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Sweet? Bitter Bitter16!カッパドキアで数年ぶりの大掛かりな音楽フェスに初参戦して明暗を分けたDay.ONE。
昨日は、カッパドキアで、数年ぶりに催された野外ロックフェスティバルに参戦してきました。
元音楽業界人としては、トルコの最新のライヴシステムに興味津々。
同僚のセリンに付き合って貰って意気揚々と乗り込んできました。
フェスは4日間あって、チケットは全日通し券と、それぞれ一日券があって
更に、普通のチケットと高額なVIPチケットがあり
別途、泊まり込み組み用のキャンプサイトのチケットがあります。
料金は1日券で千円ほど、2週間前までの購入時では800円くらいでした。
4日間の通しチケットは2千円弱。
日本円に換算しちゃうとめちゃ安に感じるかもしれませんが、トルコリラの感覚では(子供たちの感覚では)1日券3,4千円、通し券1万円くらいの体感だと思います。
毎日、メインアクトの有名バンドと、売り出し中か、そこそこ人気なバンドもしくはヴォーカリストが割りにバランス良くラインナップされています。
アラフィフな私としては、流石に全日参加は厳しいので、悩みに悩んで1日目のチケットを購入しました。
メインアクトは20年以上のキャリアと人気を誇る骨太ライヴバンドのDuman(煙)です。
ガイジンの私でもヒット曲の数曲は耳馴染みのある有名バンドです。
このフェスの情報が入ったころから、地元若者たちもそわそわし始めました。久しぶりにはっちゃけられそうなイベントに、大人気のバンドが大挙してカッパドキアにやって来るんですからっ。
我が家の16歳児、そう!まさにSweet16世代ど真ん中の息子も
お小遣いをやり繰りして、早々にお友達と全日通し券とキャンプサイトへの申し込みを済ませていました。
3人で使うのにちょうど良いテントが欲しいと言うので、子供の冒険には財を惜しまない太っ腹な(!)お母さんである私が身銭を切って!(*'▽')数千円程度の超簡易テントを買ってやっていました。
友達と音楽フェスでテントに泊まり込むって、ああ、お母さん16歳に戻って参加したい!ってな、疑似妄想参加で大盤振る舞いです!(*'▽')
そんなこんなで、
フェス初日は母子別行動で、このカッパドキアの音楽フェスに参戦する事になりました。
会場は、カッパドキアのやや外れにある村のホテルの屋外スペースです。
私が住む、カッパドキアの中心的な町ユルギュップからは車で10分ほどの距離になります。
開場は昼の12時、ライヴは、最初のバンドが17時半から始まって
4バンド、最後のメインアクトのDuman登場は22時15分とアナウンスされています。
私は、昼間、オンラインでの仕事があったので、ライヴが始まるギリギリの時間に車で友人と会場へ向かいました。
会場周りは軍警察の交通整理部隊が大量に派遣されていて、日本のようにバイトくんの交通整理じゃなくて、銃まで携えた交通整理のプロ中のプロが誘導してるので、どの車も問答無用に指示通りに動きます( ´艸`)。
遅くに着いたので、我々の車は会場入り口まで1キロほど離れた場所にしか駐車場所が見つかりませんでした。これは致し方ない。
既に、昼間から雹が降ったり、雨が断続的に降ったり止んだりしてたので
とにかく、泥濘を歩いても大丈夫そうなアウトドアシューズと、冬のジャケットの重ね着をしていきました。
でも、まだ、この時点では
「どうせ、カッパドキアの雨なんて、長時間降ったりしないで、すぐ上がってしまって、夜は星空のコンサートってな感じになるに違いない。」と甘く見ていました。過去の体験的に全く天気予報が当たらないのがカッパドキアだったもので。
入場に際しては、オンラインで予約したQRコードを示すと、手首に黄色(成人用)か白(未成年者用)にリボンを巻かれます。
カバンの中も入念にチェックされて、一切の飲食物の持ち込みが禁止です。
(全部、お金は会場で落としてね!。*✧ヾ(。>ㇸ<。)ノ゙✧*。)
私は、水筒に常時携帯している水までその場で捨てさせられましたっ。
入場が済むと、次は会場内で使うキャッシュをスマホにチャージします。
会場内では一切の現金のやり取りが出来ず、全ての飲食物並びにサービスは、このチャージしたお金でスマホのQRコードを翳して支払います。
ほんと!大人ってずるいよな!!(# ゚Д゚)
だってさ、このシステムだとさ、絶対端数は使いきれずに主催者側の丸儲けだもんね!
