『プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える』 アネット・シモンズ著 :ライフワークの言語化におすすめの本③
あなたが、初めて知った誰かに「この人の話ならききたい」「この人は信頼できる」と感じるまでには、これまでどんなプロセスがありましたか?
アネット・シモンズの『プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える』(海と月社, 2012)は、相手の信頼を得るためには、まず自分についての2つのストーリーを伝える必要があるといいます。
「わたしは何者か」そして「わたしはなぜここにいるか」を伝えるストーリーです。
事実と真実の間にあるもの
アネットいわく、
この世界には「事実(Fact)」と「真実(Truth)」がある。
その違いは、意味付け。
存在や出来事自体は中立的な事実としてそこにあり、
真実とは、わたしたちが、その事実を解釈して意味を与えたもの。
この例はシンプルですが、「健康は幸せな生活に欠かせない」など、多くの人がそうであると信じていることも、それぞれの人が、何らかの形でそう信じる意味付けがあるのです。
この自分にとっての真実は、実は相手にとっての真実ではないことがほとんどです。
でもこの人に伝えたい!というときの方法がストーリーで語ること。
「人生で大切なのは人間関係だ」という自分にとっての真実を語るのに、
ある人は、人間関係がいかに自分の今の生活に喜びをもたらしてくれたかのストーリーを語るかもしれませんし、
別の人は、お金があっても心がカラカラの日々を送っているときに、友人や知人の存在に救われたエピソードを伝えるかもしれません。
言葉だけでは「そうなんだ」とか、場合によっては、すてきだけど、違う世界のことのように感じることも。
でも、そのストーリーに臨場感を感じると、人は初めて自分にとっての「真実」として受け取って、行動や決断に向かうことができるのです。
自分は何者で、なぜこの仕事をしているのか
ライフワークの軸には、その人が良いと信じ、お客さまに届けたい「真実」があるはずです。
この真実に共感したり納得したりすることで、お客さまは仕事を依頼する、商品を買うなどの行動を起こします。
(自分が、新しくサービスを選んだり、ものを買ったりするときのプロセスを振り返ってみてください。そこにはきっと、誰かの語る真実に「確かに!」「そうだよね」と納得・共感した瞬間があります)
ライフワークを言語化することは、この自分が信じる真実を伝えることでもあります。
そして、その前に!
初めて知って「この人の話は聞きたい」「この方の言うことなら大丈夫そう」と信頼が芽生えるきっかけには、わたしは何者か、そしてわたしはなぜここにいるかを伝えるストーリーが欠かせません。
たくさんの似たような仕事をする人がいる中で、あなたの話を聞いてもらう、ホームページやSNSのコンテンツを見てもらうためには、まず、あなたという人のストーリーを伝えてください。
これが、本書が人に影響を与えるために必要と説く、6つのストーリーのうちのはじめの2つです。
あなたのストーリーに共感と信頼が生まれて初めて、あなたの伝える真実、言葉を変えれば、あなたの想いや届けたい価値が相手の心に入ってゆくスペースが生まれるのです。
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