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新しい世界をつくることにもつながっていくのがコーチング
一人ひとりの人生にも、チームや組織にも、振りかえると「あの時が転機だった!」という時期はやって来るもの。生き方やあり方、人との関わりが土台から変わっていくそのタイミングは、その先の人生や組織の方向性に大きく影響を与える転換期。
ひろさんこと西田博明(にしだ・ひろあき)さんは、そんな転換期にコーチ&ファシリテーターとして伴走する「転換期の仕掛け人」。
インタビューでは、
コーチとして、ひろさんがどうその人の転換期に一緒に向き合っていくのか、そしてひろさん自身が、その人生のなかで人との関わり方をどう変えてきたのかということも伺ってみました!
ハナ(プロフィール作家ハナ)
最初に、ひろさんが今どんなことをされているか、自己紹介していただけますか?
ひろさん(西田 博明さん)
西田博明です。「転換期の仕掛け人」というコンセプトで、人生がぐるっと変化する時とか、会社がぎゅっと方向性を変える時、それをお手伝いすることを仕事にしています。厳密にいうと、その前の段階の「このままだとおかしい気がする」とか、もやもやしている人が来てくれることが多くて、「本当はどうなりたいのかな」「本当にやりたいことって何だろう」とかいうことを明確にしながら、一緒に前に進めていくことをやってます。
もやもやの根っこを見つめていくことから始める「転換期」
ハナ
コーチって、その人とか組織の中にあるものを引き出すとか、思いに寄り添うあり方が、王道としてあると思うんです。でも、転換期を「つくる」とか「仕掛ける」という言葉からは、もっとひろさんから何か働きかけることが大きいんじゃないかという印象を受けます。実際、この人、この組織は転換期にあるのだなという時に、ひろさんのコーチングでどんなことが起きていくんでしょうか?
ひろさん
実際のところは、やっぱりコーチングとかファシリテーションなので、やっぱり寄り添っていくことや引き出していくことがメインなんです。でも、一人ひとりのコーチに人間としての個性があるように、僕にもクセとか傾向みたいなものがあって、僕の場合、ゼロベースでいろいろ考え直していく展開になる傾向が強いんですよね。今とは違う、もっと自分らしい進み方はないだろうかとか、「こうしなきゃいけない」と思っているのは本当なんだろうかとか、既定の路線にとらわれずに幅広く考えるのが得意なんです。
「転換期の仕掛け人」というのも、そんな僕の何かが雰囲気から伝わるのか、転換期を迎えている人が来てくれたり、僕と話すと転換期が始まっちゃたりするので、その転換期を始めることも一緒にやっていこうよという意味を込めてます。
ハナ
いま、自分は変わる時だなっていう兆しみたいなものって、人は感じていて、でもその変化をどのくらいの角度とか大きさで起こしていくかは、自分の力だけではけっこうどうにもならない、コントロールできないと思うんです。そこにはどんな関わりをしていきますか。
ひろさん
そこはちょっと基本に戻って、まずは話をいっぱい聞くことが多いかな。もう一つは、やっぱり転換期を迎えようとしている人とか組織に典型的に起こりやすいことってあって、そこに対して、混乱を整理したり、ご自身がどこにいるのかってことを解説したりとかして、安心してもらうこともします。基本的には、もやもやの根っこを一緒に見つめていくことが多いです。
転換期を迎えようとしている人って、言葉にならないもやもや感みたいなものがあって、その違和感は明確になっていないことが多いんです。今のこの仕事嫌いじゃないのに前みたいに頑張れない、最近妙にイライラする、とか、30代、40代になって、今までの頑張り方にちょっと体や心が飽きはじめているみたいな。
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セミナー情報やひろさんのコーチング論などを
伝えるホームページ
これは僕の定義する「転換期」なのですが、本当は転換期って、その先に何があるか見えないんですよね。たとえば、すごくがんばっている営業部長が、立場が変わってさらにがんばらなきゃいけないとか、新しいスキルを身につけないといけないって、ちょっと変化はあるけれど、実は同じ直線上にある。高校野球やってた人が大リーグに出るみたいに、やっていることは野球なわけですよ。でも人生では時々、野球をやってた人がサッカーしなきゃいけなくなったり、球技に飽きて格闘技に変えたりとかいうようなことがあって、そういう時って、そもそも先が見えないんです。だって、やったことがないから。だからゼロベースで始める転換期を迎えている人って、その先が見えてるとか、変わりたいというよりは「これじゃない」っていう今あるところへの違和感があって、そのもやもやは何だかよくわからないわけです。
ハナ
その違和感の根っこを一緒にみていくことで、どうなるんですか?