(って、元は主催者側だった時代がある私ですが、ここでは一応若者側で怒ってみる)
しかも、このアプリのDLがめっちゃ難しいっ。
アップルストアからAPPをDLしてから、自分のIDと合致させるまでに様々な難関、まるでクイズみたいなコード合わせがあって、老眼のおばちゃんであるところの私は挫折して、友人のスマホに一緒にチャージして貰って、買い物は全て彼女のスマホで決済して貰いました。
だって、雨そぼ降る濡れた手でのスマホ操作が面倒なのと、ちっちゃい字で出てくる警告メッセージがイチイチ癪に障るんですもの!
ま、いずれにしても、スマホを軽やかに使いこなせない人は、もう、音楽フェスすら楽しめない時代だと言う事ですね。複雑だわ。
そこまで、済ませて、やっと、このフェスの住人になった感。
この頃から雨はやや強く降り始めました。
とりあえず、ビールを買って、多少なりとも雨を凌げるビーチパラソルの下に陣取りました。
こうなると、隣接するホテルのロビーから見下ろしているVIP客が羨ましく見えます。
あそこのチケットって幾らくらいだったけ?1200リラくらいだったかな?
日本円だと1万円くらいだけど、感覚的には10万円的な。
くっそー、下々の民を見下ろすイケ好かない貴族どもよ!
。*✧ヾ(。>ㇸ<。)ノ゙✧*。
なんて、悪態吐きつつも、雨に濡れそぼりながらもざわざわと浮き立つ若者たちの中にいる気分は、何となく悪いものではありませんでした。
最初のバンドがパフォーマンスを始めた辺りから
マジで、雨がどしゃ降りになってきました。
パラソルの下にいても、全身ずぶ濡れです。
雷が雷鳴を轟かせています。
もう、破れかぶれになった若者たちが、ずぶ濡れになりながら飛び跳ねています。
とは言え、メインアクトのDumanの登場までは、まだ後4時間以上あります。今ずぶ濡れになって4時間身体が持つでしょうか?
と、言うことで、
友人と一旦車に引き上げて、車のエアコンで服を乾かすことにしました。
軽食を買って、車に戻って、気持ちが落ち着いたところで
まだメインアクトまで3時間以上あります。
雨の勢いがどんどん増してきて、友人は台所の窓は半開きにして来たってのも気になるし
自宅までは車で10分の距離なので、これはもう、一旦自宅に戻って着替えらるものは着替えて、Dumanの出演時間前にまた戻って来よう、と言うことになりました。
と、言うことで、
一旦、自宅に戻って、着替えて、温かいハーブティなんかも飲んで
元気をチャージしておばちゃんチームは再度、会場へ。
自宅にいる時に、息子宛に
「お母さん、今、自宅、もう一度会場に戻るんで、もし、家から持って来て欲しいものあったら持って行ってあげるよ。」とメッセージを書いたものの
既読付かず。
ま、スマホ見るヒマもないほど夢中になっているのかしら、よきよき(*'▽')
と、この時点では、全くなんの心配をしていませんでした。
再度、会場付近に車で到着すると、相変わらず軍警察の強面のお兄さん達が交通整理を続けていました。ご苦労様です(`・ω・´)ゞ
がっ
会場近くは完全に経路を封鎖してしまっていて
車は数キロも離れた場所に乗り捨てるしかない、と仰る。
マジか??
細い、村へ続く幹線道路に路駐しろ、と。
皆、苦労して縦列駐車に四苦八苦。
と、軍警察の長身の兵隊さんが、私に向かって、車から降りろ、と言う身振りをします。
へ?
