映画 「PAST LIVES」 ニューヨークが恋しい
「パスト ライブス/再会」という映画を観た。ニューヨークが舞台になっていて、それは今まで見たどの映画よりもニューヨークを恋しくさせる映画だった。電車が地上高く走るクイーンズの風景、イーストヴィレッジの通り、フェリーやブルックリンから見えるマンハッタンの景色。長い間、忘れていた気持ち。
韓国人が主役の映画のストーリーは、お互い恋心を抱いていた2人が12歳の時に離れ離れになってしまい、長い月日を経て再会するという話。ソウルに残った少年ヘソンとニューヨークに移住した少女ノラ。2人は24歳の時にオンラインで再会し、1年ほど連絡を取り続けるが、すれ違ってしまう。ノラは作家のアーサーと結婚し、ヘソンはそのことを知りながらも、36歳になる年、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。
運命の人だと思っていたのに一緒になれず、再会したからといってまた一緒になるには状況が変わりすぎているから、今を受け入れるしかない。そういったことは私たちにもあるはず。
最後にヘソンを見送った後アパートメントまで涙をこらえながら歩くノラを、アーサーは門の前で待つ。彼女を抱きしめると、ノラは声を上げて涙を流す。その場面が、本当に切なかった。
人生にはどうしようもなく変えられないことがある。私がもうニューヨークに住んでいないことも。後悔している訳ではなく、今は幸せなのに、それでも誰かや何かを恋しく想って切なくなってしまう瞬間があるのだ。
時々ニューヨークがたまらなく恋しくなる。そりゃそうだよね。1番大切な時期を14年間過ごした場所なのだから。そこで勉強し、様々な人々に出会い、友達を作り、2人の息子を出産し、子供たちと一緒にたくさんのすてきな時間を過ごし、必死に働き、ガンの治療をし、子供たちの父親と別れ、そして恋もした。
来年、行ってみようと思う。自分が12年ぶりに訪れた街で、どんな気持ちになるか、想像がつかないけれど。