ひろさん
何に違和感があるのかとか、何かこう、チラチラと気になっている、面白そう、少し興味があるとか、そういうことは何なのかをみていくなかで、自分がいったい何を変えようとしているのか、何が終わろうとしているのかが、朧げながら見えてくるんですよね。
これまで周りの期待に答えることばかりやって来たけど、自分の心の内側からすごく好きだと思えることをやりたくなったんだなとか、今まではがむしゃらに新しいものを追い求めてきたけど、ここは変わらずにやっていきますみたいな自分の土台をつくりはじめたくなったんだなとか。またそこからどうしていきたいのかは、さらに考えていく必要はあるんですけど、まずはどんな感じの転換期を迎えているのかが見えてきます。
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「新しいチャレンジをして人生を変えていこうぜ」
と伝えたい
ハナ
個人が特定できる情報は話せないと思うんですけれど、実際どんな転換期に立ち会ってきましたか?
ひろさん
公開の許可を頂いている方では、とある美容系の会社の経営者さん。いくつも店舗を持っていたのですが、自分の経営の型が見えてきたら、今までやってきたことの集大成をつくりあげて、もう十分これは楽しんだと感じるようになって、店舗はどんどん他の人に譲り渡して、自分の自由な時間を作るようになっていった方がいます。
あとは、会社の体制が変わって、めちゃめちゃメンタルがやられたと来られた方。でも実際何が起きてたかというと、今までは会社の枠組みの中で能力を発揮することにやりがいを感じていたけれど、40歳くらいの年齢になるまでは上司が責任を持ってくれていて、ある程度やんちゃもできた。でも自分がリーダーシップをとる会社の側の人間にならなければならなくなった時に、自分自身の生き方とかあり方と、会社の求めているものとのずれがすごく大きかったんですよね。この人はその後、独立して自分のビジネスを始めました。そんなことは最初は考えていなかったんで、僕もびっくりしたんですけれど。だから、転換期を経てどうなるかっていうと、今と違う「何か」になるっていう感じです。
ハナ
今と違う何かになっちゃったら、もう始まった時点のことって思い出せない人も多いと思うんですけど、ビフォア・アフターのアフターになった人は、そのひろさんと一緒の転換期を振り返って、どんな感想を言われますか?
ひろさん
まさかこんな展開になるとは思っていなかったという人が多いですね。あとは、もう独立とか転職した方がいいんじゃないかと思っていた人が、実は今の会社めっちゃ楽しかったってことになって、それはそれで予想外でした。
僕が僕として生きていくために必要だったから
ハナ
ひろさんは、海外にも行かれて、一つの流派だけではなく、理論もアプローチも学ばれているのですけれど、そんなに広くも深くも、対人支援とかコーチングを学ぼうと思った経緯とか、そうせざるをえなかったひろさん自身のテーマとかがあるんでしょうか。
ひろさん
「せざるをえなかった」という表現は本当にそうだなという気がしていて、ぶっちゃけ、僕が僕として生きていくために必要だったんだなという感じが、前もしてたし、最近特にしますね。
僕、小学生の時「西田くんは人の気持ちもわからないし、集団行動も出来ないから、特殊学級に入れたほうがいい」って言われた子で、学校でも言葉にされていない落とし所とか予定調和みたいなものが全然読めずに動いてしまっていたんですよ。別に悪意がないので、それでバカにされたり邪険にされたりしたら、こっちはそれが辛いし寂しいし、人とのつながり方がわからない感覚が強かったんですよね。それがあたり前だったんで、たぶんわからないとも思っていなかったけれど。
そういう自分だったから、高校生でノルウェーに留学して、いろんな世界の仲間に出会うと、日本人みたいに礼儀正しく躾けられた人もいれば、音楽好きすぎて、壁とかお皿を叩きまくるやつもいれば、ラテンアメリカ人は女の子と見たら口説きまくっている。こんなに違うけど、みんなで仲良くできるんだっていう驚きがあって、それがすごく嬉しかったんですよ。
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海外に行かせてもらったこと」
高校生の時に留学したノルウェーで出会った世界の仲間と
帰国してから9・11が起きて、僕がノルウェーで恋をしていた人に似ている女の子がテレビに映ったんです。その初恋だったマリアナもこんな可愛い子だったんだろうなと思ってたら、キャスターが言ったんです。その子は楽しくて笑ってるのじゃなくて、その日その子の家に空爆だかミサイルが打ち込まれて、それからその子は発狂してケラケラ笑い続けているんだって。こういうことは今でもどこかで起きている話なんですけど、僕にとってはテレビでよく見る一コマにはならなかったんです。初めて共感したというか、他人事じゃなかった。なんの悪いこともしなかった女の子が、どこかの誰かが決めた戦争に従って誰かがボタンを押して落ちた爆弾で、家族が吹き飛ばされたかもしれなくて、発狂して笑い続けているなんて、なんで起きなきゃいけないかわからなかったし、それを止めなきゃ、なんとかしたいと思ったんです。
でも僕自身は、あんまり自分の居場所がなかった反動で、周りの人をすごくバカにしたりとか、気持ちをわかってくれない人を憎んだりしていたんで、平和とかなんとかって言ったって、自分自身の心の中にも平和がないし、自分の周りにも平和が作れてない。自分自身全然ダメじゃね、みたいな.....。 本当はもっと人と人とがわかり合えるようになってほしいし、僕自身も人とわかり合えるようになりたいし。
そんなこと考えていた大学1年の時に姉が亡くなって、それをきっかけに、家族との関係がごちゃごちゃっと壊れていったんです。まあ娘を一人失ったら、仕方ないことかもしれないですけど、両親は僕のことをケアできない状態になってしまって、僕としては帰る家が一度無くなった感じだったんです。それが辛かったし、今まで押し隠してきた孤独感とか、人を信じられないとか、自分を好きになれないとか、そういった生きづらさみたいなものが噴き出してきて。
どうやったら自分が変わるんだろう、人が変わるんだろうって、カウンセリングとかセラピーを勉強してみているうちに、たまたまコーチングに出会って、すごく好きだなって思ったし、僕にも出来そうだなって思ったし、僕が面白いと思う心や身体のこととか、すごく気になる、人が変化とか成長をしていくことか、何か嫌なことがあったら、それを変えていく勇気を持つこととか、新しい世界を作っていくとか、そういうことと全部つながる感じがして、夢中で勉強したという感じですね。
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人類が生きていく中でやってきた
誰もが持っている力でもあるんです」
コスタリカへの留学から帰国した直後に
東京で開催したコーチングのセミナーにて
コーチングは僕と人とをつなげてくれるすてきな橋渡し
ハナ
ひろさんは小さい頃は人とうまくつながることが出来なかったってことなんですけど、コーチングを10年以上されてきて、それは変わってきましたか?
