってはいけない。その資格がない」と避けていたが、山本さんの言う

・縦軸の成長
・人としての成長

とは、ここで学ぶ人にてっては言語としては明確だ。

霊的成長、つまり「神へと向かうこと」を意味している。これを縦軸の成長、と彼は表現した。縦、上・・・神へと向かう成長である。

仕事で得たものも、無論人生を彩る一部だ。シュタイナーも「稼業における困難な取引、勝負はときに一瞬で人を大きく霊的に成長させる」という指摘もある。

しかし、そうした「仕事」「社会生活」だけでは埋まらない何かが確かに存在する。

この記事が、あなた自身の人生を見つめ直すきっかけになれば幸いである。

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