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反・年中無休キンモクセイ運動

今日、職場の友人が素敵なことで怒っていた。
「金木犀の香水は風情がない」とぷりぷりしている。
金木犀の香りを一年中嗅げるようにしようと最初に考えた奴はナンセンスらしいのだ。

なんて素敵な視点。いいなあ、金木犀を愛している人間の意見だなあ、と社内のコンビニを徘徊しながらふんわりした気持ちで聞いていた。

実のところ、鼻があまり良くないので金木犀の香りを感じたことがない。日本人としてお恥ずかしい限り。
日本人はみんな金木犀の香りを知ってる。自分だけが日本で唯一金木犀の香りにピンと来ないんじゃないかと不安になるくらいの認知度。
どうやら秋の香りのようなんだけど、それすらあんまり知らなかった。あとは地元に金木犀が咲いていないということもあるかも。

金木犀は秋にしかいないからいいんだよな。秋だけの特別なものなんだよな。四季が存在する国だからこそ、そういう風情を愛でる気持ちを失ってはいけないよな。年中無休でないことを愛するべきだよな。
友人の怒りから、なんとなくそういうものを受け取った。

そういうやり取りがあったので、帰り道で金木犀の存在に目を凝らしていた。

この時期みんなが一斉に金木犀の話をしだすので、取り残されてるみたいで寂しい

目を凝らしていたら、帰り道だけで4軒のお宅の金木犀と目が合った。
同じ花だけど、なんとなく違う雰囲気がある気がする。大輪! たわわ! って感じのもいれば、電灯のなかに幽霊みたいに浮かび上がってるのもいる。会釈してとおりすぎた。

一瞬金木犀の匂いを感じた気がしたけど、よく考えたら違った。
たぶんあれは金木犀の雰囲気の匂いだ。

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