ひろさん
うーん、いまだに僕は自分のことを不器用だなって思うことも多いんですけど、僕にとってコーチングは、僕を人とつなげてくれる、すてきな橋渡しだと思ってます。
飲み会とかコミュニケーションがカオスになることってあるじゃないですか。そういう時、僕どう振る舞っていいかがわからなくなることがあるんです。でもコーチングって、コーチって役割があるし、ある程度コントロール感があるというか、自分の中で安心してできるところがあるから、それに救われていもいます。
もう一つは、コーチングに出会ったり、コミュニケーションを学んだりしていく中で、前より僕自身が自分のことを上手に伝えられるようになったし、人の気持ちがわかるようになったし、以前だったらトラブルになったり修復できない関係性になったりしたかもしれないことに対して、今は話し合ってわかりあいながら進んでいけるようになったなと。前よりかは生きやすくなったみたいだし、人にも自分にも優しくなれたんで、よかったなという感じです。
ハナ
共感しながら聞いていました。コミュニケーションって、自然に身についてくれたら嬉しいことなんですけど、自分もやっぱり大人になって努力して学んで身につけたなっていうのもあるし。みんなが年を重ねて丸くなっていくのも、コミュニケーションをどんどん磨いていっていることが大きいのかなと。
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「自分の中で違う切り口が見えてきて、
発見があって面白い」
ひろさん
で、ハナちゃんはこれからどんな感じでやっていこうと思っているんですか?
ハナ
プロフィールは書き続けていくんですけれど、もうちょっとプロフィールを書く前の、その人が自分の仕事「ライフワーク」をつくるところから伴走したいです。この人生の時間を使ってやっていきたいという仕事がある人は、その人生のものがたりを語る必要があると思うので、最後プロフィールでそれをしっかり伝えるところまで。
ひろさん
それはじゃあ、自分は何がしたいんだろうと模索する段階からお手伝いする感じ?
ハナ
はい、もうそこの段階のコーチング含めて関わっていきたいです。
ひろさん
ハナちゃんだからこそ触れられる心や引き出せる想いがいっぱいありそう。応援してます!
西田 博明(にしだ・ひろあき)
人生や組織が大きく方向性を変えていくタイミングに、コーチやファシリテーターとして伴走する「転換期の仕掛け人」。
経営者やフリーランサーにコーチングを提供するかたわら、「コーチのコーチ」として、コーチの育成にも貢献。ファシリテーターとして、組織開発やチームの活性化も専門に扱い、企業をはじめ、国際プログラムや町おこし、伝統工芸の分野でも活躍。現在は、大学でのキャリア教育にも携わっている。
株式会社Tomoni 代表取締役、アナザーヒストリー認定コーチ、厚生労働省認定 公認心理師。
国連平和大学(コスタリカ)修士。
自腹を切らずに海外に行くチャンスをつかむのが得意で、9カ国でのワークショップ実施を含め、海外滞在は40か国以上。
ホームページ:
西田博明 | Hiroaki Nishida | 転換期をつくる、ポジティブ・ピースの探求者
https://tomoni-inc.com/
この記事は2022年8月25日のインタビュー@Instagramに基づくものです。記事化にあたって、内容を抜粋し、表現や順序を整えています。
オリジナルのインタビュー動画はこちら!
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*西田 博明【転換期の仕掛け人】
https://www.instagram.com/hiroaki_nishida_coach/
*プロフィール作家ハナ
https://www.instagram.com/summer.hanae/
▼ 西田博明さんへのインタビューの英語版はこちら
▼ これまでのプロフィール・インタビューはこちら