細い田舎道では、上手く路肩に駐車しないと、うっかりすると横の畦道に車が滑落してしまいます。
「お姉さん(←ああ、オバサンって言われなくてちょっと良かったわ)、僕が駐車してあげるから、車から降りて。」と仰る。
ま、ここは大人しくお任せしよう。
宜しくお願いします!と車を預けると、長身の兵隊さん、身体を我が愛車にねじ込むと、ぶん!きゅ!と見事に数秒で縦列駐車をして見せてくれました。惚れてまうやろがっ。(^^ゞ
そんなこんなで、
今度はやたら遠い場所に駐車させられて
会場まで延々と歩いて行くことになりました。
致し方ない。
Dumanのパフォーマンスが始まった頃には、雨も小雨になり。
私も久々にどデカいアンプの音圧に身を任せて夢見心地。
人気バンドだけに、オーディエンスは、ほぼ全曲知ってる曲のラインナップらしく、最初の1曲目から、会場中が大合唱!
マジかー?
ここまで歌うのかーー?
あとで訊いたら、トルコのコンサートってだいたいいつもこんな感じに
客も一緒になって大声で歌うのがお約束らしいわ。
しかし、どデカいアンプの音圧をもってしても、会場の客の声の方がデカくて、マジでヴォーカリストの声が聴こえないレベル!
ヴォーカリストも、何度も、マイクを会場に向けて、客に謳わせ放題っ。
歌を聴きに来たんじゃなくて、トルコのコンサート客は一緒に歌いに来るものらしい。
途中で本当に笑えてきてしまいました。
しかし、バンドも客も幸福感に包まれているのが伝わってきて
なんとも言えない気持ちになりました。
私の目の前に未成年リボンを巻いている4人組の男の子たちがいて
ヴォーカリストのカーンが「Teşekkür ederim. çok iyisiniz çok güzelsiniz çok Sağ olun(ありがとう、皆最高だね、ほんとありがとう)。」
(↑ほぼMCはこれくらいしか喋らなかった。)
と言う度に
「Abi! aaa abi teşekkür ediyor yaaa ne diyorsun yaaa biz teşekkür ediyoruz Abiiii Teşekkür ederimmmmm(兄貴!ああ!兄貴ナニ御お礼なんて言ってるだよぉ!俺たちがありがとうって言ってんだぜ!ああ、本当にありがとう)!」 と感極まって叫んでいるのが、もうお母さんムネアツでした。
そんなに愛されてステージで、自分達の曲を全部一緒に歌ってくれる観客の前に立つって、アーティスト冥利に尽きるんちゃうか?(*'▽')
と、言う幸せ空間に身を置いていたものの
雨が再び降り始めたのと、トイレにも行きたくなって来たので
隣接するホテルの前のバリケードのお立ち番の係の子に
「トイレはどちら?」と訊いたら、バリケードを動かして
「この階段を上がった左側です。」と丁寧に案内してくれました。
で、ホテルの内部に入れたのですが、中は宿泊客を中心にVIPチケットを購入した客たちが三々五々寛いでいました。
トイレを済ませたものの、あんまり快適空間なので、友人にも電話してトイレって言ったら入れてくれたから、おいでよ!と誘いました。
友人もバリケード前まで来ると、私を指さして何か係の子に言うと、またしてもバリケードを動かして中に案内してくれました。
あとで、分かったんですが
やはりバリケード内は普通の客は通して貰えないことになっていたそうです。しかし、明らかにガイジンな私が「トイレ」と言ったので、最初の係の子が私をVIP客と勘違いして通してしまって
その後やって来た友人はVIPな私の連れ、と言う認識で間違って入れて貰えた形だったようです。てへぺろ。
VIP席で会った別の友人が、VIP駐車場に停めてある車で、帰るついでに、私たちの数キロ先に停めてある車まで送ってくれることになりました。
やっぱ持つべきものは友人だよね!
と、言う訳で
帰りの交通渋滞にも巻き込まれずに、快適に帰路に着くことが出来ました。
ここまでは、豪雨の音楽フェスではありつつ我々の天国ばなし。
さて、人生での音楽フェス初参加な息子16歳は、と言うと。
私が、家に着いたのが12時半くらい。
熱いシャワーを浴びて、すっきりさっぱりパジャマに着替えて寝ようと思っていると
夜中の1時に、息子のお友達の一人から私宛に電話がかかってきました。
そのお友達は今日はフェスに行っていないはずです。
しかも夜中の1時。
彼が言うには
うちの息子、豪雨の中テントとスマホが水没して
一切スマホが使えなくて(つまりQRコードでの買い物が一切出来ず)
とても今晩一晩会場で過ごせ無さそうなので迎えに来て欲しいと言っている、と。
なんと!面白い事になっていたんでしょう!!!
どうやら、息子はスマホが完全に死んでしまったあと
会場で見つけた同じ学校の友人の携帯から、友達の伝を繋いで
私の携帯の番号を知ってそうなお友達に、私宛に電話して欲しいと伝言を託したそうな。
それが、私に到達したのが1時だったと言うことらしい。
なので、私も逆経路で、会場近くの別のホテルの名前と
そのホテルの前で30分後に迎えに行く、と言う伝言を息子あてに回して貰いました。
すっかりオネムモードでしたが
今一度着替えて、深夜のコンサート会場へと車を走らせました。
指定したホテルの前で待っていると
真っ暗な田舎道をとぼとぼと歩いて来る息子が見えました。
なんて惨めな16歳!って絵でしたわー。
全身ずぶ濡れで何時間待ったことでしょう。
車に乗り込んでも、まだ髪から水滴がしたたり落ちています。
家まで車を走らせながら聴いた話によると
キャンプサイトのテントの張り場所は自分達で選べなくて、
会場整理のスタッフに順に指定されたんだとか
その場所が微妙に窪み状の岩の上だったせいで、
途中の豪雨の際に、鉄砲水の様な濁流がサイトを通過して
テントの中が泥水の泥濘、寝袋もリュックの中の着替え用の服も
リュックの上に置いてあったスマホもものの見事に水没してしまったそうな。
で、会場システムの都合で、会場内はスマホが無ければ水一本買う事が出来ず、友人たちも散り散りになってしまっているのに、電話が無ければ連絡も取りあえず
まさに、ずぶ濡れで孤立してしまったんだとか。
昼間に、小さなパイ状の軽食を食べて以来
この夜中の1時まで一切何にも口に出来なかったそうな。
で、会場で顔見知りを探して、決死の伝言ゲーム作戦をした、と言うことだったらしい。で、お母さんの救出は夜中の1時になった。
とにかく、腹減って死にそうだ、と言うものの
自宅には何もすぐに食べられそうなものがないので、
帰りに深夜まで開いていたハンバーガーショップでハンバーガーを買いました。
車のなかで数時間ぶりに温かい食べ物に、びしょ濡れな中でもやっと人心地ついたようでした。
なので、伝言ゲームに協力してくれたお友達たちに、無事お母さんと合流できた趣旨を連絡しておきなさい、と、私の電話を渡すと、
また、逆伝言ルートで、それぞれのお友達に息子の無事が伝わったようでした。
本当に持つべきものは友人だよね!
と、言う訳で、
人生初の音楽フェスでそんな体験をした息子ですが
ずぶ濡れのヘロヘロになりながらも、Dumanのパフォーマンスの時は
ステージ前に陣取って、幸運にもギタリストのピックが拾えたんだとか。
辛い一日のたった一つの宝物が2センチにも満たないギターピック。
それがあっただけで、息子のフェス体験も捨てたもんじゃなかったようです。
さて、今日の2日目、
気持ちを取り直して参戦するためには
まずは、水没してしまったスマホを修理して貰わないとなりません。
もう、昼過ぎです、そろそろ起きてこないと修理屋さんにも間に合わないかもよー。
全ての友人と、今日もフェスに参加する観客全員に太陽の光と幸運を!